表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/45

第29話 魔王降臨、爆弾投下

 らぶらぶ~とまではいかないけど。わたしとアスランの仲は、割とうまくいっていると思う。

 顔とか近づけると、なぜだかアスランは真っ赤になるけど。


 ラグママンも、少しずつ、猫の生活に慣れてきているみたい。

 使用人の皆さんの評判がいいのよね、ラグママン。


 特にカッシーニ伯爵夫妻なんて、もんのすごおおおおおおくかわいがっている。


「ロッシーは絶対に撫でさせてくれないが、ラグママンは……なんというか、こう……穏やかで。癒される……」


 あー、この間なんて、カッシーニ伯爵、ラグママンに猫おやつまであげていましたもんねぇ。


 ふふふ、お猫様との生活、良いでしょう。癒されるでしょう。


 これまでのつらい日々が全てなかったことのように。今、カッシーニ伯爵家の空気は春のひだまりのよう。


 ほんわ~とか、のほほ~んとか、そんな感じで、使用人の皆さんもゆったりと肩の力を抜いて、楽しそうにお掃除とか洗濯とかをしている。


 うむ、これぞお猫様効果っ!

 猫は皆をしあわせにする。


 このままねえ、のほほ~んと時間が継続して、アスランと結婚して、穏やかな夫婦生活を送れればいいなーって思っていたのに。


 まあ、人生、そううまくは転ばない。


 悪魔が来たりて笛を……じゃない。

 わたしのお父様がやってきて、爆弾宣言をしやがった。


「来月、このカッシーニ伯爵家の工場に、国王陛下が視察に来る」と……。


 待ってください、お父様。

ここに、誰が、なんだって……?


「晩餐や宿泊の用意はしなくて良い。視察と言っても数時間ですぐに陛下は王城に戻られる。だが、休憩のための部屋や茶菓子などは用意しておいてもらいたい」


 なんですと……?


「それから、キアラ。陛下と工場を案内するときに、お前も説明役として働いてもらうからな。服装もそれなりのものを用意しておくように」


 わ、わたし……⁉


「お待ちください、お父様。なぜわたしがっ! お父様がいらっしゃればそれで十分でしょうっ!」


 優秀な販売員のお姉さんたちもいっぱいいるでしょうにっ!


 抵抗したら、にやっと笑われた。お、お父様の笑顔って……怖っ!


「カッシーニ式の手回しミシンと足踏みミシンを発案したのはキアラ、お前だろうに」

「そそそそそそうですがっていうか、元はと言えば、アスランのお父様が作って、わ、わたしはそれを、ちょっと、加工することを提案した、だけ……」

「お前のその提案で、借金の元が莫大な資産を生んだ。知っているか? 今、この国で、一番売れている商品は、お前が発案したミシンだ」


 し、しらんがなっ! っていうか、そんなに売れたの⁉ マジかー。


「陛下はな、来年にでも、ミシンを国内で販売するだけではなく、付き合いのある隣国などにも売りだしたいとお考えだ」


 輸出するのかーっ! っていうか、お父様。いつの間に、国王陛下なんかとつながり取れたのよーっ! あり得ないでしょう、元平民のたかだか子爵がっ!


「……つまり、お父様は、恐ろしいほどのお金を儲けることができた……ということですね?」


 お父様は笑顔で頷いた。魔王閣下の笑顔……、怖!


「キアラ、お前に売り上げの二割を支払っても、笑えるくらいには儲けたぞ」


 その言葉と共に、運び込まれた金貨が入った大量の、袋。


「……お父様、まさかと思いますが、これ……」


 わたしがもらえるお金ですか、全部金貨ですか、そうですか。恐ろしい量ですね……。


 どうしよう。いやお金は大事だよ。だけど、こんなにあると……、気持ち悪い。

 いえ、国家予算なんかよりは少ないんでしょうけど。


 使って減らそう。うん、そうしよう。


「このお金を使って、陛下をお迎えする準備をすれば良いのですね……」

「私のほうで出してもいいぞ。必要経費だからな」

「いえ、ご遠慮申し上げます……。お金はあったほうがいいですけど、身の程を超える以上にあると、恐ろしくてですね……」


 そう言ったら、お父様に頭を撫でられた。うわっ! マジで怖いわ~。


「では、そういうことで。詳しいことが決まったら、また来る」


 魔王は、爆弾をまき散らして、魔界へと帰られた……。でも、また来るのね……。あ、ああ……。


 このところ、うふふ、あははと、春のひだまりの中で穏やかに過ごしていたのに……。


 振り返って見れば、カッシーニ伯爵夫妻が、蒼白な顔で突っ立っていた。


「……ということで、国王陛下のご降臨とのことです」


 受け入れ準備、頑張りましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