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第30話 彼女の本性がだんだん分かってくるようになり



これまでは遠距離ということもあり、お互いの欠点などを知る機会もなかったため、数年くらい付き合いを続けられてましたが、同棲してしばらく経った頃、有里の本性がだんだん分かってくるようになりました。

 


例えば、賢人がいつも有里を優先することから、有里はいつしか賢人からの思いやりを当たり前のように受け取るようになり、「自分はそれくらいのことをしてもらって当然」という態度を取ってきたり、有里のブランド好きっていうのを、賢人は予め承知はしてましたが、それがものすごく異常で、有里は「自分は毎日仕事を頑張ってる」と言い訳を繰り返しては、頻繁にバックや小物を購入してたので、「さすがに度がいきすぎてる」と思った賢人は有里に対して、


賢人:有里、ブランド好きなのは承知してるけど、ちょっと浪費しすぎじゃないのかな?


と有里に思ってることを素直に主張しました。そんな賢人に対して有里は


有里:私のお金で購入してるんだし、賢人に迷惑かけてるワケじゃないんだからいいじゃん。

私の楽しみを奪わないでよ!


と言い返してきたのです。


賢人:別にブランド品を買うなって言ってるワケじゃない。ただ、いつか俺たちが結婚式を挙げる時や、今後の生活のことも考えて欲しいんだ!


有里:結婚式の費用なんて、私たちの親から出してもらえばいいじゃん。今時なんて、みんな親に費用出してもらってる時代なんだし!


賢人:確かに、そういう選択もあるだろうけど、俺は両親に極力負担はかけたくないし、何でも噛んでも親に頼りたくないんだよ!


有里:賢人って私より親の方が大事なんだね。じゃもういい!


という言い合いを繰り返しては、有里はいつも外へ出て行き、明け方まで帰って来ないということもしょっちゅうありました。また、有里は結構頑固なところがあるため、お互い価値観の擦り合わせができず、有里のブランド買いに対して賢人は少し不満があるものの、「まぁ自分のお金で購入してるだけ、まだマシか」とこういう時は決まって、賢人がいつも折れていました。



こういうやりとりが数年くらい続き、「もう有里とは別れた方がいいのかな」とそのことで何度も頭が過りましたが、賢人が30歳になる年、有里の妊娠が発覚しました。有里から妊娠の報告を聞いた時、賢人は「家族が増えて嬉しい」と純粋に喜び、これをきっかけに、賢人は有里と「結婚しよう」と決意したのでした。


有里:けんとー、今日もつわりが酷いから休むね。


賢人:そっか、分かった。何か欲しいものとかしてほしいことがあったら言って。


有里:ありがとう。それなら出産するまではお言葉に甘えるね!


賢人:じゃあ、俺仕事だから行ってくるね。


有里:いってらっしゃい


賢人は職場へ向かってる道中、こんなことを考えていました。「これまでの有里は、ブランド品ばかり購入していたけど、出産して親になったら、改心してくれたりするかな?」と少しだけ有里に期待しました。「自分は出産はできないけど、親になることには変わりはないし、我が子に会えるのが楽しみだから、有里が出産するまでは、俺が有里のサポートをすることにしよう」と心に決めたのでした。


職場に着いた賢人は、早速校長先生に結婚することを報告しました。



➖校長室で➖


賢人:校長先生、朝からすみません。実は報告したいことがありまして…


校長:どうした、そんな深刻そうな顔して。なんかトラブルでもあったか?


賢人:いや、どちかと言うと私的なことでして… 実は俺、結婚するんです。


校長:そうか、それはおめでとう!!

木村くんは校内で結構評判がいいから、まさか教師を辞めるって言うのではないかと思ってドキッとしたよ!


賢人:いやいや、確かに色んなことがありますが、そんな簡単に辞めたりはしないですよ!


と賢人は少し苦笑しながら言いました。


校長:ところで結婚式はいつ挙げるのかな?


賢人:それが彼女今、妊娠初期の段階で、ついこないだそれが発覚した状態で… ただ、彼女自身、多分式は挙げたいって言うと思うので、いずれは挙げる予定ですが…


校長:そのお相手というのは、ここの卒業生だったりするのかな?


賢人:校長先生、勘が鋭いですね! はいっ、俺が高校生の時、軽音部で有名だった彼女たちがいたじゃないですか?


校長:あーっ、そういう時代もあったな。君たちその頃からの付き合いだったのか?


賢人:いえ、実は成人式の時に再会して、それから交際する関係になって、今に至る感じです。


校長:そっか。それでその中の誰なんだ?


賢人:古田って覚えてます? その子です!


校長:古田さんかー、彼女も元気にしてるか?


賢人:はいっ、今はあの頃よりもずっと派手になってますね笑


なんていう会話を校長先生とした賢人は、その後職員室で朝礼の時に、結婚することを報告しました。当然ながら、職員室内はほとんどの先生が驚き、特に新卒で入ってきた新人教師は、その報告を聞いて、すごくガッカリしている様子でした。また、その情報は生徒にも伝わり、特に女子生徒のほとんどが、賢人が結婚することに対して、ショックを受けてる様子でした。

その後、小川先生が賢人の方に駆け寄り、賢人に放課後、耳打ちしながら「少しの時間でいいから」と飲みに誘いました。



➖放課後 居酒屋で➖


小川先生:木村くん、改めて結婚おめでとう。あなたもいよいよ結婚かー。あの新人教師もそうだけど、生徒たちの間でも、あなたのこと狙ってる子たちたくさんいるのよ! 「賢人先生って彼女いるのかな?」とか「賢人先生の座は私がもらう」って感じで、取り合いになってるところを見たことあるし!


賢人:へぇー、そうだったんですか? 全然気づきませんでした。


小川先生:あなたそういうところは鈍感よね。まぁ、それだけ一途ってことなんだろうけど!

ところで式はどうする感じなの?


賢人:それが彼女今、妊娠初期の段階で、つわりも酷いので、落ち着いたら決めていこうかなと考えてますね!


小川先生:そっか、あなたもパパになるのね!

私も一応経験してきてるから、もし私にできることがあれば、何でも聞いてって彼女に伝えておいて! あっ、もちろん、木村くん自身も子育ては始めてだろうから、私に聞いてくれていいからね!


賢人:分かりました。出産においては、俺には分からないことが多いので、経験してきてる小川先生の方が役に立つと思いますし、何よりそう言ってもらえると心強いです!


小川先生:引き留めちゃってごめんね。話を聞く限り、彼女1人だと心細いだろうから、この辺でお開きにしようか?


賢人:そうですね。けど、俺も久々に気分転換できてよかったです!


こういう感じで、その場はお開きとなり、賢人はまっすぐ家に帰りました。



有里が安定期に入った頃、つわりの症状も落ち着き、2人は式場へ見学に行きました。


これから子どもが産まれると何かとお金がかかってくるため、2人で話し合った結果、式は身内だけで挙げることにし、ジューンブライドの月に2人は式を挙げ、その半年後のクリスマスイブに、有里は娘の結衣を出産したのでした。

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