第16話 崩壊した街(ウォール)①
安久津と神授者探偵事務所の留守番?をしてから
およそ4日が経った
美影からこまめに事務所に連絡がきた
安久津が言うには、今回の事件は美影と朱野さんの2人で大丈夫なみたいだ
そして、今日も相変わらず安久津(外道)に雑用扱いをされていた
「リモコンどこやねん!リモコン!」
「は…はいただいま!!」
宗司はまるで旅館の従業員かのように
事務所の中を走り回った
狭くて片付けもまともにされていない事務所で
物を紛失すれば見つけることは困難なことだ
「はい!リモコン!」
「よっしゃ…ってボタンほとんど取れてるやんけ!!?」
パコン!とリモコンを投げつけられ
「いってええな!!!いい加減俺に何か教えてくれよ!!あんた神授会の幹部なんだろ!?」
「なんで俺が教えなあかんねん…」
と、安久津は苦々しい表情を浮かべながらあっさりと断った
安久津の性格上、弟子など取る気はサラサラない
好きな言葉は「自分の力で何とかしろ」要するに教えるのがめんどくさいのだ
元々、神滅刀を持つ宗司には興味は持っていたが
アビネスとの戦闘を見る限り戦力としてはゼロ…いやマイナス分ぐらいであった
そのマイナス分を、どう補うかは宗司次第だ
だがこのまま戦闘力が上がらないのも困るのも事実だ
よっこらしょっと、親父臭い言葉を安久津が発しイスから立ち上がった
「せやな…ここにずっとおるんも暇やし、俺の仕事手伝ってもらおか!」
ニカッと笑い
「何の仕事だよ…?」
どうせこの男の言う仕事など危ない仕事かと思ったが
どうやら、神授武器の捜索のようだ
「まぁ神授武器…運が良けりゃそのまま神授者が見つかればラッキーやねんけどな」
「行き先は決まってんのかよ?」
次の神授武器捜索の場所として室長から指令を受けていた、その場所とは
「崩壊した街や」
…崩壊した街
この事務所から飛行機でおよそ12時間ほどで着く街だ
住宅のあちらこちが崩壊しており
住んでいる住人は、ほとんどいない
ウォール街にあるのは、崩壊した住宅とたくさんの瓦礫だけだ
数百年前に起きた内乱が原因で、ほとんど住人が他国へ移住したのだ
つい昨夜…住人の数人が謎の生物に惨殺をされたのだ
その生物の調査も兼ねて、ウォールの場所を室長が選んだのだ
本来、安久津だけが調査するつもりだったが
経験を積ませるために危険を承知で宗司をサポート役としてつけた
「それからもう1人、現地集合で助っ人呼んでるからな…」
崩壊した街…始