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ゲームが⇔現実になったら。  作者: タナカつかさ
全てが始まる前に。
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プロローグ

 ゲームって何だろう?

 友達と遊ぶ道具かな。引き籠りになる原因かな。受験勉強の邪魔かな。

 それともオタクになる病原体みたいなものかな。

 まあ、何だっていい、中にはゲームをするから犯罪者になる、なんてことをまだ言っている人がいるけれど、それってメディアに乗せられて意図的な差別対象を作ってるのと同じじゃないかな? ほら、昔で言うところの――非国民? 敵、まともじゃないみたいな。もっと身近なところで言うと『いじめ』かな? いじめられるのが嫌だからあえてそういう対象を作るとか、最低だよな――

 話がズレたね、本題に戻そうか。

 

 ――これはゲームの話だ。


 ゲームって何だろうか。

 人を傷つける物か、人を癒すものか……ちょうどいい暇つぶしかな?

 人の成長を邪魔するものかな? それとも、その中で、大切な何かを教わるものかな?

 でもこれって全部さ、その人それぞれなんだよね。遊びのゲームから何かを見出す人は――他の場所や物でも何らかを見つけられる人が多くないかい? 例えばそうでない人は、それが会社、学校、バイト、部活……単なる人間関係でも、なんでも。

 そこで何も見つけられない人が多いと思うんだよね、いつでもどこでもつまらなそうな顔をしてるっていうかさ。

 楽しもうとしてない、っていうかさ……。

 あれだよ、ゲームが下手な人によくある奴さ。

 まず何を理解すればいいのか分らない、その遊び方が分らない、ゲームのヒントが見えてるのに気づかない――ゲームが嫌いな人、つまらない人って多分、皆こんな経験をしてないかい?

 それで遊ぼうとする人は嫌でもそれを見つける。遊びたくないと思ってる人は、最初からそれを見つけられない。探そうとする人は見つけられる。探す気が無い人は見つかるわけがない。

 それと同じさ。

 何も求めていない人は、だから何も分らない、だから何も楽しくない、むしろ、つまらなくなりそうなそんな理由を探して見つけている。

 だから、何も見つからない。何も思い出にならない。

 どこに居ても、何をしていても。どんな大切な言葉も、物も、人間関係も、取り零してしまって何一つ手の中に残らない。

 だから、こんなふうに思ってしまう――

 

 そもそもゲームなんて――

 

 ――クリアしたら何がもらえるの? 

 ――それってなにか現実に出来るの? 


 違うかい?

 

 それこそ、くだらない考えじゃないかな?

 

 そもそも、ゲームはゲームさ。

 

 ゲームにゲームは何なのかなんて哲学は必要ない。

 遊んで、楽しむためにある。それ以外の利益なんて存在しない。

 遊びは遊びであるがゆえに、即物的で恒久的な欲求なんて無粋なのさ。無駄でいいさ、消えていいさ、廃れていいさ……心の中に思いでさえ残りさえすれば。

 時間を忘れて楽しい時間を過ごした。そんな経験さえ与えられれば。

 ゲームは十分、その役割を果たしている。

 それに、ここまで聞いていれば分るだろう? 

 変わる人はとっくに変わってるよ。ゲームなんてしても、しなくても。

 その人の何かを、自分自身の手で運命を切り開いて行けるんだ。

 ……そういう人なら、ただ普通にゲームをやっていても、攻略本やチートをしなくても、普通にクリアまで行けるものだろう? 現実でも、必死に、悩んで、探して、目の前にある問題を飛び越えてさ。

 

 それがたとえ創られた世界でも、ゲームの中でも。

 

 ――そこにある勇気を、優しさを、愛や希望を、その胸の中に育てているのかも知れない。

 

 ……そうじゃないかな?


 作られた夢の中から、夢を貰ったことは無いかい?

 

 それは全て――現実ではなんにも成らないものなのかな?

 

 でもそうだな、もし――

 ゲームをプレイしていたら。

 仕事が出来るようになったとか。

 学校の成績が上がったとか。使える知識が出来たとか。

 性格が良くなるとか。

 そんなことが出来たら――どうする?

 

 人を本当に変えるようなゲームがあったらどうする?

 君は何が変わりたい? 何を変えたい?

 現実、身体、心、知識、経験、人間関係、友人関係、それこそ人生そのものまで―― 

 もしゲームをプレイングすることでそれらが変えられるなら――

 そこで仲間が出来て、冒険をして、穏やかな日常を暮らして、自由に生きて。

 運命さえ変えられる――そんな力に目覚めたら?

 

 それはどんなゲームだと思う?


 人生を変えてしまうようなゲームに出会えたら。

 

 それこそ世界を変えてしまうようなゲームがあったら。

 それが本当に世界を変えてしまったら。――その世界で、現実の君はどうするのかな? 

 はは、つまらないことを聞いてしまったね? これはもしそんなゲームがあったらという話さ、現実にはそんなゲームあるはずがない。それこそクリイターや世界の常識――その予想外の出来事でも起きない限りはね。でもきっと、それはきっと現実以上の、でも現実と変わらないゲームなんじゃないかな。

 日常を壊すのは非日常――

 ……それも現実と変わらない。

 だからこそね、ゲームも現実も本当にそれを楽しんだ人こそがPLAYER――最高の楽しむ人、と、呼ばれるんだと思うよ。人生はいつだって楽しいわけじゃない、辛くて、苦しくて、悲しくて、情けなくて……そんなことの連続だ。

 そんな物語の中でプレイヤーになれた人間こそが主人公と呼ぶに相応しいと、君は思わないかい?

 そして、自分の物語の本当の価値を、認められる人なんじゃないかな? 

 

 ははは、済まない。話が長くなってしまったな。

 やれやれ、大人になるとどうも愚痴とボヤキが多くなってしまって困るなあ――。

 

 これはボヤキさ。いつか語り合った。

 もうゲームを楽しめなくなった一人の人間の、ちょっとした愚痴と。

 一人のプレイヤーの。

 希望と、後悔の。

 

 ――始まりの、モノローグ、って奴さ。



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