表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋の色は濁り色  作者: ピチュを
2章 二人の恋路
21/47

2章 6話 健一の変化

「はぁ...」


湯船に浸かっている健一は溜息をついた。


「どうしたもんかなー...」


そう健一はつぶやいていた。さっきの、梨沙の父との会話を気にしているのだ。


「ま、今考えても仕方ねぇか」


思い切った健一は、この問題はとりあえず保留ということにした。




風呂から上がった健一は、部屋に戻ったが、梨沙が梨沙の父と話していたのでしばらく外で待っていた。




「健一君?」

「...」

「健一くーん」

「...」

「健一君ってばー」

「...」

「健一君!」

「おっと、どうしたいきなり」


梨沙の部屋で二人きりになっていた梨沙と健一だが、健一はなんだかぼーっといるみたいで、梨沙の呼びかけが聞こえていなかったみたいだ。


「どうしたじゃないよ!何回も呼んでるのに返事してくれないんだもん!健一君こそどうしたの?」

「あぁ、わりぃ。考え事してた」

「考え事?」


考えていたのはもちろん梨沙の父との会話。保留にしようとは思ったものの、どうにも頭から離れない。だがそれを話すわけにはいかなかった。


「あぁ。ふと思ったんだ。明日は学校だし、俺の荷物全部を持っていくことはできないだろ?」

「うん、そうだね」

「となると、必然的に、明日の学校帰りはここになるわけなんだが...」

「それがどうかしたの?」

「...弟に見つかりたくねぇと思ってよ」


それは本心ではあるが、今とっさに考え付いたごまかしでもある。あれを話すわけにいかない以上、どうにかごまかさなければならない。


「弟君に?どうして?」

「あいつの性格から、俺に彼女ができたなんて知れたら絶対に茶化される」

「あー、なるほど。確かにそうだね。なんか、からかいそうな感じだったし」

「あぁ。...ん?梨沙お前、大樹だいきと会ったことあったのか?」

{補足:高尾たかお 大樹だいき。健一の弟。番外編『日曜日デート』にて登場。}

「うん。といっても今日、健一君のものを貰いに行ったときに少し話しただけだけど」

「...」


これは100%...いや、120%ばれた。健一はそう確信した。


「健一君?」

「いや、なんでもない」


梨沙は健一の顔から察したのか、ちょっと申し訳なさそうな顔をしていた。だから、


「え?健一君?」


健一は梨沙の頭に手を置いた。


「お前が気にすることじゃない。言ってなかった俺も俺だからな」

「健一君...」

「さ、湿っぽいのはやめようぜ、あまり好きじゃないしな」


そういって健一は布団に入る。時刻は午後10時。健一はいつもなら寝ている時間だ。だが梨沙は、


「健一君、もう寝ちゃうの?」

「ん?いつもこのくらいに寝てるからな」

「そうなんだ...」


少し寂しそうな顔を見せた。それを見た健一はあることをしようと思ったのだが、すぐにあれを思い出し、行動に移せなかった。


「健一君?」

「...悪い。やっぱもう寝るわ」

「そっか...うん、じゃあまた朝ね。おやすみ」

「...あぁ」


そのまま健一は本当に寝てしまった。




健一が寝てしまって、梨沙は実質一人で部屋に居る状態だった。


「...健一君、どうしたんだろう」


健一は、梨沙が風呂を上がってから。そう、梨沙の父との会話の後から、あからさまにおかしくなっていた。


「私がお風呂に行ってる間になにがあったんだろう...」


梨沙は心配になっていた。最愛の人が、ほんの数分合わないだけでここまで変わってしまったのだから。


「健一君、私、ちょっと寂しいよ...」


梨沙は、涙こそ出はしていなかったが、泣きそうな目はしていた。


「...勝手にごめんね、健一君...」






朝。健一は目を覚ます。


「ふあぁ...」


大きなあくびと共に、体を起こそうとしたがなぜか体が重たく感じた。というより、何かに引っ張られているようで、なおかつ絞められているような感覚だった。何が起きたのか確認するためあたりを見回した。すると答えはすぐにわかった。


「すー...すー...」

「...は?」


梨沙が健一と同じ布団で、健一の首に腕を回して寝ていた。


「おい、梨沙」

「ん~...すー」

「まいったな...」


梨沙は割と朝が弱い。今までのことからそれがある程度分かっていた。ただ、このままというわけにもいかないので仕方ないと思いながら、健一は梨沙を起こすことにした。

始めは頬を突き、起きないようなので肩をつかみ揺すってみる。


「これでも起きないのか...」


軽い反応はあるものの起きる気配がない。


「仕方ないか...」


健一は梨沙の髪を避けて、額に口をつけた。






「んん...」


朝になって梨沙は軽く目を覚ました。何か頬やら肩やらに違和感はあったが、あまり気にするほどではなかった。が、そのとき、今度は額に違和感が出た。こればかりは流石の梨沙も目を覚ます。すると目の前には健一の顔があった。


