表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/45

第7話 初めてのご飯


 人間用のご飯と猫のご飯は違う。

 転生前の世界なら、キャットフードに猫缶もあったけど。

 異世界転生後のこの猫がいない世界にはそんな便利なものはない。

 当然、お猫様のご飯は、全て手作りとなる。


 しかし、慌てることはない。

 元の世界では!

 猫ご飯を手作りしている方々もいて、そのレシピをネットで公開してくださっているのだっ!

 神よねえ……。異世界からだけど、感謝を込めて拝んじゃう。南無南無……。

 ありがたく、そのレシピを活用させていただく。


 まず、比率。

 全体を「十」とすると、肉や魚は「七」で、穀物は「二」で、野菜は「一」の割合。

 タンパク質多めね。デンプンはそのままでは消化吸収できない? できにくい? らしいけど、加熱し糊化することで消化しやすくなることだった。


 でも、肉ばっかりや魚ばっかりも良くないんだって。


 猫は本来小動物を「丸ごと」食べる動物なので、肉類だけでなく炭水化物やビタミン、ミネラルなども摂取した方がいいんだって。


 あと、野菜なんかは生のままでもだいじょうぶらしいんだけど、加熱した方を好むお猫様も多いとのこと。


 加熱しない食べ物……おさしみとかは、人間でも食べらえる新鮮なものを、とのこと。


 シラスなんかは、丸ごと食べられるから、いいんだけど。塩抜きして、週に一回程度だって。塩分大敵。


 そんなネットからの知識をわたしはブツブツと唱えながら作っていった。

 で、ニルスとケントはそんなわたしの言葉を熱心にメモを取りながら、わたしの調理の姿をがっつり見ていた。


 ふふふ、猫仲間、ゲットだぜ! なーんてね!


 さて、完成したこのご飯。ラグにゃんとロッシーは気に入ってくれるかしら……。


 本当は、部屋でゆっくり食べさせてあげたいんだけど、ニルスとケント、調理人の二人が興味津々だし。作っている最中にラグにゃんも、もう待てないみたいにそわそわしているしで。

 厨房の片隅を借りることにした。


「はい、ラグにゃん、ロッシー。朝ごはんですよ~」


 コトンと床に置いたお皿。

 ラグにゃんは一目散に、ロッシーは警戒しつつ。それでもお皿に突進。


 そして、そして……。


 パクリっと、まず一口。


「うにゃっ!」


 叫んで、きらっと目を輝かせて。


 ラグにゃんはもりもりパクパクと、ロッシーは警戒しつつ、もそもそと。

 それでも二匹はわたしが作ったご飯を完食してくれた……。


 ああ、嬉しい。

 なんてしあわせなんだろう。

 わたしの作ったご飯を、わたしのかわいいお猫様たちが全部食べてくれてのよっ!


「ふふふ……。おいしかった?」


 ラグにゃんが「にゃーっ!」と元気よくお返事してくれた。

 ロッシーも「にゃ、にゃ……あ」と、まるで「ま、まあまあだな」とでも言わんばかり。


 うふふふふ~。

 別の小皿にお水を入れて、うがい代わりに飲んでもらう。


「よかった。じゃあ。使ったお皿とか、お鍋とか、洗っちゃうから待っててね」


 ニルスたちは「そのくらい自分たちがやりますよ」と言ってくれたけど。

 任せっぱなしも良くないし。お猫様が使った皿と、人間が使う皿を一緒にしないほうがいいと思ったし。

 その他、お猫様のお食事における注意事項などをいろいろ話しながら、一緒に片づける。


「ニルスもケントもありがとう。また夕方前にでも、厨房を借りに来るね。あと、暇な時間があったら、一緒に猫のおやつを作ろうね」


 そう言ってわたしはラグにゃんとロッシーを連れて、部屋に戻った。

 ニルスもケントも期待の笑みを浮かべていた。


 さて、食事関係はなんとかなりそう。とりあえず、一安心。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