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恋の色は濁り色  作者: ピチュを
3章 梨沙の章 / 健一の章
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3章 1話 ガラスの心と体 / 転校先で

どうもおはこんばんにちは!ピチュをです!

今回から1話内で2パート入るようになります。ややこしくなるかもしれませんが、1話おきにするよりもいいかなと思ったのでこういう形にしました。なので、今までの目安が約4000文字だったのですが、1パート約2000文字を2パートの約4000文字にしようと思っています。何卒よろしくお願いします。


追記:なぜ今まで出さなかったのかわかりませんがここで簡単に補足します。梨沙たちが通っている高校は寒西高校かんにしこうこうです。健一に関しては今回の後半の健一の章にて記載されますのでお楽しみに。

梨沙の章




翌日、25日。梨沙はいつも通りに登校していた。違いがあるとすれば一人だというところだろう。梨沙は、言葉を掛けるだけで泣き崩れてしまいそうな表情だった。そこに里美と比岐島が来た。


「梨沙!おはよ...う...」

「...鈴城さん、寂しいのはわかるけど、そんな顔してたら幸せも逃げちゃうぞ」

「里美、比岐島君、おはよう。わかってはいるんだけどね...やっぱり...わたし...」

「あー、泣かないで梨沙!別に一生の別れってわけじゃないでしょ?毎日でも電話すればいいじゃん!」

「う、うん...」

「それで休みの日ぐらいデートに誘ったりしてさ!ね?」

「里美の言う通りだぜ。別に今後一切会えないってわけでも、声が聴けないってわけでもない。だったら、あいつに心配かけないように、こっちも元気に過ごすべきじゃないか?」

「うん...そうだね、ありがとう二人とも、少しは元気でたかも...」

「まぁ、あたしも高尾がいないと張り合いがなくて少し寂しいしさ。でも、楽しくいた方が絶対いいことあるもん!だから暗い顔しちゃだめだよ?」

「うん!」


梨沙の顔は、普段通りとまでは行かなくても、確かに元気を取り戻していた。






三人は学校に着いてから教室に入る。すると、いつもとなんらかわらない教室のはずなのに、違和感を感じた。そう、席が一つなくなっているのだ。


「「「...」」」


健一が引っ越した。つまり、転校を意味する。そんなことは分かっていても、いざそれを目の当たりにすると気持ちの抑えが聞かなくなってくる。それに追い打ちをかけるかのように教室にいたクラスメイトたちが梨沙に押し掛ける。


「ねぇ鈴城さん!高尾君の席が無くなってるんだけど、何か知ってない?」

「なんで高尾の席がねぇんだ!?」

「高尾、退学にでもなったのか!?」

「「「「「鈴城さん(梨沙ちゃん)、どうして!?」」」」」

「そ、それは...」

「ちょっとみんな落ち着いて!」


押し掛けられ困る梨沙とクラスメイトの間に入る里美。だがクラスメイトの問いかけはおさまらない。比岐島も里美と一緒にみんなを食い止めようとしてくれていた。


「里美、比岐島君。いいよ、話そ?」

「梨沙...」

「...鈴城さんが言うなら」


梨沙たちの会話を聞いて、クラスメイトは静かになる。里美と比岐島は梨沙の側に行き。やさしく背中に手を添えた。


「健一君は、引っ越しました。どこに引っ越したのかもわかりません。なぜ引っ越したのかもわかりません。ただ一つ言えるのは、高校生活では、もう会えないんじゃないかということです」


梨沙はそう答えた。ありのままを、今伝えられる最大の情報を出した。だが、信頼がなかったわけではないが、やはり信じがたいらしく、クラスメイトが再び押し寄せてきた。


「なんで!なんで理由を知らないの?隠してるわけじゃないよね!?」

「なんで場所もわかんねぇんだよ、恋人だろ!」

「健一君は何も言ってくれなかったの!」

「あの高尾がそんなことするとは思えねぇ!」

「本当なの!信じてよ!」


梨沙の声はみんなに届かなかった。なぜだ、どうしてだ、ましてや嘘つきと言う言葉まで飛んできた。梨沙はありのままを伝えた。それがこの結果だった。今にも梨沙は泣きそうになる。辛いことを思い出し言った挙句、クラスメイトからこの仕打ち。梨沙の心は限界に近づいていた。そこに、


