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正しくない魔法の使い方  作者: 遠野月
選ばれなくてもいい【聖域】
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命の光


リナリアによる、聖域の光。

七色に煌めき、街を覆いつづけている。


従来の魔法にはない、独独の揺らぎ。

とはいえ、脆さは見受けられず、むしろ強固で、畏怖すら覚える。



「こいつあ、凄えじゃねえか」



聖域の外の魔獣を蹴散らしてきた傭兵団たちが、空を見上げて言った。

その傭兵団の中に、見知った顔の男がいる。



「たいした魔法使いだな、お前さん」



イグニスがヘラリと笑い、リナリアに手を振った。

リナリアは驚きつつも、オドオドと手を振り返す。


直後。

全身の力が抜け、リナリアは膝を折った。

寸でのところで両手を突いたが、今にも意識が途切れそうだ。



「おいおい、頑張りすぎちまったんじゃねえのか」


「わ、わかりません……」


「わからねえってこたあねえだろ。こんだけのことをしたんだ」



イグニスが聖域の光を指差す。

改めて見る聖域は、歪だが、異彩を放っていた。


帝国の魔法にも、結界魔法は存在する。

しかしそれは、静謐で、無機質的で、透き通る宝石のような美しさがあった。

リナリアの魔法のように、生命力を感じる聖域など、帝国の結界魔法ではありえない。



(でも……これだって、綺麗、かも)



リナリアの目に映る聖域は、これまで見たどんな魔法よりも眩いものだった。

自らの想いを編み込んだなどと、口が裂けても言えないが。



「……ちょっとは、すごく、できた、かな」


「ちょっとどころじゃねえだろ。街の魔導士にも、こんな立派なものは作れねえさ」



イグニスが大きく頷く。

彼のその目には、初めて会った時のような、憐れみや同情の色はない。

真っ直ぐにリナリアを見据えていた。


リナリアはホッとして、小さく笑みを浮かべる。

目を閉じた瞬間、意識がクラリと転げ落ちた。

次話は、2月15日更新予定。


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