猫で行こうぜ4
風が身体中の毛を揺らして心地よい。
太郎(ああ…腹減ったなぁ)
太郎は放物線を描いて飛び続けていた。
太郎(このまま行くと遠くに見えるあの村に落ちるな)
もう陽は落ちて辺りは暗いが、猫太郎には見えている。
家の屋根が沢山あり中央には処刑台の様な柱が一本だけ立っている。
周りには人影は無い。
太郎(中央のはなんだろう?民家に落ちたらかわいそうだし…仕方ないな中央に落ちようっと)
太郎は身をよじり軌道修正をした。
このまま行けば中央に落ちれそうだ。
中央の柱は穴を掘る道具らしい、よく見ると周りも穴だらけだ。
太郎は穴の中にすっぽりと落ちてしまう。
太郎の足がもう直ぐ地面に到達する。
太郎(面倒だから着地と同時にジャンプして出よう)
『バガッ』
太郎の脚は穴の底にあった岩盤を叩き割り、岩にはまった。
太郎(面倒くせーなぁ!)
『バカッブブブブブ』
太郎はジャンプしようとして、さらに岩盤を叩き割るが上手くジャンプ出来ずにまだ穴の底だ。
太郎は脚にブルブルした振動を感じる。
『プシューッ』
水が噴き出て脚を押し上げる。
太郎は昔学校で蛇口を取った時に水が噴き出し止まらなくなった事を思い出した。
『ブシュシュシュシュ〜』
太郎は水に押され穴から噴き出した。
穴から出た太郎は身体中びしょ濡れになっていた。
太郎の毛はペタペタに体に張り付き物凄く不快だ。
太郎は慌てて身体中を舐め回すが、焼け石に水…いや、濡れ猫にティッシュか…
水の音を聞き人が集まってくる。
太郎は近くの屋根に上りその様子を見学する事にした。