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恋の色は濁り色  作者: ピチュを
1章 恋の行方
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1章 13話 決意 決断 意思

「鈴城か?」

「え?」


公園にいた梨沙は突然、聞き覚えのある声がして驚いた。声のした方を見るとそこには...。


「健一...君?」

「やっぱ鈴城か」


そこには健一の姿があった。


「あら?これが健一君?」

「う、うん。でも健一君、なんでここに?」

「用事が済んで帰ってたら聞き覚えのある声がしてな、それで来た。」

「なんか運命的じゃない?!」

「こらあや。茶化さない」


香恵と彩香はなにやらニヤニヤしながら梨沙と健一の会話を聞いていた。


「お前こそなんでこんなとこにいんだよ。帰ったんじゃねぇのか?」

「そ、それは...」


もちろん梨沙は言えない。言おうものなら2回目の告白になる。それどころか、相談していたことを知られたら、嫌われてしまうかもしれない。

そう思うと、梨沙は口を開けなかった。


「梨沙は気分転換に公園に来てたんだよ。そこにあたしとかーが来たの。ね?」

「そ、そうだよ!梨沙が居る所にあたしとあやがきたの」

「なるほどそうだったのか」


苦し紛れの言い訳だが健一は納得したようだ。

だが、


「ん?鈴城?目元が赤いが...泣いてたのか?」

「え?!う、ううん!そんなことないよ!えっと...そ、そう!ちょっと目にゴミが入っちゃって、目をこすってたから!」

「そ、そうか」


梨沙の必死さに健一は驚いていたが一応納得した様子だった。


「じゃあ鈴城。帰るぞ」

「う、うん」

「じゃまたね!梨沙!」

「梨沙、またね」

「うん!またね!...あ」


健一は優しく梨沙の手を取った。

その手は大きく男らしい手だと、梨沙は感じた。

だが、健一はかなり速いペースで歩きだし、梨沙を引きずられるように帰って行った。






「...行っちゃったね」

「そうだね」


公園に残された彩香と香恵は呆然としていた。


「いや、あの健一君が来るのはまだ予想できなくはなかったけど、まさか手を引いて帰るとは...」

「予想外にもほどがあるってもんだよ...」

「...あたし達も帰ろうか」

「けど、いいのかな。あの感じだとなんかまずいことになるんじゃ...」

「大丈夫じゃないかな?健一君は度胸あるから、しっかりやってくれるよ」

「...ま、あやがそう言うなら信じるけど」


そういって彩香と香恵は帰路をたどった。








「ちょっと健一君!?引っ張らないでって!」

「あ...わるい」


梨沙の声で我に返ったのか、早歩きで梨沙を引っ張っていたことに気付く。


「そんなに急いでどうしたの?」

「ちょっと...な。余裕がなくて」

「余裕がないってなんで...あっ」


梨沙は心からの疑問だった。だが、何かを悟ったようにうつむく。その目には、うっすらと涙があるように見えた。


「そっか、そうだよね...健一君は...」

「なんだ?」

「健一君は、里美を選んだんだよね...だから、昨日告白した私の前じゃ、何をしたらいいかわかんなくて余裕がないんだよね...」

「は?お前、何を──」

「もう何も言わないで!」

「!?」


梨沙は怒鳴った。健一はその姿を初めて見ただろう、あまりの驚きに一歩後ずさる。


「今日の用事って、里美でしょ?告白されたんでしょ?」

「ちょっ、おま!なんでそれを!」

「昨日ね、里美が用事あるって遅れて、二人きりになったでしょ?あれね、里美は用事があったわけじゃないの。わざと二人きりにしたの」

「...は?なんでわざわざそんなこと」

「里美はね、昨日電話で、私が告白しなかったら明日告白するって。私は里美に告白したことを言ってない。だから今日、里美は告白するってわかったの」

「...そんなことが」


健一は何か言いたげではあったがこれ以上言ってもまた拒まれる。だから軽く相槌を打ってうた。


「里美は本気だったの。私も本気だったけど、里美の気持ちには勝てないし、健一君も里美と話しているほうが楽しそうだったし...だから私はいいの。健一君が里美を選ぶってことはわかってたから...」