「「おめぇら」」


教室内で、静かに座っていた二人が、低い声でそう言った。


「せ、セリア君にアクト君...」


セリアとアクトだった。二人は席を立ち、梨沙の前に群がっているクラスメイトを押しのけ、梨沙の前に立った。


「お前ら、スズが本当に嘘をついていると思っているのか?」

「え、えぇ!あの高尾君が恋人に引っ越しを隠すわけないでしょ!」

「ケンイチなら、大事なことは言うと?」

「ここにいる俺と兄貴、そしてスズと前川さんに比岐島。全員ケンイチが引っ越しの日に別れを言いに行ったよ」

「俺はそのときケンイチに直接聞いた。スズに言ったのかと。あいつは言ってねぇと言っていた。あの言葉に偽りはなかった」

「そんなもの証拠にもならないでしょ!」

「は?証拠なんていらねぇだろ」

「何言って──」


女子の一人が言いかけた時、セリアとアクトが当時に動き、その女子の胸倉をつかんだ。


「証拠よりも、人を信じる心が大切だ。違うか?」

「そ、それは...」

「兄貴を疑う分にはまだいいさ。でもよ、それってケンイチ自身を疑うのと同じなんじゃねぇのか?そんなに事実が知りたいならケンイチに電話でもすればいい。違うか?今スズを嘘つき呼ばわりしてんのは、スズを悪者にしたいだけなんじゃないのか?」

「そんなこと...」

「なんにせよ、だ」


セリアとアクトは女子から手を離す。そして梨沙の前で梨沙を守るかのように手を広げた。


「「スズをこれ以上いじめるようなら、本気でお前らをたたきのめす!」」


セリアとアクトはそう言い切った。それを聞いたクラスメイトは沈黙している。その中一人が空気も読まずにとあることを言った。


「ジェファー兄弟」

「「なんだ?」」

「お前ら、鈴城さんのこと好きなの?」

「「...へ?」」


セリアもアクトも、ずっと手を広げていたが、その一言に力を抜かれ、手を納めてしまう。


「な、なに言ってんだお前!」

「いや、だって、こんな風にされたら普通そう思うだろ?」

「私も思ったけど口に出さなかったのにー」

「いやいや!確かに好きだけどそれは『LOVE』じゃなくて『LIKE』の方だからな!」

「必死に言ってる当たり怪しー」

「「い、いやー!なんでこうなんだよー!」」


セリアとアクトの悲痛な叫びが、教室中。いや、学校中に響いたことだろう。




それから梨沙は解放され席に着く。


「梨沙大丈夫?」

「う、うん...大丈夫...」

「とてもそうは見えないけど...」


梨沙は顔色が悪かった。さっきの攻めに耐えきれず、具合を悪くさせたのだろう。


「辛かったら無理しないでいいなよ?」

「うん、ありがとう...」

「あぁ~疲れた...」


梨沙がそう返事をすると、セリアとアクトが近くに来た。やっと解放されたのだろう、疲れた顔をしていた。


「あ、二人とも、さっきはありがとう」

「ん?あぁ、気にすんな」

「俺たちがやりたくてやったことだ。気にしなくていいぞ」

「それでもありがと...う...」

「「ちょ、スズ!?」」


梨沙は倒れた。かなり息を荒くしている。


「先生呼んでくるから保健室に連れて行って」

「分かった兄貴!前川さん、左お願い!」

「わ、わかった!」


セリアと里美で梨沙を抱え、教室を出ていく。アクトは教室をダッシュで飛び出す。


「だい、じょうぶ...だから...」

「いいからおとなしくしてろ!」

「いいから任せて!体がもうだめって言ってるの!」


梨沙は大丈夫と言い張るが、そんなわけがない。セリアと里美は梨沙を保健室へ運んだ。











健一の章




「高尾君、準備はできてる?」

「はい」


5月26日。健一は学校にいた。もちろん今までいた学校ではない、転校先だ。転校の手続きを済ませ、自分の教室のドアの前に立っている。ホームルームで自己紹介をする流れになっている。


