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第9話 神埼美影VSアビネス

「闇人……!?」


「ハッハッハッ、やっぱしらね~のかぁ」


アビネスはケラケラと嘲笑い

驚く美影の表情を楽しそうに見つめながら


「お前達が人間なら、俺達は一歩先を進んだ新種ってところだな?

 まぁ俺はこんな姿だけどよ!」


(だからネックレスが反応しなかったんだ…)


闇人は破壊神の細胞により複製されたもので

失敗と、成功を繰り返し完成したのが闇人と呼ばれ

超人的な力と闇授力を持ち合わせている

アビネスは6番目に誕生したため、闇破會では第6幹部と呼ばれているようだ

この闇授力は幹部達しか得ることができず、階級的にも次元が違う


「ほら、さっさとお嬢ちゃんの神授武器出しな?」


アビネスは余裕の発言をし、闇授力は出す気配は無い

美影はネックレスをギュっと握り締め

より、ネックレスを纏う光が大きく輝いた


「お前を、私が処理する…黒鎖!」


美影の手に神授武器の黒鎖が召喚された


「ハッハッハッ!!おもしれぇやってみなお嬢ちゃん!!」


一旦、距離を離れ様子を見ようとしたアビネスの身体には

既に黒鎖が巻きつけられていた


「むっ…こんなものっ……!」


胴体を巻きつけられ、必死に解除しようとするが


「私の黒鎖からは逃れない…二呪…ビセンリュウタオツメニ」


そして、右手をかざし呪文を唱えた

美影の黒鎖にはもう1つ五呪と呼ばれる能力が隠されていた

五つの呪文を最大、美影は唱えることができ神授者の中でも

美影の能力は極めて異例なのだ



「ううううおおお!!!!!」


呪文を唱え終わると巻きついてた鎖全体が火で包まれた

骨の全身を焼き尽くされていくアビネス


「ニ呪は鎖全体を火で包む…火あぶりの呪い…!」


火は徐々に強まりたちまちアビネスの全身を焼き尽くし

数十秒後には羽織っていたマントもアビネスも消滅した

残っていたのは黒い炭の塊だけが落ちていた


「終わった……?」


思った以上にあっさり終わったかとに違和感を覚える


当然、この程度で破壊することはできず



「ひでぇなお嬢ちゃん!普通の突然変異種なら死んでるぜ」


ケラケラと笑いながら美影の背後に立つアビネス

すぐさま振り返り、アビネスに身構えると

アビネスの全身を覆っていたグレーのマントの袖口部分から手だけ現れ

両手で黒い鎌を持っていた


「それが…闇授武器…?」


「ああそうさ…俺の闇授武器はこの闇鎌さ…それとな…」


パシッ


美影に躊躇無く鎌を振り降ろしたが

黒鎖で、きちんとガードをした


「!?」


すぐさまアビネスの近くから身体を引き離し

間合いを取る


「何を…したの…?」


自分の身体に異変はなかったが

あまりにも不審な行動だったために、思わず敵に聞かずにはいられなかった

するとアビネスは


「もうすぐで分かるぜ~…ハッハッハッ!」


小馬鹿にしたように美影に言い放ち

数分後、アビネスの文字通り異変は起きた



「え…」


手にしていた黒鎖がネックレスにへと戻り

何度召喚しようとしても、黒鎖に変形することができない


「どうして…?黒鎖…黒鎖……!!」


何度、自分の武器の名前を叫ぼうが一向に変わらない


「ハッハッハッ!!やーっとかかった…俺の闇鎌に斬られると神授武器、自然力は

 最低3分は使用できなくなるのさ…武器や能力を殺すことができるのは俺ぐらいだな…」


にやりと口元を歪め

闇破會のアビネスも美影と似たような力の持ち主だ

闇鎌に備え付けられた能力


「俺はこの力を死の能力と呼んでいる…つまり3分間はお嬢ちゃんをグチャグチャにできるってことだな…」


アビネスの眼には既に無力の美影が映っていた

後は自分の思うがままに、切り刻むだけなのである


(3分…それまでどう逃げ切るかに懸かってる…!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーー


「うーっす、…あれ美影は?」


事務所から、何の連絡も無かったが

暇故に事務所を訪ねることにした、亮二と宗司

事務所にはパソコンと向き合っている朱野さんだけがいた


所長からは、あのことは内密にしろといわれていたため


「所長は今諸事情で出かけてるところだ…すぐ戻ってくるだろう」


「ふーん、そうですか…じゃあ亮二としばらくここで待っとくか」


「うひょー!!すっげぇこれが事務所か!」


まるで無邪気な子供のように目をきらきら輝かせ

薄汚い事務所を見渡す亮二


(薄汚い事務所で、よく無邪気にはしゃげんな…)


と、嫌味交じりの言葉を心の中で呟いた


朱野さんに言われた通り、しばらく美影を待つことにしたが

一向に帰って来る気配が無く不吉な予感だけが漂っていた


(おっせーな美影のやつ…)


