1章 1話 恋の始り
どうもみなさん!ピチュをです!今作品で2作目になります。相変わらず更新は気まぐれで、誤字脱字が多々あるかもしれませんのでご指摘頂けると幸いです。
それでは『恋の色は濁り色』どうぞ!
「ここが今日から行く学校かー」
入学式と書かれた板が立て掛けられている学校の校門に大勢の人が居るなかにひときわ目立つ、1人の女子がいた。
彼女の名前は鈴城梨沙。
金髪のロングで身長はやや低め。それ以外特に目立った見た目はない。
日本産まれ日本育ち。小学2年生の時に親の仕事でイギリスに行っていてつい一昨日帰ってきた帰国子女ってやつだ。そして、帰ってきてすぐに高校の入学式なのだ。
親を説得し日本の高校を受験し見事に受かり、この高校に入れたのだ。ちなみに恋愛経験はない。
入学式が終わり教室でホームルームをしている時、
「すんません、遅れました」
ガラッと教室のドアを勢いよく開けて1人の男性が入ってきた。
黒い髪で身長は高め。髪をツンツン立たせていて、登校中どこか行ったかのように制服がよれよれになってた。
「早く席に着きなさい」と言われ苦笑いしながら席に行き座った。その席は梨沙の隣でその男性が座った時教室のみんなは笑っていた。そして担任の話が終わり次は何かと思っていたら
「じゃあ次は出席番号順に自己紹介してもらえますか」
と言った時にクラスのみんながざわめき梨沙もどうしようとおろおろしてると隣に座ってた遅刻した男性が
「焦らなくても普段通りでいいんじゃないの?」
と言ってきた。その時梨沙は彼に一目惚れをしてしまった。低く凛々しい声、顔もよく優しい性格なのではと瞬時に判断したのだ。
「あ、はい。そうですね」
と笑顔で返し梨沙の番になって席を立ち、クラスメイトの方を見ると男子の目が異様に輝いて見えた。
「あ、えーっと。鈴城梨沙です。小学2年生から親の仕事でイギリスに行っていて、つい一昨日帰って来ました。いろいろな点で迷惑をかけるかも知れませんがよろしくです!」
と頭をペコッと下げるとほとんどの男子が声を出しながら拍手をしていた。
それから自己紹介は順番に続き、隣の男子の番になった。しっかり聞こうとすると彼は自己紹介をすぐに始めた。
「余市中学から来た高尾健一だ、よろしく」
と軽く挨拶をした。回りからは「まじな余中か」とか、「余中ってあの有名な?」とか聞こえくる。そこで梨沙は思わず健一に聞いたのだ。
「ねえ、余中ってそんなに有名なの?」
「余中を知らない人なんていないと思ってたが、いたんだな」
「まあ、イギリスに行ってたからね」
「あぁ、帰国子女だったか。そりゃ失礼したな」
そう会話してると先生に「静かにしてくれー」と言われみんなに笑われた。
ホームルームが終わり家に帰る時に健一と帰りたいと思い健一のところに行こうとしたが梨沙の回りにはクラスの男子が集まっていて帰ろうに帰られない状況だった。
「好きな人とかいるの?」とか「英語しゃべれんの?」とか「イギリスでは何をしてたの?」とか質問攻めをされていた。おかげで健一に声をかけるどころが、迎えに来ていた親すらも帰ってしまった。
「はぁ…歩いて帰るか」
そう言って校門を出ると後ろから大きな声で名前を呼ばれた。
「梨沙ちゃーん!」
梨沙の名前を呼びながらクラスメイトの女子が走ってきた。梨沙はまた質問されるのかなと少し落ち込んでいたら、
「梨沙ちゃん!家どこかわかんないけど行けるとこまで一緒に帰ろ?」
「え?」
梨沙は驚いて彼女の顔を見た。
「あ、ごめん、今日自己紹介したばっかりでわかんないよね。うちは前川里美。なんか男子にいろいろ聞かれてたよね?良かったら私にも教えてよ!」
「え、あ、うん。いいよ」
「あと、梨沙って呼んでいい?」
「うん、いいよ」
そういうと里美はニコッと笑って梨沙の隣に並んで歩いた。
里美は梨沙よりも小さいが気が強い。髪も黒のセミショートで可愛らしい子だ。
歩きながら今日聞かれたことや、新しく里美に聞かれたことに答えていると、ふとした時に里美がこう聞いてきた。
「そう言えば帰国子女なんだよね?イギリスってどんなんだった?」
「とっても綺麗だったよ!学校とかは英語しか使わないから大変だったけど、友達もいるし楽しかった!」
梨沙は質問に答えていると、里美はメモ帳に何かを書いてた。
「ん?何書いてるの?」
「いやー、私忘れっぽいから地道にみんなのこと聞いてメモして仲良くなろっかなーってね」
里美はそう言うと笑った。梨沙もつられて笑ってしまった。そこに里美はさらに質問してくる。
「ねえ、彼氏とかいるの?」
「えええぇ!い、いないよ!いきなりそこ聞くの!?」
「梨沙の反応面白い。ごめんね、いきなり」
里美は笑いながらそう言った。梨沙は「もう!」と少し頬を膨らませながら頭では、
『今ので好きな人がいるってばれてるのかな』と少し不安になっていた。
「あ、うちこっちだから。短い時間だったけどありがとういろいろ教えてくれて!明日もよろしく!」
