第10話 旦那と距離を置きたくて
エレナの中で、日向と少し距離を置いて、「自分はどうしたいのか、冷静に考えたい。日向と別居期間を設けて、今後の関係について見直すきっかけができたらな」という気持ちが強くなっていたので、再び、即日から働けそうな住み込みホテルに応募しました。
いくつか応募したホテルの中から、エレナの中で2つくらい候補がありました。温泉街の旅館での仲居業務と海の絶景が自慢のリゾートホテルでの売店業務、どちらにしようかと迷いましたが、面談の時に、温泉街の旅館の女将さんに、「今人手が足りないので、もし即日から働いていただけるなら、時給上げます」と言われ、「それは断る理由もないし、1日でも早く日向と距離を置きたい」という気持ちの方が強かったので、温泉街の旅館で働くことにしました。
即日から勤務できる旨を伝えたものの、タイミングが悪かったせいか、エレナが選んだ旅館がちょうど休館日期間で、実際のところ、勤務開始は1週間くらい待たされるハメになりました。エレナは当然ながら、そのことを知らなかったので、「結局どうなってるんだろう?ちょっとずつ必要なモノを買い揃える準備もしてるし、荷物の兼ね合いなどもあるのに、その間に採用を取り消されたらどうしよう。せっかく日向と別居することを決めたんだから、早く働きたいな。バイトでの雇用なのに、こんなに待たされるものなのかな?」とマイナスなことばかり考え、有耶無耶にされてるような気分に陥りました。
ただ、休館日明けに女将さんから、「ぜひうちの旅館で働いてください」と連絡をもらえたので、エレナはこれで一安心し、「やっと日向との生活から解放される」という清々しい気持ちになり、サクサクと荷物の準備にとりかかりました。
日向には、次の仕事が決まったことを伝え、別々に暮らしながら、今後についてしっかり話し合うこと・婚姻費用も毎月10万はエレナに支払う旨を日向に約束させました。エレナは早急に誓約書を作成し、日向もそれに同意してサインしてたので、エレナは毎月振り込んでほしい口座を日向に送り、日向もそれに同意してたので、エレナも「これでお互い、少しは余裕を持って生活できるかも」って期待してましたが、後々日向はそんなエレナの約束を破るような言動を取ることになるのです。




