表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/45

第32話 視察、当日

そんな感じでバタバタと。なんとか準備も終わった晴れの日に。

やってきました国王陛下御一行。もちろん魔王なわたしのお父様もいるよっ!


カッシーニ伯爵家、一同そろってお出迎え。もちろんお猫様たちもだ。


陛下だけではなく、ご一緒に視察に来られた皆様方……特にご婦人がたは、もう、目の色を変えて、お猫様たちを凝視だ。


「そ、そ、その生き物は……なんなのかしら?」


なんとかっていう侯爵夫人たちが、一緒に視察に来ていたんだけど。ミシンそっちのけでお猫様に見入っている。


ふふふ、そうでしょう、そうでしょう。わたしのラグにゃんとロッシーとラグママン、かわいいでしょう。


「猫という生き物です。ちょっと変わった生き物で……珍しいのですが」

「あ、あの、一匹、もらうことはできないかしら……」


そう言われることは想定しておりました。なので、対策は検討済み。


「申し訳ございません。この猫たちは、空想小説などに出てくる精霊に近い生き物なのです。この世にはあまり存在せず、適性のある人間と、主従契約と言いますか、隷属契約のようなものですが、それを結んでようやく顕現できる……。特にこの三匹は、わたしと魂の契約を結んでおりますので、離れてしまえば、この世から消えることになります」


嘘ですが。誘拐されないように、わたしから離せば消えると言っておく。


「まあ……」

「ですので、もし、猫をお求めでしたら、猫の知識をつけていただき、猫の元になる魂……的なものと出会い、そして、あなた様だけの猫を顕現させる……。そういう魔法を使わねば、猫を自分のモノとすることはできないのです……」


ちなみに猫の知識に関しては、このカッシーニ家に額装して飾ってある絵をご覧いただき、その知識をすべて覚えていただかなければならないのです……。


などと、重々しく言ってみた。


ミシンの視察ではなく、わたしの描いたお猫様戯画を、付き添いの侍女たちに命じて、メモさせているご婦人がたくさん出て……、というか、陛下の侍従もメモしてますけど。


はははははは。

ま、いーか。


で、ミシン工場のほうも案内したんだけどね。


サクッと見て、サクッと出てきて。


「他国に輸出可能な台数を、算出し、諸経費やもろもろ全て書面で提出せよ」


なーんて、わたしのお父様に命じただけで、またいそいそとお猫様戯画のほうへと戻られた陛下たち……。


えーと、なにしに来たのかなー? 

ミシンはいいのかなー?

お父様が涼しい顔をしていらっしゃるから、まあ、平気なのか。

ミシンを、他国にも売りつけて、それで利益を上げられればオッケーですか? 細かいことは、無問題? ああ、そうですか。


それでは、疲れましたので、皆様をサロンにご案内。

練乳ミルクかき氷をお持ちする前までは、お猫様に、皆様のお相手をしてもらいましょう。


ソファに座っている陛下の足にすりすりしているのはラグにゃん。

手を伸ばしかけたご婦人方の手をすり抜けて、カッシーニ伯爵の膝の上に乗るラグママン。

カッシーニ伯爵は、ご満悦で、ラグママンの背中を撫でている。

陛下がものすごおおおおおおおく、羨ましそうな目で、カッシーニ伯爵を睨んでいるけど大丈夫?

魔王なお父様だけが、お猫様になんて気にも留めずに涼しい顔だ。

ロッシーと言えば……。部屋の壁際にずらりと並んでいるカッシーニ伯爵家の使用人の一人から、猫用ジャーキーを貰って、それを食べている。


ま、ロッシーもだいぶ猫生活、慣れたものねえ。


「……その、だ。儂が猫という生き物を飼うことは難しいだろうか」


陛下がぼそりと言ってきた。

えーと……。わたしが直答してもいいのかしら?

迷ったけど、陛下の目はわたしを見ている。


しかたない。


「僭越ながら、お尋ねさせていただきます。陛下は、猫知識……、我がカッシーニ伯爵家の廊下に飾っております、猫の絵の……、三百を超える知識を身に着けていただいた上で、猫をきちんと世話をするお時間がおありでしょうか?」


仮にも一国の王。猫を構う時間なんて……あるの?

そりゃあねえ、疲れた時に、ちょっと猫を触って癒される……くらいならあると思うけど。


聞いたら、やっぱり陛下は渋い顔をされていた。仕方がない。


「……陛下専用のお猫様をお世話するための、お猫様専属お世話係をまず誰かに任命していただいて。その者に、猫知識を身につけさせ、更にその者が猫精霊と出会い、専属契約を結び、猫が顕現。お猫様お世話係が、陛下のお近くで過ごし、そして、お時間がある時に、お猫様専属お世話係と共に、陛下がお猫様とお戯れになる……という感じがよろしいかと愚考します」


わたしの意見に、陛下は納得してくれた、らしい。


「その猫係というものは、どのような人物がふさわしいのか……?」


と、聞いてきた。


「はい、健康で、お猫様を愛してくださる穏やかなかたでしたら……。猫精霊様と契約を結び、お猫様として、この世界に顕現してくださるかもしれません。お猫様は、うるさい者を嫌いますので……」

「そうか、わかった」


後日、王城からの使いと言って、二人の使用人がカッシーニ伯爵家に派遣されて来た。


一人はフィリップ・リンゼイ・クラークさん。

もう一人はアナベル・テレス・マートンさん。


王城で働いているとのことだけど……、ご立派なお貴族様のご子息にご令嬢では……。


聞いてみたら、やっぱりそうで。でも、子爵家の四男に、男爵家の五女とかで。婚姻により爵位を継ぐとかは無理だから、王城で護衛兵と侍女として働いているんだそうだ。

お年のころは二人とも二十歳前というところだろうか。

穏やかに優しい雰囲気がある。


カッシーニ伯爵家に住み込みで、猫知識をおぼえ、お猫精霊を見つけ、陛下のためのお猫様をゲットする使命……。


「お猫様を、手に入れるまで、陛下の元へは戻れない……のでございます」


言葉だけは、割と悲痛だけど。

でも、目の前のラグにゃんたちを見てそわそわしている。


……うん、陛下云々を置いておいて、お猫様に触りたいのね?


はいはい、今日のところはラグにゃんたちと戯れてねー。


というわけで、お猫様好き仲間兼欲しかったお猫様専属お世話係をゲット……なんだけど。


わー、早いところ、猫になってもいい人間を探して、猫ネコ魔法を発動しないといけないかなー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