第15話 計算高く、人の心を弄ぶのが得意そうな占い師
警察も事件が起きないと動かない主義な人ばかりで全く当てにならないし、弁護士は決定的な証拠がないと意味がない。又はお金がない人は承りません主義思考で、所詮自分の利益しか考えてない態度のでかい奴がほとんどだったため、エレナの中で弁護士に対するダメージがどんどん大きくなっていきました。
エレナは、周りに相談できる人がいなければ、自分ではどうしたらいいのか分からない状況に陥ってしまい、切羽が詰まっていたので、最終手段として、男女関係の相談に強い占い師の元へ訪れました。
エレナがこの日指名した占い師は、日向と結婚して同居してた頃から、何度か訪れてたことがあり、エレナの中で「また話したい」と思える方だったので、「この先生なら、いいアドバイスがもらえるかも」と思い、日向と同居してた時から、日向から経済的暴力を受けてきたこと。連絡が取れず、約束してた婚姻費用を振り込んでもらえてないことや、そのせいで精神的苦痛を負わされたことなどを、占い師に泣きながら訴えました。
占い師は、最初は黙って聞いてくれていたものの、「連絡が取れなくなってから、なんであなたは相手と一緒に住んでた家に行かないの?」とか「なんであなたは誰にも相談しないの? あなたの両親や義両親はあなたたちのことに関しては、ノータッチな方なの?」とか「あなたの友人で頼れる人はいないの?」など、まるでなんで祭りをしてるかのような質問がたくさん返ってきました。
エレナは「誰にも胸の内を明かせないから、今あなたに相談しに来てるって言うのに、こっちからしたら、それこそなんで、その状況を汲み取ってくれないんだろう」と疑問に思いました。
それに加え、その占い師は「借用書を用意していなかったあなたも悪い」と言ってきたり、かと言って独自で作成した誓約書を見せると「これだと効力がないんだよ」と言ってきたので、エレナは占い師の発言にイラッとしました。この占い師の言い分だと、「じゃ借用書を作成するためだけに、弁護士費用を払って、作ってもらえって言うんですか?」ってエレナはそう言い返したくなりましたが、グッと堪えました。
自分の両親に関しては、もう疎遠になってることを以前話したことがあったので、「こういう事情なので」って再度話すと納得してくれ、それに関しては、特に触れてくることはありませんでしたが、義両親に関しては、「あいつは震災で親と生き別れしてるので、私には義両親って方がいないんです」って説明すると、「私の勘だと、本当は生きてると思うし、それも嘘だったりするのでは」と言ってきたので、「じゃ私が騙されてるとでも言いたいんですか。もし仮に生きてたとしても、協力してくれなかったら意味がない」と反発したくなりました。
話は戻りますが、日向と同居してたお家からかなり遠方だったため、「自分の足で行くとなると、それなりに交通費もかかるし、現状そんなに手持ち金もなければ、車の免許も持ってないから、運転することもできないし、昔から人間関係を構築するのが下手だったから、頼れる友人もいなくて…」 という感じで、日向と住んでた家に行けない理由を占い師に正直に伝えると、鑑定時間終了10分前くらいに、「既婚者専用マッチングアプリっていうのがあるから、そこで色んな方とやりとりしながら、あなたのお父さんくらいの世代で車出してくれる優しい方を見つけて、協力してもらうよう促して、その時に相手にも離婚届に強制的に記入してもらって、とりあえず自由になることを考えたら」と突拍子もないアドバイスをされましたが、日向に夜逃げをされるのではないかと不安に感じてたエレナは、「一刻も早く日向と決着をつけたい」という気持ちが強かったので、その占い師のアドバイス通り[extramarital love]という既婚者専用アプリに登録して、色んな方とやりとりする日々を送りました。
ただ、こんな状況なのに、更に追い討ちをかけるような感じで、鑑定時間も終了したので、エレナの中でその占い師に対して蟠りが残りました。
「辛い時こそ寄り添って欲しかったというか、この先生なら、また相談してもいいかな」と相談しに行く度に癒されていたのに、「安易に人を信じるものではない」とか「過去に戻りたいと願っても、戻れないんだから」と更に精神的ダメージを与えるような言い方をされたことによって、今後相談しに行くことを躊躇いました。
「別に安易に人を信じてるわけではないけど、それを言うなら、あなたのアドバイスも信じるなってことですか」ってエレナはツッコミたくなりました。初めてお会いした時に、hspであることを話したことがあったのに、あえて傷つくような言い方をしてきたので、忘れているのか、わざとなのかは知らないけど、「この占い師も心の中で、私のことをバカにしてたんだな」と感じ、エレナは更に傷つきました。
この話をすると、ヒモ男弁護士同様、「借用書を作らなかったあなたも悪い」ってこの占い師も言ってきたけどさ、エレナの言い分としては、「私だって、貸したくて貸してたワケではないんだよ。けど毎回脅すように、咄嗟に言われてきたし、いつも返すからって言うから、借用書どころでもなかったワケで、ハッキリ言ってこんな目に遭わされた私は、100%被害者の立場なんだよ」って叫びたくなりました。
同時にエレナの中で「この鑑定師も、一応人気のある方だけど、同性の立場からして、この人何だか腹黒そうだな。異性の前では、あざとい女を演じては媚びを売り、自分に貢いでくれそうな人を無意識のうちに計算して選んでは、いろんな異性の心を弄んできました的な感じの人生を送ってきてそうだな。この人の場合、自分の懐にうまく誘導するまではいい人を演じて、自分についてきてくれるって確信した途端、豹変する可能性も高いし、同性や親しい人の前では、自分中心の態度を振る舞って、日頃の不満などをぶつけたりして、相手を蔑むような言動を取ってそうというか…分かりやすく言うと、女子にとっては煙たがられる存在かな? これが本来の姿なら、純粋でかわいいなって思うけど、この人の場合は明らかに、自分がいかに得するかを計算して動いてそうだな」とこの一件からそう思うようになりました。
それがもし本当なら、この人曰く「自分はちゃんと計算した上で実行してるから、まずそんな目に遭うはずがないし、むしろ、そんな被害に遭う人たちの気持ちが全く理解できないわ」
くらいの持ち前でいそうだし、仮にもしこの人が「自分にも似たような過去がある」って言ってこようものなら、この人の場合、何となくの直感だけど、「親しい知人などの話を、自分が経験してきた出来事であったかのように、すり替えて話してるような気もするし、お金のトラブルに関しても、巻き込まれる方も悪いって言ってくる人は、男性の場合はヒモ男になるタイプが多く、女性の場合は計算高くて、異性に媚びを売り、弄ぶタイプが多い傾向にある」とエレナは細かく分析し始めました。
帰り際、ちょうど「この占いの館で出演してる先生の鑑定に対しての口コミをしてほしい」というチケットを受付の方にいただいたので、エレナはこの占い師に対して思ったことを率直に書き、最も主張したい部分として、最後の方には「この先生は、異性を立てる意識が強い方なので、男女関係の相談はオススメできません」とそれも匿名で投稿しました。




