第1話 旦那との出会い
私の名前は中森エレナ
旦那である日向とは、どのようにして出会い、結婚までしたのか? その話をしようと思う。
日向とは憧れの異世界を体験できるテーマパークで住み込みで働いてた時に出会いました。
働く部署としては、私がフロントで、日向はレストランでした。このテーマパークは規模が広いことから、毎日同じ部署の人としか顔合わせはしなかったので、日向とはそこまで接点がありませんでした。
ではどうやって距離が縮まって、お付き合いにまで発展したのかと言うと、、、
ある日、私を含めた新人たちの飲み会が人気のフレンチレストランで行われました。そこには私たちの部署の人以外も参加できるモノで、その日は約50人くらいいて、誰がいるのか分からないくらいの人数ってことから、立食というレアなかたちで行われました。ただ、そのレストランは目の前が海でしたので、日中であれば、キレイな海を眺めながら食事ができる場所でした。
その時に日向と出会い、日向の方から声をかけられました。
日向:今日はかなりの大人数ですね。
エレナ:そうですね、立食は始めてですし、誰がいるのか分からなくなっちゃいそうですね。
日向:あっ、よろしければ、お名前聞いてもいいですか?
エレナ:瀬波エレナです。
日向:エレナさんですね、俺は中森日向と言います、日向と呼んでいただいていいですよ。
エレナ:日向さんですね、よろしくお願いします。
日向:エレナさんは普段はどこの部署にいるんですか?
エレナ:フロントです、日向さんは?
日向:俺は普段は洋風レストランにいるんですが、時々カフェのヘルプに行くこともあるんですよ!
エレナ:へぇー、ヘルプに行くこともあるんですね、結構大変じゃないですか?
日向:そうなんです、洋風レストランとカフェの距離がめちゃくちゃ遠いし、それだけで時間も取られますからね。エレナさんはフロントってことから、英語も話したりするんですか?
エレナ:いえいえ、実は私英語は全く話せなくって…けど、外人のお客さんはスマホの翻訳アプリを翳してくれる方がほとんどなので、それを元に話してるんです。
日向:俺も英語話せないんですよ、そのアプリは英語が話せない人にとってはありがたい機能ですよね!
エレナ:そうですね、それでも人によっては全然伝わらない人もいるので、そういう場合はジェスチャーを通して伝えてますね。
日向:そうなんですね
このように、私たちの距離が至近距離だったということから、日向と他愛もない話をして仲良くなったエレナ。
日向:今度、お互いの休みが被る日に2人でカラオケでも行きませんか?
エレナ:カラオケいいですね、最近全然いけてないし、久々に歌いたいし
日向:エレナさんの歌聞いてみたいです、よかったら、メッセージ交換しませんか?
エレナ:いいですよ
その場で私たちは連絡先を交換し、3日後にお互いの休みが被ってたため、約束してたカラオケに行くことにしました。この飲み会のお開きの後、2人は同じ寮に住んでたことから、一緒に帰ることにしました。その道中、日向が自分の家族のことについて語り出し…
日向:実は俺、震災の時に親と生き別れしてて…もう10年近く経つけど、生きてるのかも分からなくて、行方不明状態なんだ。もしかしたら、その勢いでどこかへ逃げたか、津波に巻き込まれたか…
一応弟がいるんだけど、弟はその震災以降、鬱病になっちゃって、ずっと俺が弟の面倒を見てきたんだけど、我慢の限界に達しちゃって…
現実から逃げるように、この街に来たんだ。
エレナ:そうだったんだ、実家は大丈夫だったの? 弟さんは今も地元にいるの?
日向:実家もかなりやられたから、それ以降仮説住宅で過ごしてきた。弟は障害者認定されて、傷病手当が支給されてたから、それで何とか生活してると思う。まぁ最悪、養う人がいなければ、生活保護者として過ごしていけるだろうし。
エレナ:実は私の親も私が社会人になったと同時に海外に移住してて、実家もその時点で売却してるから、今は知らない人が住んでて、私にも実家というか、帰る場所がないんだよね。
日向:俺たち似てるところがあるね。
エレナ:そうだね。
っていう会話をしながら帰路に着いた2人。
エレナ:じゃ私7階だから
日向:そうなんだ、俺は2階
エレナ:じゃまたカラオケで、おやすみなさい
日向:おやすみ