「鈴城...俺は──」

「言わないで!」


健一は我慢できずにあることを言おうとする。だが、梨沙の怒声に健一はもう一度後ずさる。


「わかってるから...里美を選んだこと!わかってるから!」

「あ、おい!鈴城!」


梨沙は走って行ってしまった。


「はぁ...まさかこうなるとはな...」


一人取り残された健一は膝から崩れ落ちた。


「でも、このままじゃらちが明かねぇな。」


しばらく崩れたままになっていた健一だがこのままではいけないと、立ち上がり梨沙を追いかけた。







「はぁ、はぁ、はぁ...」


梨沙は全力で走っていた。息が上がりきっていることも梨沙本人は気づいていないだろう。

公園から家までもそこまで離れていなかったのですぐに家に付いた。

だが息がいつも以上に上がっているのに気付くと、親に心配されるかもしれない、そう思うと家に入れずにいた。

その時、


「鈴城!」


健一が走ってきた。梨沙は驚き、逃げるように家に入ろうとするが健一に手をつかまれ逃げられなかった。


「離して!健一君!いいの!わかってるから!」

「いい加減にしろよ!」


パシンっと言う音が響いた。健一が梨沙の頬を叩いた音だ。


「健一...君?」


梨沙は叩かれた頬に手を当て、健一を見る。


「俺はまだ何も言ってねぇ、勝手に決めつけるんじゃねぇよ」

「でも!里美は今日健一君に告白するって──」

「あぁ、されたよ。そして昨日お前にもされた。だがお前に返事もしてないのに告白を受けてんだ、返事と共に今日のことを報告するのが義務ってもんじゃねぇか?」

「そ、それは...」


梨沙も心の中ではわかっていた。健一が返事を返そうとしてるのも。だが、それが怖かった。怒鳴ってでも、嫌われるとしても、里美を選んだのなら返事は聞かなくてもいい。だから逃げた。でももう逃げられない。梨沙は覚悟しながら健一の言葉を待った。


「俺は、もう迷わない。ここで全部言わせてもらうぞ」


健一は大きく深呼吸してから言った。


「前川からの告白、断った」

「え?」


梨沙が『なんで?』と言うような顔をしていると健一は梨沙の手を引き、自分の胸の中に梨沙を入れ抱いた。


「え?え??」


梨沙は大いに困惑していた。それもそうだ、梨沙の中の健一は自分を見ようとしていなかった。なのに今は健一に抱かれている。


「一回しか言わねぇぞ」

「う、うん」

「鈴城。俺はお前が好きだ」

「うん...え?...え!?」

「お前、言ったよな。俺に向かって、俺が好きだって」

「うん...」

「あの時返事しようとして、前川が来て、何も言えなくて、ずっとモヤが残ってたんだ。あの時の返事も、今と同じだ」

「そ、そっか...そうだったんだ...」


梨沙に入っていた力が抜けていき、梨沙は、健一に体を預ける形になる。


「一回しか言わねぇって言ったが前言撤回するわ。改めて言う」


健一はまた大きく深呼吸すると、


「鈴城、俺はお前が好きだ。付き合ってくれ」

「はぃ...はい!」


梨沙は泣いていた。今日流した涙の中で、一番輝いていて、熱かったと思う。

そして健一の目にも光る者が滲んでいた。


この日、二人は結ばれたのだ。

おはこんばんにちは!ピチュをです!

投稿が本当に月1ペースになりかけてますねw


何とかここまで書けました!これも読者の皆さんのおかげです!ありがとうございます!

今回の13話でやっと結ばれましたね!作者の私としても「やっと結ばれたか!」といった感じですw

今回でクライマックスを迎えましたが、まだまだ続ける予定なので末永く見守っていただければと思います!

今後とも応援のほど、よろしくお願いします!(・ω・)

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