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投資家オンライン紀行(仮称)  作者: プロジェクト夜屋
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7/15

はじめてのくえすと、はじめてのふぃーるど。(2)

元日投稿。(ただし予約設定だけどな!)

 森にはイノシシ型のモンスターが配置されている。モンスター名は「フォレストボア」。まんま過ぎるので正式名称では呼んでやらない。イノシシ扱いとする。奥の方に行くと狼が出るので行かない方がいい、との町のNPCとの会話で出ていたのでこれはおそらく分かりやすいフラグであろう。チュートリアルクエストの範囲内では遭遇することは無さそうである。イノシシはあまり多数の群れは形成しておらず、1、2頭単位で行動している。採取を進めたいので、無理な戦闘は行わず、適度に戦いを避けつつ移動していたが、全てを避けようとすると効率が悪い。迂回すると地形上時間を取り過ぎそうなところ、明らかな採取ポイントが見えてきていて近い場合などは狩っていくこととする。


 戦略は、シカの時と同じく遠距離の優位を生かしてまずは何射か入れてからを基本としていたが、さすがに草原にいたシカと同じに数射で倒せるということはなく、ようやくゲームっぽい戦闘シーンが繰り広げられていた。


 突進してくるイノシシを適当にいなしつつ、後衛の方に流れていかないようにうまく誘導する大塚。突進の合間合間に弓と魔法が飛ぶ。氷系の魔法は、同一箇所を重複して狙った場合、涼音さんの選択した単純なダメージ稼ぎよりも部分氷結による機能低下を狙える。ダメージ役と支援役を兼ねたスタイルである。突進をいなす4度目の闘牛士プレイが大塚の手により成功したところで、右前脚が部分氷結を起こし、移動阻害のステータス異常を引き起こした。これで、通常移動は出来るが突進は出来ない。足を引きずるようにして回避もままならない状態になったところで、こちらも攻勢に出る。弓は命中と反応力重視の速射ではなく、立ち止まって一撃の威力を高めた射撃法に切り替え、戦闘開始時から使っていた一撃の威力を上げる打撃強化のスキルに合わせてクリティカル率を高めるスキルも合わせて発動させておく。こういうのは攻めどきを逃さず、畳みかけるのがポイントである。防御と回避を重視していた大塚も戦斧を両手持ちにして斬りかかっていた。

 眉間を射ぬかれ、首にクリティカル級のダメージを受けて沈没するイノシシ。やったぜ父ちゃん、今夜はイノシシ鍋だ、とか言いたいところであるが、肉が取れるかはドロップ品の発生確率による。こういうあたり、別にゲームだから良いのだけれどもなんとなく理不尽で恨めしい。イノシシ鍋、機会があるなら食べてみたいじゃないですか。

 

 剥ぎ取りを二人に任せ、念のため奇襲発生に備えて周囲の偵察から戻ってきたら案の定取れたのは牙と毛皮であった。フラグとは立てると基本悪い方に流れるものなので、イノシシ鍋はまたの機会としよう。毛皮についてはそれなりの値段で売れることだろう。グラスガゼルと同じく、町に戻ったら扱いを決めればよい。


「それにしても」


 装備を確認し、戦いで受けたダメージを町売りのポーションで回復させつつ大塚が感想戦に入る。


「1頭なら捌けそうだが、2頭以上を開けた場所で同時となるとちょっと3人だとしんどいかもな。全員遊撃で揃えて移動力で戦うか、あるいは戦士職二人に補助一人で正面から戦う方が上手く行きそうな気がする。ダンジョンとかになるとまた別だろうが。いきなり消耗戦はしたくない。黙々とモンスターとエンカウントして戦い続けるよりも、上手く戦う条件を引き出していくタクティクス性が思ったより高いゲームかもしれんな、これ。スキルやステータスばっかりになるより面白いかもしれん。」


