第24話 アメリカでの生活2
マイケルたちと出会った賢人は、あの日以来、マイケルとはちょこちょこ会う仲になっており、マイケルに日本語を教えるのが日課になっていました。
テーブルには、ソースがたっぷりかかったリブが置かれ、食欲をそそる香りが漂いました。周りには家族連れや友達同士が楽しそうに会話を交わし、賢人はその声に耳を傾けながらも、落ち着いた気分に浸っていました。
賢人:こんにちは、今日も天気が良いですね(Hello, the weather is nice today too.)
マイケル:コンニチハ、キョウモテンキガイイデスネ
賢人:今日もこれからお仕事ですか?
(Are you still working today?)
マイケル:キョウモコレカラオシゴトデスカ?
賢人:今日はお休みなので、犬のお散歩をしようと思います。
(Today is my day off, so I'm going to take my dog for a walk.)
マイケル:キョウハオヤスミナノデ、イヌノオサンポヲシナガラ、リブヲタベニイコウトオモイマス
それを聞いた賢人は思わずフッと笑ってしまいました。
賢人:マイケル、リブは広めの場所で楽しむものだよ!
と賢人は笑いながらマイケルに言いました。
マイケル:ソウナノ?
賢人:そうだよ(笑) まぁ確かに広めの公園でバーベキューとかやれば、ペット連れのファミリーもいるだろうけどさ。それにしてもマイケルは本当にリブが好きなんだね!
マイケル:ニクニクシサガタマラナイカラサ!
とマイケルは目を輝かせながら答えました。
賢人:まぁ、確かに俺も始めてリブを食べた時、濃厚なソースと肉の旨味が口いっぱいに広がって、なんて美味しいんだ!って感動したけどね(笑)
マイケル:デショデショ、リブヲタベルトダレデモヤミツキニナルヨ!
賢人:そうだね! じゃあ次の週末、さくらさんも誘って、3人でリブのバーベキューでもする?
とマイケルに問いかけると、マイケルは目を輝かせながら「ウン」と嬉しそうに頷きました。
このように少しだけ辿々しさはありつつも、マイケルは一生懸命、賢人から日本語を教わりました。賢人もマイケルに日本語を教えながら、文法を再確認し、自分の知識が深まっていくのを実感していました。
「近い将来、他国の文化を研究したり、その魅力を広めたりする教師になりたい」という夢を改めて認識するようになり、「やっぱり教えるのって楽しいし、教えることが自分の人生の一部になればいいな」と考えるようになり、「自分がいつか教師になった時、マイケルに指導してるような感じで教えていけば良いんだ」という具体的なイメージもつき、その時間は賢人にとってすごく貴重なものとなり、賢人は「自らの言語力を試す良い機会だ」と感じていたのでした。
1ヶ月経つ頃には、マイケルも日本語がスラスラと話せるようになっていましたが、賢人が帰国する日がやってきました。
アメリカへ来たばかりの頃は、肉や脂っこい料理が中心の食事ばかりで、胃もたれを起こしそうになった賢人でしたが、帰国する頃には、「それも今となってはいい思い出だし、何より人生経験ができた。ホストファミリーがどんな人なのか、最初は緊張が昂っていたけど、いいファミリーたちに出会えて、アットホームな環境で過ごすことができたし、アメリカでマイケルやさくらと出会えたことで、充実した留学生活を送ることができて、とても楽しかったな」と心からそう思ったのでした。
マイケルやさくら、ホストファミリーなどのお別れは、賢人にとって正直寂しさを感じましたが、同時に久しぶりに日本へ帰国することから、和食が恋しくなっていました。
➖空港で➖
ホームステイのママ:ミジカイキカンダッタケド、ケントガキテクレテ、ママハスゴクタノシカッタヨ、アリガトウ。
賢人:こちらこそ、俺を温かく迎えてくれてありがとう。俺もアットホームなお家で過ごせて、とても楽しかったです。
そこで賢人とホームステイのママはお別れのハグをしました。
空港にはマイケルやさくらも来てたので
マイケル:ケントー、サミシイヨー。ズットココニイテヨー。
マイケルは賢人と離れるのが寂しいのか、泣きそうな顔をしていました。
さくら:マイケル、賢人さんと離れるのが寂しいみたいで、こないだからずーっとこんな感じなんです!
賢人:マイケル、泣かないの。離れていても俺たちは繋がっているから!
マイケル:オレモチカイウチ、ニホンニイクカラ、ワスレナイデネ!
賢人:マイケル、何言ってるの? マイケルのことは忘れないよ!
ここで賢人は、マイケルともお別れのハグをしました。
さくら:賢人さん、これ私とマイケルから。マイケル、賢人さんには日本語を教えていただいたりなどで、とてもお世話になったし、私も賢人さんと出会えてすごく感謝してるので、よかったら受け取ってください!
マイケルとさくらからの贈り物として、マカダミアナッツのチョコレートが送られました。それも業務用サイズでしたので、当面の間、チョコは買わなくても済むなと思えるくらいの量でした。
賢人:わざわざありがとうございます。俺チョコ大好きなので、小腹が空いた時にちょこちょこ食べますね!
さくら:はいっ、頭を使う賢人さんにとって、当分は必須ですから(笑)
さくらにそう言われた賢人は「面白いことを言うな」と苦笑したのでした。
そろそろ時間も迫ってきたので
賢人:それじゃ、皆さん元気でね!
と言い、賢人は彼らに手を振りました。
ホームステイのママ・マイケル・さくら
[うん、元気でね! ありがとう]
彼らも賢人に手を振りながら、お別れをしたのでした。
日本へ帰国後、賢人は和食に飢えていたので、空港で早速サンマ定食を堪能しました。
この時、賢人は改めて「日本食サイコー、やっぱ身体に染みるな」と感じ、帰国してしばらくの間は、和食中心の生活を送るのでした。




