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恋の色は濁り色  作者: ピチュを
2章 二人の恋路
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2章 18話 またまたお泊り

翌日。朝に荷物をまとめ、花美の車に乗り込んでいた。これから各自の家に送っていくのだ。


「みんな忘れ物はない?」

「「「大丈夫です」」」

「お姉ちゃん、事故だけは起こさないでね?まだ仮免なんでしょ?」

「分かってるって。でももうすぐ本免取れるから大丈夫よ」


みんな不安だという顔の中、花美だけは楽しそうにしていた。それが余計に不安を煽っているとも知らずに。だが、やはりというべきか、しっかり安全運転を心がけているため、事故には合わず。無事に全員を家に送り届けた。


「お姉さん、ありがとうございました!」

「ありがとうございました」

「いえいえ、またおいでね!」


梨沙と健一は、花美にしっかり挨拶をした。その後、花美は車を走らせた。もちろん、ゆっくりと。


「それじゃあ健一君!また明日!」

「おう...」

「...?健一君?」


健一は目を合わせていなかった。なにか言いたいことを押し殺しているかのような。梨沙はそんなように見えた。


「...なぁ、梨沙」

「なに?健一君」

「...泊りにこないか?」

「...え?」


梨沙は言われたことを理解していなかった。健一から出てくる言葉とは思えなかったのだろう。健一も顔を赤くしていた。


「いや、今のは忘れてくれ。じゃあ明日な」


健一は後ろを向き、家に帰ろうとする。


「健一君!」

「...梨沙?」


梨沙の呼びかけに健一は梨沙の方を向いた。そして、


「いい...よ?泊まっても」

「...まじ?」






その日の夕方。健一宅。インターホンが鳴る。


「はーい」

「あ、鈴城です」


玄関に居たのは梨沙だった。出迎えてくれたのは健一ではなく大樹だった。


「あ、この前のお姉ちゃん!」

「あ、大樹君だっけ?こんばんは、健一君いるよね?」

「こんばんは!ちょっと待ってて!」


大樹は走って行った。そして健一の部屋のであろうドアを開け、健一を呼んでいた。そして大樹が玄関に戻ってくる。


「今手が離せないから部屋まで来てくれってさ」

「うん、ありがとう」

「ところでさお姉ちゃん」

「うん?どうしたの?」

「お姉ちゃんって兄ちゃんの彼女なの?」

「ふぇ!?」


梨沙は変な声を出してしまった。


「その反応...図星?」

「そ、そんなことないよ!」

「別に隠さないでもいいよ。兄ちゃんに彼女できたのは意外だけど、お姉ちゃんなら大丈夫かなって思うから」

「そ、そう?」

「うん、だから隠さないで良いよ!それに...」

「それに?」

「お姉ちゃんが本当にお姉ちゃんになるなら、俺も嬉しいかなって」

「そ、そっか」


梨沙は嬉しそうに、だけどうつむいた。恥ずかしさが上回ったのだろう。そのタイミングで、先ほど大樹が顔を入れた部屋。健一の部屋から健一が出てきた。


「...なにやってんだ?梨沙」

「わわ!健一君!」

「大樹も、梨沙が来てるなら部屋に連れてこいって言ったろ」

「あ、兄ちゃん。わりぃ。ちょっと話てて」

「ま、話すなとは言わんがほどほどにな。終わったら部屋に連れてきてくれ」

「ほーい」


健一は再び部屋に戻る。


「お姉ちゃんごめんね、立ってるの辛いでしょ」

「ううん、私は大丈夫だよ。大樹君こそ大丈夫?」

「俺は大丈夫。と言うか、あんまり兄ちゃんを待たせるのも悪いし、俺はテレビでも見てるかな」

「お話したいなら私はいいよ?」

「いや、兄ちゃんの所に行ってあげて。絶対寂しがってるから」


大樹はニヤニヤしながら言った。そして大樹は軽く手を振ってからリビングに向かっていった。梨沙は靴を脱いで上がり、健一の部屋に入る。


「ん、来たか。悪いな俺が行けなくて」

「ううん、大丈夫。それより、手が離せないって何してたの?」

「あぁ、それはだな」


健一はノートを見せた。


「ノート?」

「あぁ、俺たち金曜休んだろ?その分を少しな。さすがに計算の途中で放っておくのもできなくてな」

「健一君、意外と真面目だね」

「意外ってなんだよ...まぁいいや。梨沙はやってないのか?」

「うん。よかったら教えてくれない?」

「あぁ。いいぞ。あ、その前に飯食うか?今日俺の当番だから俺が作るんだが」

「当番?」

「あぁ。母さんは仕事が忙しいから、母さんが遅い日は大樹と俺が日替わりで飯作るんだ。で、今日は俺の日」

「そうなの?じゃあ私も手伝う!」

「いや、そこまでしなくていいぞ」

「私が手伝いたいの!だめ?」


梨沙は自覚はないだろうが、上目遣いでお願いしていた。健一はそんな梨沙を見て、断ることもできず、


「...なら手伝ってもらうか」


そう言った。




健一は梨沙にエプロンを渡した。健一も自分のエプロンをつける。ちなみに、梨沙に渡したエプロンは健一の母のものだ。


「今日は何を作るの?」

「冷蔵庫見てから決める」

「え、献立決めてから料理するんじゃないの?」

「いや、そのとき冷蔵庫にあるもので作れそうなもの作るって感じだないつも」

「......」


梨沙はあきれていた。そんな風にして栄養がしっかり取れるとは思えないのだろう。


「健一君、冷蔵庫見るね?」

「あぁ、構わんぞ」


梨沙は冷蔵庫を開ける。冷蔵庫はそこそこ大きく、数日分の食材は保管できそうなサイズだった。その半分くらいが埋まっていて、肉:野菜=5:4で入っていた。残りの1は果物、調味料類。飲み物はノーカウント。


「健一君。これだけあればいいもの作れそうだから任せてもらえない?」

「何があるんだ?......これならチキンカツに野菜と果物でもよさそうだが」

「い・い・か・ら!私に任せてもらえない?」

「...梨沙がそこまで言うなら任せるかな。手伝い欲しくなったらいえよ」

「うん、わかった!」


健一はエプロンを脱ぎ、リビングのソファに座る。


「...よし!」


梨沙は気合を入れ、食材を取り出し調理を始めた。時間的にも手ごろな方がいいため、揚げ物は却下。それが梨沙の考えだ。彼氏の料理にも興味があったろうに。


数十分後。いや、1時間と少しくらいか、梨沙が出来上がった料理を持ってきた。


「はい、どうぞ!」

「...梨沙、俺が見た限りひき肉は人数分無いように思えたが」


梨沙が出したのはハンバーグと千切りのレタス。それに果物。そしてスープだった。


「これ、普通のハンバーグじゃないんだよ?食べてみて!」

「本当?お姉ちゃん。普通のハンバーグじゃないの?」


一口食べたのか、口元にソースをつけた大樹がそう言った。


「これね?豆腐が入ってるの。豆腐ハンバーグだよ!ひき肉が足りないなと思ったから豆腐を入れて大きくしたの」

「なるほど...これなら肉を取りながら栄養も取れるな」

「健一君は簡単に考えすぎだよ...あの時間から揚げ物しても余分な脂落とせないから胃がびっくりしちゃうよ?」

「そうなのか?考えたこともなかったな」

「俺も考えたことなかった。お姉ちゃんすごいや!」


健一も大樹も感心していた。梨沙はあきれるばかりだ。

みんな完食してくれて、梨沙は少しうれしそうにしていた。皿洗いは梨沙と健一でやっていた。大樹はそんな二人を見ていた。


「なあ兄ちゃん」

「んだ?大樹」

「やっぱり付き合ってるんだよね?」

「...いいや。お前が前言った通り、俺に彼女なんてできるわけないだろ?」

「でもお姉ちゃんは兄ちゃんを彼氏みたいに言ってたよ?」

「...梨沙?」

「私は言ってはいないよ?!聞かれたから何も答えなかっただけ!」

「それって肯定してるも同然じゃん」

「そう...かな?」

「はぁ...まあいいか。そうだ、俺たちは付き合ってる」

「だよね。なんで隠してたの?」

「お前、絶対茶化すだろ」

「茶化さないよ!だって...」

「だってなんだよ」

「お姉ちゃんが本当にお姉ちゃんになるならうれしいし」

「大樹君またそれ言う...」


梨沙は顔を真っ赤にして照れた。健一もまた、言っている意味を理解して照れている。


「でもさ兄ちゃん」

「どうした」

「まだ決まってないとはいえ、引っ越すかもしれないんだよ?お姉ちゃんがかわいそうだよ」

「「......」」


梨沙も健一も口を閉ざしてしまった。そして、手も止まってしまう。


「え?まさか忘れてたわけじゃないよね?」

「忘れてはねぇ。それを梨沙にももう話している。そのうえで付き合ってるんだ。それに引っ越すかはまだ分かんねえんだ」

「うん、もう知ってる。それでも...残りが短かったとしても一緒に居たいから」

「そっか、お姉ちゃんもわかってて付き合ってるのか。だったら何も言わないよ。お似合いだしね!」


また梨沙と健一は顔を赤くする。


皿を洗い終わると、互いに風呂を済ませた。あたり前だが、別々に入った。その後健一の部屋にいるのだが...


「ここはこの公式を使って解く」

「あー、そっか」


ご飯前に言っていたように、勉強をしていた。もっと恋人らしいことがあるだろうに。


勉強がひと段落したところで、健一の母が入ってきた。


「ん、母さん帰ってきてたのか」

「えぇ。梨沙ちゃんいらっしゃい。ゆっくりしていってね」

「あ、はい!ありがとうございます!」

「これ、飲み物。大したものじゃないけど」


持ってきたのは市販のジュースだった。


「あ、そうそう健一」

「ん?どうした」

()()()()、決まったから」

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