「ただ、あまりそっちに行くとプレイヤーのハードルも高くなる。βテストの目的は、ゲームシステムの完成度というよりは、そういった難易度想定のチューニングかもしれない。」


「でも、私でもある程度出来るのだから慣れの問題じゃないかしら。」


 それぞれに意見が異なる。少なくとも分かるのは、シンプルな遊び方も出来るものの、単純なコマンド型プレイではないものが目指されているということ、また、ユーザーのハードルが上がり過ぎないためであろうが、ある程度のオートプレイも可能でありコマンド戦闘に近い形でも遊べるようになっていることである。むろん、我々はゲームシステム評価が主目的なのでマニュアル操作を基本に進めている。ざっと触ってみた感じ、多少の慣れは必要なものの使いにくさや煩雑さは感じない。アクションゲーム的な動きになってしまうことを上手く飲み込めば戦っている感も良く出ていて面白い。


 何回か似たような遭遇戦を繰り広げつつ、たまに出会う、同じくβテストにやってきたプレイヤーと情報交換をしつつ採取活動を進める。違う方面からやってきた相手とだと見てきたエリアが違うので行き先が互いにはっきりして良い。採取ポイント探索や虫捕りも終え、案の定鉱石の採取ポイントよりも植物系の採取ポイントを先に見つけてしまい、ポーション素材の採取が先になったことで、涼音さんが似合わないお嬢様高笑いを披露するなどもあったが概ねは順調に進んでいた。懸念された回復専門職不在による回復能力の不足も、無理して突っ込まない限りは大丈夫そうである。採取のみを目的として時間効率をそこまで突き詰めないのならかなりのところまでイノシシ戦も回避できる。攻略を突き詰めないのであれば、このメンバーでも一通り出歩くことは問題ないであろう。このように、プレイスタイルによって難易度を自分で調整出来、適度な歯ごたえも感じられるのはチュートリアルクエストとしては悪くない。


 二つ目の鉱石ポイントを終えたところで、クエスト目標分もそれぞれが個人的に欲しい素材もあらかた集められた。あとは、消耗品を仕入れてやってきていることから、ポーション代を何らかの形で賄えるところまで持ってこられるとクエストとしては純利が出てプラスである。ゲームであろうともリターンの出ない活動はむずむずするのは本職投資家としての逃れられない癖か。ざっと計算するとクエスト報酬でほぼとんとんか少しプラスになるのが分かっているが、クエストの失敗率や先々の活動を踏まえると余力が欲しい。帰り支度をしつつも、採取ポイントはこまめに回ることにする。


 ちなみに、虫捕りは特定の採取ポイントではなく、隠れているのを見つけたら捕まえられるという仕組みになっており、レンジャー職の索敵強化キャラの天下であった。各種の採取ポイントを探している間にあっさりクリアされ、売値はさほどではないのは事前に分かってはいるものの、このメンバーで出かけた際の手堅い収入源となることが確定している。退屈さは増すものの、イノシシ戦は積極的に避け、ひたすら虫捕りだけして帰るというのも、もしかすると稼ぎの効率としてはポーションの消耗を避けられる分だけ悪くないものになるかもしれない。


 帰り支度気分なので配分方針も決めておく。薬草は男いらない。鉱石は女いらない。自分は特定の生産職ではないのでどれも自己用途ではいらない。よってその分それぞれが欲しいもの多めに。虫は売ってしまう。クエスト報酬と虫と毛皮などの総収入は、基本は等分としつつ素材を受け取った人は現物渡し扱いとして現金部分は減らす。結果、何をどう扱う職業なのかまだ分かってないスクロール商人は、商人の名のごとく現金を一番多く受け取ることになった。現金最強、現金万能、現金最高。しかし、現金増えるのは諸々買えて悪いことではないが、このサブクラスはそのうちスクロールを売ったり買ったりとか出来るようになったりするのだろうか?そのために現金貯めてるような形になるのだろうか?


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