今の宗司にはイライラではなく、不思議と不安な心でいっぱいであった

相変わらず亮二は暇そうに事務所のテレビを見ている


「朱野さん…」


パソコンと向かい合っている朱野の背後に立ち声をかけた

朱野は振り返ることなく返事を返した


「何だ?」


「美影…諸事情っての嘘ですよね…?」


宗司には、あの時の朱野さんの発言が言い訳にしか聞こえなかった

まだ美影との付き合いは短いのだが

助手として彼女についているせいか人一倍、彼女のことが気になるのだ


朱野はふんっと鼻で笑い


「諸事情は諸事情だ…すぐに戻ってくると言っただろ」


「違う!」


誤魔化そうとする朱野に一喝を放つ


「お願いです朱野さん…本当のことを…」


俺は、必死の思いで懇願した

そして、俺の考えていたことが最悪のパターンが現実にならないことを必死に祈っていた


すると、長い沈黙のあと、朱野さんがパソコンの電源を切り


「所長は今、街外れの倉庫街で…幹部と戦っているはずだ…」


内密にしろと言われていたが、朱野自身も危険と判断し

真実を話すことにした


「くっ…!!もう出て何時間だよ…!急いで助けにいかねぇと…!」


「待て…!」


朱野さんが宗司の肩を掴んだ

その手を振り払おうとしたが、朱野の力は異常なまでだった


「離せよ…!こうしてる間に美影が…!」


「所長がなぜ1人で行ったか分かるか…?」


「…それは、俺達を巻き込みたくないからだろ…美影の性格なら分かる…」


すると朱野の掴んでいた手がより力を増した


「いっ…」


「それが、どういう意味か分かるか…?俺の口からは言いたくはなかったが

 今のお前達が行っても幹部に惨殺されるだけだ…足手まといなんだよ!!」


突きつけられた現実


朱野に突きつけられた言葉をすぐには受け止めることができなかった


拳を血が出るほど強く握り締め俯く


「分かってるよ…そんなこと……!けど俺はもう覚悟したんだ…この戦争を終わらせるって…!

 ここで止まってたら、いつ進めって言うんだよ!!!」


「…」


すると、力の緩まった朱野の手を振りほどき

事務所のソファで爆睡していた亮二を叩き起こし、一緒に事務所を出て行く


取り残された朱野さんは目頭を押さえ、ソファに腰掛ぼそりと呟く


「馬鹿だれが…」


宗司を止めることは、最早誰もいなかった

ただ、ひたすら美影を助けたいという気持ちが彼を駆り立てる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーー


「はぁっ…はぁ…!」


血まみれの身体で両膝をついたまま

見下ろすアビネスを睨みつける美影


「可哀想になぁ…綺麗なお嬢ちゃんが真っ赤に染まっちまったぜ…」


闇鎌には夥しく美影の血液が付着していた

死の能力により、黒鎖を使用することができずただひたすら攻撃を避けていた美影にも

とうとう限界が近づいていた


(迂闊だった……!逃げ切ればいいと思ったけど…あの能力の所為で

 すぐに武器を出しても壊されてしまう…黒鎖がないと…五呪まで使えない…!)


アビネスは非常に美影を気に入り

このまま、じっくりと痛めつけることを決めたのだ


「ハッハッハッ…ダースには早く終わらせろって言われたけど

 こんなに綺麗なお嬢ちゃん…ほっとくわけにはいかねぇなぁ…」


グサッ


鎌を軽く、美影の右肩に振り下ろした

赤い液体が、その場で噴水のように肩から噴き出た


「ぐっ……あっあ…!!」


「たまんねぇぜお嬢ちゃん…」


既に自分の快感を満たすためだけに戦闘をしているアビネス

これが幹部の実力だ…神授会の中でも相当な実力を美影を

まるで子供と遊ぶかのようにいたぶっている



「さぁてお嬢ちゃん…次はその綺麗な腕を斬り落とそうか…」


「!…」


美影の右腕に鎌を構えていたアビネス

そして、斬り落とそうとしたその時



スッ



人影がアビネスの懐に潜り込んで来た



当然、反応の遅れたアビネスはガードする暇がなく



「懐に潜りこんでからの…左アッパー!!」


人影の正体は宝石拳をはめた亮二であった

亮二は左手でアビネスの骨の顎を打ち上げた


ほんの少し、アビネスの上体が揺らぎ、その隙に


次の人影がアビネスに真っ直ぐと刀を振り落とし切り刻んだ


「ったく…世話のやける所長だぜ…」


そこには神滅刀を振り落とした宗司が美影の前に立っていた


「そ…宗司!?」


切り刻まれたアビネスは急に声のトーンが低くなり


「誰だ貴様等……」


宗司は敵に臆することなく真っ直ぐと言い放つ



「神授者探偵事務所所長の助手だ!!!!!!」


いよいよ神授者探偵事務所VSアビネスの戦いが勃発…!

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