第二話 超絶ハイパーインフレーション時代
未来からやってきたとか言っている少女ミク。身長は青より少し小さいくらいのポニーテールガール。
彼女曰く、未来で起きる宇宙人との戦争を防ぐため青の協力が必要とのこと。協力するのはいいとして聞きたいことは大量にある。まずは
「一体どれくらい協力すればいいんだ?あと休日はあまり外に出たくないんだが」
「まずは何から手を付けたらいいかわかんないから〜わかんない!」
さっきの話からしてミクは結構ノープランで過去に来たらしい。とりあえず未来の戦争を止めるための計画が一日一週間一ヶ月で完遂するとは思えない。ましてや今から計画を練るとなると一年五年。下手すれば十年必要になると考えるだけで気が重くなる。
まあ、ミクの話が全部本当だったらと言うのが前提ではあるが
「これからの生活をどうするか早めに決めないと。まずは食料と住居から」
「そっか、未来人だから家がないのか。ここらへんなら薬局近くのマンションかなぁ。ってかお金あるの?」
それを聞いた瞬間、ミクの顔は急激に青ざめ滝のように汗をかく。ここまで全くノープランで来た女だ。お金を持っていなくても不思議ではない。
「いや、お金はあるんだけど...」
ミクは財布を取り出し、硬貨を七枚、紙幣を三枚取り出す。彼女の表情を見るにこれが全財産なのだろう。変なヤツという共通点の他に貧乏という共通点まで見つかってしまった。なんか少し嬉しい。
紙幣をよく見るとテレビでよく見る海外で活躍している野球選手が印刷されていた。そもそも200年後でも現金は存在しているらしい。キャッスレス決済が一般的なものになってきた頃、100年後には現金がなくなってしまうとか考えていたが、思わぬ形で答えが提示された。そもそも
「未来のお金ってここでは使えなくね」
「大丈夫!そんなときのために紙幣変換器があるんだから」
そう言ってバイクの後ろの箱?からまた訳のわからない機械を取り出し
「これにお金を入れたら同じ金額だけ別の時代のお金に変換されるんだよ」
機械にお金を投入し、出てきたのは――
――万札だ――
――数え切れないほどの万札だ――
見たことのない景色、欲望のシャワーに目を奪われる。言葉を失う。
「なんかいっぱい出てきたんだけどこれってすごいの?」
「すごいってもんじゃねぇ...超絶金持ちだぞ...」
「えっ?!たった6000億円で?!」
未来は超絶ハイパーインフレーション時代になっているのか。脳が情報を処理できずフリーズし動くことができない。
「これで全部回収できたかな」
お金は大好きだ。一枚の万札が財布にあるだけで無敵の気分で買い物に行く男だ。五枚も万札があるときには気持ち悪い笑顔を浮かべて一日中浮かれ続ける男だ。そんな男があんな大量の万札を一度に見てしまったらこうなるのは必然だ。
「へぇ大金持ちなんだワタシ。そうだ家を早く決めないと」
しかし、ふつふつと怒りが込み上げてくる。同じ貧乏仲間だと思っていたのに本当は超絶金持ちだったなんて。勝手に仲間だと決めつけたのは他でもない自分であるが、俺は裏切られた。
「ねえ、家が決まるまで青の部屋に泊まっていいかな?」
「いいわけねぇだろ!」
ミクは数日間ホテル生活を満喫することになった。




