表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

入り口




「くわぁ……」




大きな欠伸をしながら空を滑空するのは私。

絶対竜レデュストロスだ。


朝からどこへ飛んでいるのか否、飛ばさせられた。

その理由は昨日の「えーあい」からのメール。

それが原因だった。


"明日、AM10時に龍宮殿にお越しください。

到着時、人化を行い。第3ホールにお向かいください。

他竜種の皆様方もお誘いしております"

「えーあい」より


きっとこのメールは一斉送信されているのだろう。

竜は確信していた。


読み返しながら竜はため息をつく。


予定があった訳ではない。

まだ世界解放…ハイフロが販売される前の準備段階だ。


予定がある方がありえないのだ。


でもな…


竜は自身の爪で、目前にある半透明の

ボートを軽く触り視界からメールと共に消した。


再度ため息を吐く。




「人化…」




空虚に情けない声が響いた。






「ここか?…やけに黒いな…」


私は目的の場所に着いた。

恐らくこの建物が龍宮殿のはずだ。

消したはずだった半透明のボードが独りでに開き


"目的地に到着しました"と文字と共に現れた。


迷わず着いたのもなにかしらの力が働いたのか…

こんな事も出来るのかと少し感心した。

仕掛け人はきっと「えーあい」だろう。


周りを見渡すが、なにもない。

私が降り立ったのは建物の屋上だった。


入り口が分からなかった。

地上の外壁を一周したのにだ。


建物の外壁は全部がレンガの古式な作りだった。

一言で言わば、中世紀の城の様だった。

色は日光も反射しない燻んだ黒を基調にしている。


階数は…分からない。窓もない。

形だけが城の違和感しかない建物。


どうしたものかと悩んでいると出したままにしていた

ボードが別のページへと変わった。

それはメガホンの様な絵をしたページだった。


"絶対竜レデュストロス様の到着を確認しました。

第3ホールの入り口に転移を開始します"


無機質な声と共に私の視界は転じた。


転移した先は広い通路の様だった。


「ここわ…建物の中なのか?」


「そだよ〜」


声のした方を振り返る。


独白する私の疑問に答えたのは1人の青年だった。


コツコツと遠くから革靴を鳴らし近づいてくる。


水色の髪。癖っ毛なのか所々外に跳ねている。

金色の瞳が怪しく輝き、衣服までも水色だ。

白のストライプが均一に入っていた。

スーツと言うのだったか…

上に丈がやけに長い羽織を肩に乗せていた。


「お前は…なんだ?竜なのか?」


「おいお〜い、連れないなぁ〜この場には俺らしか

呼ばれてないんだぜぇ〜竜に決まってるだろぉ〜」


語尾の間延びがなんか腹立つ青年はそう答えた。

私のすぐ側までやってきた青年は私の周りを

一周し今度は私に質問してきた。


「??…君は人化しないのかい〜窮屈でしょ〜」


「…あ、あぁ私はな…この姿が落ち着くんだ…」


「ふぅ〜ん、そっかぁ〜超気持ち分かるぅ〜

でもさぁ〜その大きさじゃここ入れないよぉ〜??」


青年と私の大きさは倍以上離れている。


彼は人化した竜だ。身長は高そうだが人族の範疇に違いはない。


青年が指を刺す方向。そこには両開きの立派な扉があった。

ここが第3ホールの入り口か。


たしかに私の大きさじゃ両方の扉を開けたとしても

入り切らなそうだった。


私が困っている事を察したのか青年は続けて言った。


「小さくなれぇ〜って自分に念じてみたらぁ〜??」


「…は?」


「いやだからぁ〜小さくなれぇ〜って…」


両腕と足腰を使ってジェスチャーする青年。

なんなんだこいつ。本当に竜なのか?

言動が頭が弱い子供の様だぞ…。


そんな事で小さくなれたのならば苦労はしない。



「小さくなれぇ〜」だなんてな。



目を瞑り私は考える。どうしたものかと…



ガチャっ…



青年のいた方で扉を開ける音が鳴り響く。


なんだ、青年よ。自身の馬鹿さ加減に気づき恥ずかしくなって

先にホールへ行くのか。まぁそれは仕方ない。

馬鹿は治らない。不治の病なのだ。気に病むな青年よ。

この集まりに限らず馬鹿が現れたら青年に紹介しよう。


馬鹿を切磋琢磨、磨くがいいよ。



「行こうかぁ〜レデュストロスくん〜」



目を瞑ったままの私に青年が語りかけた。

なんだ、私の事を知っていたのか…だがな青年よ…

馬鹿なお前には分からぬかも知れんが私はまだ

ホールに入る方法をだな…



竜は瞑っていた目をようやく開いた…

話の分からない青年を憐れみの目で見下す為に…


だが目に映ったのは竜と変わらない目線にいる青年だった。


ん?青年が大きく…あれ?…扉が大きく?


ん?


んんんんんんん?





青年は天才だった。


因みに作者も馬鹿です!!えへふへへへ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