猫で行こうぜ5
太郎が眺めている中、町民達が集まってきた。
町民A「何だ!なんだ?…おお!神よ!感謝します!」
町民B「やったぁぉぁぉぁ!救われだぁ!長老!見てくださいよ!」
長老は杖をプルプル震わせ涙を流している。
町民達は小踊りを踊っている。
空腹の太郎はイライラした。
太郎(感謝してるなら飯だ!2、3人ブチ殺して脅してやろうか!)
そんな太郎の横で嘆く声が聞こえてきた。
男「あぁぁぁぁ〜」
男は頭を抱えながら泣きそうな顔をしている。
太郎「グズグズしてんじゃねー!」
男はギョッと太郎を見る。
太郎「見てる間に飯持ってこいや!!」
太郎は瓦を男の目の前に軽く蹴りつけた。
『チャーン』
瓦の割れる音に驚き、男は半べそをかいて近くの酒場に行って肉を持ってきた。
男「ど…どうぞ?」
男は太郎を見る。よく考えたら何故猫にペコペコしなきゃならない…そんな表情だ。
太郎は構わず、ステーキ肉にかぶり付いた。
猫にとってはマンモス肉だ!
猫(しょっぱい…けど!美味い!ミディアムレアだ!)
男「俺の…飯…」
太郎はステーキを平らげ、口の周りをペロリと舐めた。
太郎「で?」
男「はい?」
太郎は前足で顔を洗う、ステーキ肉のとても美味そうな匂いが髭にこびりつく…良い気持ち…
太郎「で?何で嘆いてた?」
男「猫…ですよね?」
太郎は満腹なので怒らない…眠くなってきた。
太郎「話してごらんよ」
男「は…はぁ?…」
すぐ話せば良いのにグズグズと!
太郎はイライラしてきた。
太郎「もう良いや…そういうリアクション嫌いだし…面倒になった」
男「ご…ごめんなさい!待ってください!」
太郎「話せってんだよぉ!」
男「ひぃ!」
男は村人達の方をチラリと確認して話し始めた。
男は冒険者と嘘をついてこの村で生活していた。
村人達は貧しいながら守ってもらおうと男を養っていたらしい。
男はこんな村に価値はないだろうとタカをくくっていた。
水の確保が困難なこの土地で水は高級品、あんなに吹き出ると直ぐにでも野党が来るだろう男にはそれを守る力量は無い…
という事らしい。
太郎は地面に座り尻尾をゆっくりと左右に振る。
太郎「ふーん…肉くれるなら協力しても良いぞ」
男「協力って…猫に…」
太郎「まぁまぁ、敵が来たらそれっぽい感じで路地裏に入れ、あとはなんとかする」
男「はぁ…」
男は思考するのをやめたらしい、喋る猫なら何とかするのだろうと…
水の出た周りは どんちゃん騒ぎだ。
先程の男も呑気に参加している。
太郎のお腹を太鼓の音が振るわせる…心地よい。
太郎は酒場の屋根で寝る事にした。
太郎(ああ…月が綺麗だなぁ)
太郎が身体を丸めながら見た月は美しかった。