「...!?」


一瞬固まった後、梨沙は文字通り飛び起きた。


「お、おはよう...健一君...」

「あ、あぁ。おはよう」


健一はなんでもないような顔をしてあいさつした。梨沙はやはり驚いていたようだ。


「あの...なんかいろいろ変な感じがしたんだけど...」

「いや、さすがに俺も腕を回されて動けないのは困るからな。起こそうとしてた」

「あー、だから肩とかに違和感があったんだ」

「あぁ、揺らしたからな。痛くはなかったか?」

「ううん、大丈夫。それで、あの...起きた時に近くに顔があったのは...?」

「それは...あれだ。俺が動けないから必然的にそうなる形になったんじゃないか?」

「あ、そっか。ごめんね?なんか知らないうちにそうしてたみたいで...」

「まぁ、構わんが」

「あ、そろそろ準備してリビングいかないと!早くしないとお母さんが来ちゃうよ!」

「ん」


そう言って支度をしだす。もちろん、付き合っているとはいえまだ恥ずかしい面もあるため一方が支度しているとき、一方は部屋から出るようにしている。梨沙が支度しているとき、健一が部屋の前で待機しているのだが、そのとき梨沙の父が来た。


「おはよう、健一君」

「おはようございます。えっと...」

「普通に御父さんでもいいよ?」

「あ、いえ、さすがにまだそれは...」

「そうかい、なら呼びたいように呼んでくれればいいよ」

「はい...」


なんだろう。健一は疑問を抱いていた。あんな話をしておいて自分たちの恋を応援しているようにしか接してこない。


「それでなんだが、健一君」

「はい?」

「昨日の話は覚えているよね?」

「...忘れたくとも忘れられませんよ」

「実はね、昨日の話。梨沙にはしていないんだ」

「え?」


てっきり昨日の話に続きがあると思っていた。だが、そうではなく、梨沙に話していないと言う梨沙の父。


「じゃあ昨日梨沙と話していたのは?」

「あれは単なる世間話みたいなものだよ。梨沙が恋をして、どう変わったのかいろいろ聞きたくてね」

「はぁ」

「それでなんだ。このことに関しては君に任せようと思う」

「俺に...ですか?」

「そうだ。君もこの話を聞いて結構困惑しただろう。だから、梨沙に話すか悩んでいたんだ。だから、梨沙に伝えるかどうかは、君に任せる」

「...」


健一としてはありがたいことでもあっただろう。ただそれと同時に、重荷を背負ったともいえる。


「梨沙のこと、よろしく頼むよ」

「それは...はい...」


健一の返事はあまり元気のあるものではなかった。

そして梨沙の父がリビングに行ったとほぼ同時に部屋のドアが開いた。


「健一君お待たせ!次いい、よ...どうしたの?」

「いや、なんでもない」


健一の顔は完全に曇っていた。梨沙は心配そうな顔をしている。健一にはそれが辛かった。だが、梨沙の父の言葉も軽視はできない。


「とりあえず支度してくる」

「あ、うん...」


そうして健一は部屋に入った。






「いってきまーす!」

「いってきます」

「いってらっしゃい!」


梨沙の母に見送られ、健一と梨沙は学校へ登校する。少し歩いたあたりで梨沙が口を開く。


「健一君、聞いてもいいかな?」

「ん、どうした?」

「朝、お父さんと話ししてたでしょ?昨日の話覚えてるかってやつ」

「...あぁ」

「昨日の話って、なんの話だったの?」

「大した話じゃないさ、梨沙への気持ちを聞かれたんだ。あまり半端な気持ちなら今すぐにでも──」

「嘘だよ!」

「!?」


いきなり怒鳴った梨沙に、健一は驚いた。普段怒ることは多少あるにしろ、怒鳴ることは滅多にない。


「梨...沙?」

「あ、ご、ごめん...」

「あ、いや、大丈夫だ。驚いただけだから...」

「う、うん...」


それからはお互い、話を切り出すこともなく学校へ着いた。




学校へ着くなり、里美が寄ってきた。


「おはよ!梨沙!高尾!なんだかんだで平和解決...ってどうしたの?二人とも暗い顔して」

「あ、里美。おはよう。ううん、なんでもないの」

「そう?具合とか悪いならすぐに言いなよ?」

「大丈夫だよ。里美は心配性だなー」

「うーん、大丈夫ならいいんだけど。高尾はどうしたの?」

「いや、なんでもねぇ」

「そのトーンは何かあったでしょ?ま、言えないようなことなら詮索はしないけど」


正直ありがたい限りだっただろう。いくら何でも他言はしたくない。それが健一の本音だ。正直なところ、このことは梨沙にすら話すべきなのか迷っているはずだ。


「ささ!暗い顔してても何も始まらないよ!授業だって始まるんだから」

「そ、そうだね!」

「だな」


そうして空元気に返事する二人。ただ、その空元気すらも、今はただ悲しく思えてくる。

おはこんばんにちは!ピチュをです!

おかげさまで、次回で第20話(1章2章含めて)になります!

何やら重苦しい雰囲気になっていますが、18話(2章5話)に書かれていた「二人の恋が狂う」とは一体どういうことなのでしょうか!


そんなこんなで、これからも気ままに執筆、投稿していきたいと思っていますので、どうぞこれからもよろしくお願いします(o*。_。)o

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