「うん、わかった。バイバイ」
そう言うと里美は大きく手を振ってから走って行った。
「ただいまー」
梨沙が家に帰るとご飯が出来ていたが疲れたのかご飯を食べずに部屋に行きベットに横になった。目を閉じると健一の顔が浮かんで思わずかき消した。
「私に恋何てできるのかな?」
独り言の様にいうと梨沙はそのまま寝てしまい、起きた時には夜だった。明日は話かけてみようと決心した梨沙だった。
次に日になり、声をかけようとしたがやはり男子に囲まれ質問ばかりされて、ろくに話すことができない。それどころかチラッと健一を見ると女子に囲まれてて健一も大変そうだった。
「はいはい男子諸君、梨沙が困ってるからその辺にしてあげて」
と里美が男子の合間を縫って入ってきた。そうすると男子は「すまなかったな」と言い残して去っていった。中には何も言わない人もいたが去っていったのでいいかなと思った。
「里美さん、ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。それと里美でいいよ」
「うん、わかった」
里美と話してる時にふと健一を見ると、健一はまだ女子に囲まれていた。そのなか梨沙と健一は目があった。梨沙は顔が赤くなり目を反らした。その時
「それでね…梨沙?どうしたの?」
「え?あぁ、何でもない」
「顔真っ赤だよ?熱でもある?」
里美は異様に心配してくれて少し申し訳なくなったが言い出せなかった。
「大丈夫だよ、里美って心配性なんだね」
と梨沙は笑った。
その後先生が入ってきて1時間目のホームルームで、
「じゃあ教頭先生からも許可が出てるから、隣同士の2人ペアで校内を歩いて来ていいよ。この時間が終わる5分前には教室にいるように」
と言って先生は教室のドアを勢いよく開けた。それと同時にほとんどの人が教室を出ていった。梨沙、健一の2人は出遅れているにも関わらずゆっくり場所を確認しながら歩いていた。何せ校舎はでかいもので端から端に行くのに歩いて15分はかかるかもと言われている。そんな中梨沙は身長差がありハッキリとは見えないが健一の顔を見ていた。
「ん?どうした帰国子女。俺の顔になんかついてるか?」
「え?いや、何もついてない。っていうか帰国子女じゃなくて名前で呼んでよ!」
「悪い、男子半数くらいしかまだ覚えてなくてな」
「はぁ、鈴城梨沙。梨沙でいいよ」
「じゃあ鈴城でいいか?」
「何でよ!いいけど」
「あ、ここが職員室か」
と健一が止まったのは職員室ではなく事務室だった。
「なに言ってるの健一君、ここ事務室だよ?職員室はこの上」
「あれ?見間違えてたか」
とボケたのか本当に間違えたのかわからないが、梨沙は面白いと思いつい笑ってしまった。
それから何事もなく時間が過ぎ下校時間になった健一は帰りのホームルームが終わるとすぐに教室を出ていくのでゆっくり話すことができない。そこに里美が来て
「どうしたの梨沙?ボーッとして。あ、もしかして…」
と言うので
「多分里美が想像してるものじゃないよ」
と言い返して置いた。
なーんだと言いながらカバンを持ち突然里美が言い出した。
「ねぇ梨沙、これから時間ある?」
「え?ないことは無いけど…」
「部活見学行こうよ!私興味ある部活いくつかあるし1人じゃ心細いし」
「部活かー、私もいろいろ見たいから一緒に行こ!」
そう言って2人で部活を回って行った。
特にこれと行った出来事もなく見学が終わり、
「梨沙は何か部活入るの?」
「まだ決まってなーい」
などと話していたら梨沙は帰り道で健一を見かけた。
「あれ?健一君じゃない?」
「あ、本当だ高尾だ」
と言うと里美は健一を呼び止めた。
「ん?あぁ、前川と鈴城か」
「健一君と里美って知り合いなの?」
「あぁ、と言っても小学校が同じだっただけだが」
「高尾と同じ高校とか本当に笑ったよ」
「健一君帰りこっちなの?行けるとこまで一緒に帰ろ」
そう提案すると何も言わずに健一は歩き出した。
「あれ?なんか変なこと言った?」
「あれが高尾なの。提案されたら無口で返す、今のはいいよってこと」
変なとこあるなと梨沙は思ったが健一の後を追って横に並んだ。
それから会話もそんなにしない内に里美が離れた。梨沙と健一は2人で帰っていた。
「あ、私の家ここだから」
と言うと横に健一の姿はなく辺りを見回すと向かいの家に入ろうとしていた。家の名札を見ると『高尾』と書かれていた。
「健一君って私の向かいに住んでるの!?」
「おまえの家俺ん家の前だったのか」
と健一は驚いた表情ではなかったが少し声が変だった。
「そうだったんだー。あ、じゃあまた明日ね!」
そういった時には健一はもう家に入っていた。梨沙も家に入った。
梨沙はご飯を済ませ部屋に入ると、疲れた表情でベットに座った。
「健一君って結構表情固いんだなぁ」
と気づかない内に呟いていた。
恋は単純じゃないよ神が言っている気がした。