「それじゃあ、声をかけるまでここで待っててね」

「分かりました」


先生は教室に入っていく。健一は声がかかるまで待機だ。


「...やっぱ落ち着かねぇな」


健一の脳裏には、梨沙の叫びが浮かび上がる。


「待ってる...か...」


健一は顔が暗くなる。それと同時に何かが沸き上がっていた。


「待ってるって言ったからには待ってろよ、梨沙...」

「入ってきていいよー」

「あ、はい」


健一は教室に入っていく。入った時、教室内に居た生徒全員の注目を浴びた。見た限り、その生徒の比率は男:女=3:7くらいだった。どうしてここまで偏っているかというと、この高校は、元々女子高だったのだ。最近共学になった学校。なので女子の入学希望者が多いのだ。


「高尾健一です。訳合って近くに引っ越してきたのでこの時期に転校になりました。前は寒西高校かんにしこうこうに居ました。何かと至らぬ点が有ると思いますが、支えていただきたいです。よろしくお願いします」


健一は一礼した。するとクラスの女子全員が声を上げた。そして、その中の一人が手を上げ言った。


「せんせー!質問とか今していいんですかー?」

「んー、そうねー。じゃあ一人一回、五人までね。誰が質問するかは高尾君に決めてもらいましょう」


そう言ったとたん、男女ほぼ全員が手を上げた。


「えっと...じゃあ...そこの方」

「私?やったー!じゃあ質問ね!好きな食べ物なに?」

「豆腐です。じゃあ次そこの人」

「俺だな!やってた部活は?」

「部活はやってなかった。次そこの人」

「僕?じゃあ、そうだなー。趣味は?」

「クロスワード。次そこの人」

「私ね。じゃあ嫌いなものってある?」

「騒がしいのは得意じゃないな。次で最後か。じゃあそこの人」

「わ、私!?えっと、その...す、好きな人はいますか?」

「...いないといえば嘘になる」


女子からキャーと聞こえる。健一の顔は赤くなっていた。


「終わったね、後質問したい人は各々時間見つけてしなさいな。高尾君の席はあそこ」


先生が指をさしたのは、最後に質問した子の隣の席だった。健一はその席に着き、荷物を下ろす。


「あの、高尾君。私、多々見(たたみ) 静香(しずか)。よろしくね?」

「あぁ、よろしく。多々見でいいか?」

「うん!健一君って呼んでもいい?」

「...あぁ」


軽く挨拶を済ませる健一。健一君。そう呼ばれたとき、健一の頭には梨沙が出てきた。


「今日の連絡事項はなし。高尾は今日来たばかりだからまだ何もわかってないと思う。みんなで助けてあげてね」


先生はそういうと教室を出て行った。健一の周りに女子が群がってきて、質問攻めにあうが、健一は驚くことなく返していく。





それから授業を受けたりなんだりでその日の学校が終わり、放課後になる。


「あ、あの!健一君!」

「ん、多々見か。どうした?」

「あの...朝の質問のこと、聞きたくて」

「...好きな人がいるかてやつか」

「そ、そう!いないって言ったら嘘になるって、どうしてそう言ったのかなって」

「あまり大事にはしたくないんでな。聞きてぇなら話すが他言無用で頼むぞ」

「もちろんだよ!」

「...こっちに来る前に寒西高校に居たって言ったよな?そこで出会ったんだ、今の彼女...梨沙と」

「梨沙...ちゃん?」

「あぁ。鈴城梨沙。実はあいつとはいとこ同士らしくてな。親同士が仲悪くてあったことなかったんだが、そういうことらしい。もちろん親からの了承を受けて付き合ってるから大丈夫だ」

「そうなんだ。でもいとこ同士っていろいろ大変じゃない?」

「まぁな。でも、引っ越しの日にあいつは言ったんだ。待ってるってな」

「そっか...いい彼女さんだね」

「かもな。っと、そろそろ帰らねぇと母さんにいろいろ言われそうだな」

「あ、そっか。健一君、引っ越してきたばかりだもんね」

「あぁ、そういうことだ。じゃあな多々見」

「うん。また明日!」


健一は荷物をもって教室を出た。静香は健一が見えなくなったタイミングでぼそっと呟いた。


「鈴城...梨沙...か。きっと素敵な人なんだろうな。でも、健一君は、私がもらうからね」

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