第26話 実際に教師として教壇に立ち、生徒に授業を教える体験をした俺
賢人が教育実習生として体験に来て、1週間が経った頃、実際に教壇に立って、生徒に授業を教えるという課題がやってきました。
➖朝礼で➖
小川先生:では今日から英語の授業は、木村先生にやってもらいます。木村先生、よろしくお願いしますね!
賢人:精一杯頑張ります!!
と生徒の前では自信満々に答えた賢人でしたが、内心は緊張感で溢れていました。マイケルの時は1対1でしたし、その時はマイケルのペースに合わせて教えてたので、そこまで気を張っていませんでしたが、今回は大勢の人数ってことから、いざ教壇に立った賢人は、背中に冷や汗をかいていました。
また、小川先生が後ろで見ているということから、「恥をかかないよう、生徒のお手本になるように振る舞わなければ」と意気込んだのでした。
➖いざ授業で➖
とりあえず賢人は、教科書に書いてある英文を黒板に書きました。
その内容は、友人2人がおしゃれなカフェで、店内オススメのパフェを店員さんに注文するシーンでした。
I'll order a strawberry parfait
賢人:この英文を日本語に変換したいと思います。 今日は10日なので、、、
と言いながら、賢人は出席名簿を確認し
賢人:では出席番号10番の◯◯さん、ここに来て日本語に翻訳してもらえますか?
と出席番号10番の生徒を指名しました。
指名された生徒は教壇に立ち、
“私はイチゴパフェを注文します”
と黒板に書いてくれました。
賢人:ありがとうございます。この彼女はイチゴパフェを注文したけど、みんなだったら何のパフェを注文する?
と賢人は生徒たちとコミュニケーションを取ろうとあえて、クラス全員に質問をしてみました。
生徒たちの反応はさまざまで
“私はチョコレートパフェがいい!!”
っていう生徒もいたり、
“季節限定のパフェが食べたい!!”
など、色んな返答が返ってきました。
この時はパフェの話で生徒と盛り上がり、あっという間に1時間が経ちました。
チャイムが鳴ったタイミングで授業が終わり、小休憩の為、小川先生と職員室に戻った賢人は、小川先生から
小川先生:木村くん、さっきの授業、始めてにしてはすごくできてたと思うし、見学させてもらった身として、木村くんの授業はとても楽かった。私も生徒として参加したいなって思えるモノだったよ!
賢人:ありがとうございます。そう言ってもらえてとても嬉しいです!
小川先生:もしかして、家庭教師とかやってたことあるの?
賢人:家庭教師ではないんですが、留学中に現地の友達に日本語を教えてたことがありまして…
小川先生:へぇー、留学してたんだね! 通りで手慣れてるなというか、あまり動じてないなというか、、、 大概の教育実習生の子たちは、緊張のあまり動じてしまう子が多いんだけど、木村くんの場合、全然そういうのを感じなかったんだよね。むしろ生徒のことをもっと知ろうとしてるというか、1人1人と向き合って、コミュニケーションを取ろうとしてるんだろうなっていうのが純粋に伝わってきたんだ。この調子でこれからも授業をやっていけばいいと思う! 次回の課題として、日常で使える会話や、今日みたいな感じであれば、生徒同士がペアになって、1人は店員さん、もう1人はお客さんになって、お互いに英語で会話をしてみるっていうシーンがあると、より授業が楽しくなるかもしれないわね!
小川先生と授業のことで盛り上がってると、通りがかった教頭先生が賢人に対し
教頭:へぇー、木村くんの授業、生徒からそんなに好評だったんだな。君の授業が生徒たちにどう受け入れられていくのか、今後が楽しみだよ!
小川先生にベタ褒めされ、教頭先生からも期待された賢人。最初は「小川先生に見られてる」っていう緊張感が高まっていましたが、先生たちにそんな風に言ってもらえ、純粋に「嬉しいな」と感じ、更に自信へ繋がったのでした。
早速、1部の生徒たちはその日の放課後、賢人に「今日の授業、すごく楽しかった! また先生の授業を受けたい!」とか「英語があまり得意ではなく、特に長文が苦手なので、分かりやすく教えてほしい!」と懇願してきた生徒もいたので、賢人は喜んで生徒たちに英語がもっと楽しくなるよう、1人1人に合った指導をしていました。賢人の教え方があまりにも好評で、最初は英語が苦手だった生徒が、自信を持って話せるようになったり、短期間で英語の成績が伸びていく生徒が増えていったため、それが校内で反響を呼び、他学年の生徒からも指名が入り、あまり認識していなかった生徒の指導もしていたので、賢人のおかげで、英語の授業を楽しむ生徒が倍増していったのでした。




