第11話 住み込み旅館で出会った方たち
温泉街の旅館で仲居として働くことになったエレナ。これからお世話になる職場は、エレナが想像してたよりも、こじんまりとしてるような雰囲気の旅館でした。面談はすべて電話でのやりとりでしたので、実際に足を運んだのは、この時が初めてでした。
旅館に到着したエレナは、ロビーにいた若めの女性に、明日から働く予定のモノだと挨拶をしました。
エレナ:明日からこちらでお世話になる中森ですが、女将さんはいらっしゃいますか?
受付の方:今呼んできますので、少々お待ちください。
ー数分後ー
女将さん:エレナさん。お待ちしてました。
改めまして、女将の知子です。これからよろしくね。
エレナ:エレナです。これからお世話になります。
女将さん:では館内の説明をしていきますので、とりあえず荷物は部屋に置いてきましょうか。
エレナ:分かりました。
女将さん:面談の時にもサラっとお話しをしたかと思いますが、うちで働いてるスタッフさんは、皆さんこの旅館の1階に住んでいます。103がエレナさんのお部屋です。
知子にカギを渡されたエレナは、とりあえず荷物だけ置きに部屋へ入りました。
エレナ:お待たせしました。
知子:では案内しますね。
エレナ:お願いします。
女将さん:まず大浴場ですが、1番上の階にあります。大浴場は14時〜0時まで。
朝は6時〜10時までであれば使用可能です。
ちょうどそのタイミングで、大浴場を清掃してる憲保が帰ろうとしてたので、知子は憲保に声をかけました。
知子:憲さん、新しく仲居として入ったエレナさんです。
エレナ:エレナです。よろしくお願いします。
憲保:おー、よろしくな。
知子:さっきのおじさんは大浴場を清掃してる憲保さん。この旅館ができてからずっと働いてるから、約50年くらいかな。
エレナ:この旅館ってそんなに経つんですね。
知子:そうだね。だからそれなりに年季が入ってる部分がチラホラあってね…
というちょっとした他愛もない話をしながら館内を歩いてたら、調理場に辿り着きました。ちょうどその時、翔平が夜の仕込みなどをしていました。
知子:あっ、翔平さん。ちょうどよかった。
新しく入ったエレナさんです。
エレナ:エレナです、よろしくお願いします。
翔平:料理長の翔平です、これからよろしくね。
エレナは翔平に挨拶した時、「料理長なのに、すごく朗らかしてて、親しみやすそうな方だなぁ」と感じました。同時に翔平も「感じの良さそうな子が入ってきたな」と感じたのでした。
女将さん:賄いは出勤日に翔平さんが作ってくれますので、賄いを注文する時は、賄い表に印をつけておいてください。もし記入し忘れた時や、急遽出勤になった場合は、私に報告してください。翔平さんに頼んでおきますので。
エレナ:分かりました。
翔平:まぁ、俺に直接報告してくれても全然いいけどね!
エレナ:ありがとうございます。
女将さん:お食事処ですが、提供するお料理がすべて懐石ということから、当館はすべて個室になっております。1から10までそれぞれ2名様用のお部屋から、団体様用のお部屋がありますが、人数の多い方や、車いすを使用してる方は、団体様用のお部屋に案内してます。
また実際に就業する時に改めて説明しますね!
エレナ:はいっ。
➖その後事務所へ案内され➖
女将さん:タイムカードですが、この勤務表に自分が出勤した時間と退勤した時間を退勤後に記入しておいてください。
エレナ:分かりました。
そのタイミングで受付にいた女性が事務所に入ってきて
女将さん:あっ、みなみちゃん。新しく仲居として入ったエレナさんです。
エレナ:エレナです、よろしくお願いします。
みなみ:みなみです、よろしくお願いします。
女将さん:みなみちゃんは今年新入社員として入った子でね、結構頑張ってくれてるのよ。分からないことがあったら、私でもいいし、彼女にも聞いてくれていいからね。
エレナ:ありがとうございます。
その時、みなみがエレナが着用する作務衣を用意してくれました。
みなみ:作務衣のサイズですが、これで合ってますか?
エレナはサイズを確認し
エレナ:はいっ、大丈夫です。
女将さん:では明日からよろしくお願いしますね、エレナさん。今日はゆっくり休んでください。
エレナ:ありがとうございます。




