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第14話 もう1つの脅威

「来るで…美影ちゃん…!」


美影と安久津の2人は目の前にいた宗司に対して戦闘の構えをとった

だが、宗司は真っ赤にした眼でこちらを見つめたまま動かない


「……?」



とてつもない空気が張り詰めていた

両者ピクりとも動かないまま


すると、宗司がその場で崩れるように倒れた



「な…なんや!?」


2人は慌てて、宗司の元へ駆け寄ると

身体を抱き起こして見てみると、先ほどアビネスにつけられた傷は

完全に修復しており

真っ赤に染まっていた眼も元通りに戻っていた


「元の宗司に戻ってる……?」


美影も驚いた表情のまま、気を失っていた宗司を見つめた


「恐らく、まだ侵食し切れてへんねんやろ…いつまた出てくるか分からんが…」


「ん…」


2人が会話を進めていると

気を失っていたはずの、宗司が欠伸をしながら眼を覚ました

キョロキョロと辺りを見回し



「あれ…?2人ともどうしたんだ…?」



…あのことを覚えていない?


自身が破壊神の容れ物として扱われていることを知らなかった宗司

恐ろしいのは、彼がこのまま人格を乗っ取られ

いずれは神授会を襲い…世界をも破滅させてしてしまうかもしれないということだ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーー


ーーーーーーー



幹部襲撃後から2週間が経ち


亮二は負傷のため1ヶ月程、自宅近くの病院に入院中だ

見舞いに行けば彼は元気そうに話をしてくれるが

幹部と戦った時に、ほとんど力を出せなかったことのほうが悔しかったのかもしれない



美影と朱野さんは新しく入った、殺人事件の調査を進めていた

どうやら郊外の高級住宅街で建て続けに放火がされたのだ

恐らく、闇破壊達の仕業と思い郊外へと出て行った




そして宗司は…




不在の間の神授者探偵事務所には



宗司と、神授会幹部の安久津が留守番?をしている



「はよお茶入れんかい宗司!冷めたお茶何て飲みたないねん!」



パコッと安久津の履いていたボロボロのスリッパを後頭部に投げつけられた

今にも飛びついてスリッパで叩いてやろうと思ったが

ここは、神授会幹部ということを忘れず我慢をした



「分かったよ!今入れてるよ!!」



ったく…俺が何で幹部と一緒に留守番しなきゃなんねーんだよ…

安久津に聞けば、室長からの命令と言っていた


なんで室長が…



「ぶぁっ!!!あっつっ!!!」


茶を入れた容器を手に持ち飲もうとした時

あまりの熱さに、口から緑の液体を吐き出した



「うわっ…!汚ねぇな…!」


「ドアホ!!こんな熱いもん飲めるかァ!喉詰まった時にこんなお茶持ってこられたら

 クレーム殺到やぞ!!」


パコッと再び、スリッパで頭をどつかれた後に

お茶の淹れ直しをさせられた

やるせない気持ちのまま、渋々湯飲みを持ち淹れなおした



ようやく、丁度いい熱さで淹れられた湯飲みを安久津に渡した

軽く飲んだ安久津は満足そうな表情を浮かべ

テーブルの上に置いてあった、和菓子の饅頭を口の中に頬をばった



宗司は、ようやく一段落つきソファに腰掛けた



「まぁ、雑用のスキルはまぁまぁやな…」


「雑用のスキルって何だよ…!?」


俺は思わずツッコミを入れた


「つーか、何時まであんたと一緒にいなきゃいけねーんだ?」


「さぁな…しばらくは美影も帰ってこうへんし。」


というより、放火事件があったなら俺を呼んでくれて良かったのに…

美影なりに俺にまた気でも遣ってくれたのか…?

アビネスの事件以来、何だ俺に対して冷たい態度のような気も…


「ウソだろ…しばらく俺はあんたの雑用として使われるってことか…」


宗司は思わず目頭を押さえ、大きくため息をついた


「というわけで、次回から雑用者探偵事務所始まるで!!」


「勝手に始めんな!!!」


相変わらず、この男と話すと調子が狂ってしまう…


嗚呼…美影早く帰ってきてくれ…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーー



神授会本部…



「室長、昨夜のウォーム街での事件だが…」


幹部の1人の水陰が室長に

ウォール街と呼ばれる、北米の街で起きた連続殺人事件の資料を室長に見せた

数枚のウォール街の風景の写真をデスクの上に置いた


「壁が…えぐれてるの…?」


「調査官によれば、人間の仕業ではないとのことだ…」


「つまり闇破会の連中の仕業ということか?」


コクリと首を縦に振った水陰

恐らく、今回のウォール街での事件も闇破会の仕業で片付けられると思っていたが

室長ただ1人だけが、あることを懸念していた

今回の事件は大きく異なること点が1つあった


それは、殺された人間の皮膚が全て剥ぎ取られているということだ

闇破会の仕業だとしても、この事例は初めてのケースで

皮膚を全て引き剥がすなど何のメリット闇破会たちにはない



「ロイズの仕業ではないのか…?」


「奴はまだ死刑囚で監禁されておる…その可能性はない」


ロイズは…現在では元幹部と称されているが

その暴れん坊な性格なために、敵と味方関係無しに攻撃を加えてくる

そのために今は神授会本部の海底の奥底

「海の牢獄」と呼ばれる場所で現在監禁中である



「とりあえず報告はそれだけだ…私は他に行くところがある」


「うむ、ご苦労であった…」


クルリと背を向け、室長室のドアを開け部屋から出て行った

室長はしばらく何かを思い込みながら微動だにしなかった



(もうここまで来たか……)



静かに、脅威が世界にへと近づいていた



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