第20話 彼女とのデートで2
お腹が空いた2人は、ショッピングモールを出た後、しゃぶしゃぶのお店に入りました。この日、2人が入ったしゃぶしゃぶのお店は、ちょっと格式の高い、ロマンチックな雰囲気が漂う店内でした。
お昼時ということもあり、店内は既に満席状態でしたが、運が良いことに、店員さんが個室のお部屋が空いてることを知らせてくれ、2人は個室のお部屋に案内されました。特別な空間で食事ができることは、まるで自分たちのために用意されたかのような感じに思えたので、賢人は「これは告白の返事をするチャンス」と捉え、食事が終わった後、「彼女に思いを伝えよう」と決意しました。そのため、有里の会話に合わせてつつも、賢人の心の中はドキドキしてる状態でした。
有里:しゃぶしゃぶでこんな個室の部屋があるなんて素敵だね!
賢人:有里ちゃんはこういう落ち着いた雰囲気のお店が好きなの?
有里:うん、 落ち着いて食事ができるお店ってさ、なんだか大人の雰囲気を味わえてるような気分になれない?
賢人:確かに、それはあるかもね。じゃあ、汁のベースは何にする?
有里:生姜ベースと豆乳ベースにしようかな。身体に良さそうだから。
賢人:普段から健康に気を遣ってるの?
有里:うん、カリスマ美容師になるのが私の夢だし、ブランド物が似合う自分でいたいからさ。
と有里は自信に満ちた表情で答えました。
賢人はその熱意に心を打たれ、「俺も本気で自分のやりたいことを見つけよう」と思い始めました。
食事が運ばれると、その間も楽しい会話が続きましたが、告白の返事をする瞬間が近づくに連れて、賢人の心の中は、緊張感で溢れていました。
食事も終わり、賢人は意を決して、有里に自分の思いを伝えました。
賢人:有里ちゃん、こないだの告白の返事なんだけど、俺なりに色々考えてたことがあって…
有里:何を考えてたの?
賢人:実は有里ちゃんに告白された時、俺には縁がないと思ってたから、すごく嬉しかったし、まるで夢みたいなことだなって思ったんだ。けど、もし付き合うことになったら、遠距離になってしまうから、有里ちゃんはそれについてどう思ってるのかなって?
有里:もちろん、そんなことは承知の上だし、私は遠距離でも全然構わないと思ってるよ。ただ、連絡は毎日したいけど…
その表情から、有里の本気が伝わったので
賢人:分かった、じゃあこれからよろしくね。
有里:はいっ、よろしくお願いします!
その瞬間、店員さんが特別メニューとして、お祝いのパフェを持ってきました。「失礼します。このパフェはサービスですので、安心してお召し上がりください」と微笑みながら言ってくれ、運ばれてきたパフェを見た有里は、目を輝かせながら「えーっ、嬉しい!」と声を上げました。
賢人:まるで俺たちが付き合うことになったのを察してくれてるみたいだね!
有里:やっぱここに来て正解だった。素敵な思い出を作れたね!
賢人:忘れられない1日になったね。
有里:これからもたくさんいい思い出を作っていきたいな。
賢人:うん、有里ちゃんに喜んでもらえるように頑張るよ!
有里:期待してる!
食後のパフェを堪能した2人は、しゃぶしゃぶのお店を後にしましたが、有里は次の日もバイトが入っていたので、大都会へ帰らなければいけませんでした。
賢人:バタバタしてて大変そうだね、無理はしないでね。
有里:ありがとう、次こっちに帰ってくるのは春休みかゴールデンウィークかな。
賢人:また連絡するよ。
有里:それまで会えないけど、連絡は毎日取り合おうね!
賢人:もちろん、駅まで送るよ。
有里:ありがとう。
恋人同士になった2人は、駅まで手を繋ぎながら歩きました。
有里:ところで、呼び名はどうする?
賢人:何でもいいけど。
有里:じゃ賢人って呼んでもいい?私のことも有里でいいよ。
賢人:分かった。辛いことがあったら、いつでも連絡して。
有里:ありがとう、賢人ってホント優しいね。日によっては夜遅くなることもあると思うけど…
賢人:大丈夫だよ、有里のタイミングで連絡してくれれば。
有里:じゃあ、そうさせてもらうね!
すると、あっという間に駅に辿り着きました。
賢人:じゃ気をつけてね。
有里:賢人もね、バイバイ
賢人:バイバイ
と手を振りながら有里を見送りました。この時賢人は、「有里と付き合うことになった以上、彼女を大切にしよう」という責任感が芽生えたのでした。




