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第10話 導火線

「な…なんで宗司と亮二が……!」


美影は少し朱野に怒りを感じたが

自分が、同じ立場なら恐らく同じ事をしていただろう思った


「これも助手の役目だろ…美影はそこで休んでろ…」


宗司は頼もしくそう美影に言い放ったが

今の美影にとって、それはただの足枷にしかならない


相手はあの闇破會の幹部だ


いくら神授者の2人とはいえ、まだまだ神授武器を扱いこなせてない…

アビネスの傷は、徐々に修復していく

これも破壊神の細胞による効果であった


「ちっ、再生とかせっけーな…もっと大きなダメージを…」


「うっしゃぁ!俺の右ストレートをぶちかましてやらぁ!」


2人はより意気込み

徐々に修復させていくアビネスと向き合う


しかし、それを見ていた美影が唇をかみ締め


「…なんで来たの…逃げてよ…!!2人とも!」


その発言に疑問を感じながら2人は振り返る


「あ?何で死にかけの美影放って逃げなきゃならねーんだよ」


「そうだぜ、俺達ゃあんたの部下だ…その分給料は高くいただくけどな」


既に2人を止めることはできず

それと同時に、自分の無力が2人をこんな危険な場に連れてきたのだと痛感した

美影はフラフラな格好で立ち上がり、2人の後ろに立った


「分かった…2人の覚悟はようく分かったよ……だからほんの少しでいいから私に力を借して…」


そう言うと2人の耳元でヒソヒソと呟いた

その話を聞いた2人は冷や汗を垂らしながらコクリと頷いた


「上手く行けば…一発で仕留める事ができる…!」


美影の伝えた作戦を胸に留め、亮二と宗司は敵のアビネスへと攻撃を仕掛けた


(あああ…うざってぇなこの2人…俺は人間の男に興味は全くねぇ…)


まるで興味のないかのように飛び掛ってきた2人の攻撃を

防御すらせず受け止めようとした


美影の作戦はこうだ


死の能力は確かに神授者にとって厄介ではあるが

それ程の能力が高ければリスクもあるはずだと考えた美影は

あることを試すために、2人に攻撃を頼んだ



宗司と亮二が互いに攻撃を仕掛けた


亮二は右ストレートを顔面にぶち込み

宗司は渾身の力をこめて、刀をアビネスに振り下ろした


だが、2人の攻撃は闇鎌を盾に防御された


これにより2人の神授武器が元のベースの形に戻る


「あぁ!?俺の宝石拳が元のグローブに戻ってやがんぞ!?」


「どうなってんだ…?」


驚く2人に美影がゆっくりと説明をした


「あの鎌に、とにかく武器が触れれば3分は能力や武器が使えなくなるの…

 だから私の黒鎖も散々封じられて…」


「くっ…厄介すぎんだろ、その能力…!」


思わず幹部の能力の強さに戸惑いを隠せない

しかし、敵の能力を殺したはずのアビネスさっきまでの余裕の発言がなかった


その様子を見た美影は


「やっぱりお前のその死の能力は、恐らく2つ同時に殺せば

 その分、次に使うのには時間が必要…?どうかな…?」


「…」


美影の推測を突きつけられたアビネスは暫し黙った


アビネスの死の能力は、能力だけ見れば無敵だが

その分リスクが弊害する

通常、1つの武器や能力を鎌で触れれば3分間使えなくなり、その時は自身に何の影響も起きないが

先ほどの亮二と宗司の攻撃のように

【2つ同時に武器や能力を殺せば】その分死の能力を大きく使い

それにより自身も3分間、死の能力が使えずただの闇鎌にへと成り下がる

3つ4つ同時に抑えることになれば、より多くの時間をロスすることに

そのためアビネスは多数の相手との戦闘をひどく嫌うのだ


美影は最初の黒鎖でアビネスを捕縛し、ニ呪の能力を使った時

あの時武器の黒鎖とニ呪を使った時は闇鎌を使わなかったことを後に疑問に思い

ただ、単にアビネスが遊んでいるかと思い込んでいたが

亮二と宗司の攻撃の対処の仕方で、懸念が確信にへと変わった


「さすがお嬢ちゃん…俺の能力の弱点まで見つけちまうとはなぁ…」


しかし、依然とアビネスは焦る様子は無く

むしろこの状況を待ち望んでいたようだ


「だけど……これは予想してなかっただろう…!!?」


マントの袖口から出ていた右手を頭上に伸ばす

すると、辺り一面を闇で包み始めた


倉庫街、全体が大きな闇の空間に閉じ込められた



「なっっんだこれ!!?」


亮二が驚きの声をあげ、キョロキョロ視線を移動させていたが


ポツリと宗司が呟いた


「見え…ねぇ……?」


3人の視界には暗闇しか映らなかった

暗闇の中となれば、当然のことであるが

これは視界の見えない3人にとっては不利な状況だ


更に最悪な事態が3人を襲った


「ウソ……武器が発動しない…?」


3人の視界は暗闇で見えなかったが

手で自分の武器を触ると、元のベースの形に戻っている


すると、暗闇から姿の見えないアビネスの声が響き渡る


「ハッハッハッ!!!闇の世界へようこそ!!気づいたと思うがこの空間で失うのは

 視界と……お前達の神授力だ…!それも時間制限はねぇ、この空間にいる限りは永遠にな!!」


「!?」


この空間内にいる間は3人はいかなる能力も使用することができない


そして、静かに3人を暗闇へと陥れる…






そんな中、1人の人影が


少しずつ…その暗闇の空間にへと接近していた



果たして…敵か味方か……?




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