自民党に投票するのは本当に日本人が「劣等民族」だからなのか?
◇「支持政党なし」が最大勢力という事実
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は「日本人が劣等民族だから自民党に投票し続けているのか?」
という事について個人的な考察をしていこうと思います。
質問者:
いったいどういう経緯からそんな発言が出てきたんでしょうか……。
筆者:
ジャーナリストの津田大介氏と青木理氏によるYouTube番組「ポリタスTV」で、「人々はなぜ自民党に投票し続けるのか?」と言う津田氏の問いに対し、「劣等民族だから」と青木氏が答えたんです。
ちなみにこのお二方はどちらかと言うと「左寄り」の方々で、日本共産党や立憲民主党を支持している傾向があるようです。
質問者:
そりゃ炎上しますね……。
でも、答えはともかくとして、よくよく考えてみると重要な問いかけではある気がしますね。
冷静に分析するとどういうことなのでしょうか?
筆者:
まず、「基本的な選挙の構造」を押さえた方が良いです。
凄く当たり前のことばかりなので恐縮なのですが、
投票した人同士の中で「比較最多投票数」の人が選挙区で、党で入った場合比例代表で当選します。
それを踏まえた上で9月9日に公開されたNHKの世論調査での各党の支持率を見ていただきたいのですが、
自民党31.3%、立憲民主党6.6%、日本維新の会が3.0%、特に支持している政党は無い45.3%と
「支持政党なし」が実を言うと圧倒的に最多になっています。
裏金問題やインボイス、マイナンバーなど様々な政治不信がありながらも自民党が既存政党では圧倒的に最多になっています。
質問者:
なんということでしょう……。
筆者:
国政選挙の投票率が大体55%なのを考えると、必ずしも一致してないにしろ、
「どこも支持していない45%」のかなりの割合は「投票に行く気が無いほど政治不信がある人」が占めている良いでしょう。
現に一番投票率が低い若者世代では7割が「政治を通じて社会を変えることができると思えない」と言うデータがあるほどです。
ただこの選挙に行かなくなる傾向は自民党にとっては狙い通りです。
選挙に行くことを諦めさせることによって、確実に投票に行ってくれる宗教・企業を擁する組織票をフル活用することが可能になります。
よって自民党は確実に選挙に勝つことが出来るからです。
質問者:
このデータを頭に入れた上で、
「日本人が劣等民族だから自民党に投票するかどうか?」と言うお話に戻りたいのですが……。
筆者:
僕は「野党が酷過ぎて自民党以外に選択肢が無い」と言うのが答えです。
「自民党だろうと立憲民主党だろうと、誰が総理になろうと、経済や情勢が変わる事はない」
と冷静な分析をされているのです。
7月7日の東京都知事選挙と同時に行われました東京都議補選では9選挙区9人の議席が争われましたが、都ファ3議席 自民2議席 立憲民主1議席 無所属2議席 諸派1議席 と言う結果でした。
他にいい候補がいれば都議補選のように無所属有力候補が当選するのではないかと思います。
◇21年の衆院選挙で「消費減税を訴えて立憲民主党が敗北した」理由
質問者:
しかし、立憲民主党の前代表である枝野氏は「消費税減税を掲げたのに選挙に勝てなかった」と言う話もされているんですけど、それについてはどうなんですか?
消費減税は筆者さんが主張する政策の中では社会保険負担減免と同じぐらいの一丁目一番地のような気がするのですが……。
筆者:
これについて深堀りをしたことが無かったので今回初めて深堀りしますが、
2009年の衆院選挙で旧民主党は「バラ色の政策」の数々を掲げました。
その根拠は「数十兆円の埋蔵金」があるからでした。
しかし、実際のところはそんなものは無く
多くの「バラ色の政策」はその後に起きた大地震の「東日本復興財源」のために中止されてしまいました。
多くの投票した国民は「裏切り」を感じて、「民主党系列へのアレルギー」を植え付けてしまったのです。
この様に立憲民主党の「消費税廃止」は上記のような「非現実的な公約の一つ」と捉えられてしまったのでしょう。
日本人は「劣等民族」なのではなく「学んだからこそ」民主党系統に投票しなくなり、「自民党に投票した」とも言えるのです。
質問者:
なるほど、あまり良さそうに見えなくとも「現実的な案」を自民党が示していると言えるのですね。
筆者:
僕が21年の立憲民主党の政策の敗北要因だと感じたのは「消費減税のみの主張にとどまった」ことだと思います。
「税金から歳出をしなくてもいい」という「財源論の否定」を行わなかったことで「非現実的」だと思われたことです。
「消費減税と同時に他で増税を行うのではないか?」と言う恐怖が国民の間にあったのではないかと僕は分析します。
世間の風潮から見ると「責任をもって増税を訴える」ことや「公務員削減」が票に繋がるような感じがします。
これら風潮を真っ向から否定してマインドチェンジを同時に行うことが出来なかったので、
「旧民主党のような非現実的な政策をまた言ってるよ」
と思われたのでしょう。
更には立憲民主党は防衛・外交などにおいては自民党よりも「国を守れないのではないか?」と言う疑義が起きるような政策ばかりです。
これでは政権を担う責任政党として評価されなくて当然でしょう。
◇「劣等民族」は分断を煽るような表現なのでよろしくない
質問者:
でも「劣等民族」ほどでは無いにしろ、今の自民党が勝ち続ける可能性が高いという事にはやはり違和感しか覚えないのですが……。
筆者:
ただ、組織票を持っている数が自民党が多く構造上厳しいのは事実です。
しかし、自民党に投票している全員が全員ではありませんし、政権交代が2009年に起きたのも事実です。
僕はむしろ野党系のジャーナリストと言える方々がこういった表現をされて、
「分断を煽る」又は「マウントを取る」と言う状況の方が危険だと思います。
「あんな発言をする奴らが支持している政党に政権を取って欲しくない」
と言うマインドが広がっていくからです。
質問者:
確かにマウントを取られると反発心と言うのが高まる可能性がありますよね。
少なくとも従来自民党に入れてきた方々が多い上に「馬鹿にされた」と思うので、
更に自民党に投票して余計に自民党が勝ちやすくなるという事ですか……。
筆者:
そういうことです。
つまりこれら「マウントを取る左の方々」は意図せずとも「日本人同士の対立」を誘発し、ある種の「自民党応援団」としての役割を果たしているのです。
ちなみに左っぽい人たちが何となく「マウント」を取ってしまうのは実は戦後すぐからあったようです。
というのも、GHQの政策の一つにあった公職追放で左の人たちが大学教授などの地位を占めたために、それらに近い人たちが学生や教師として出世していきました。
この様に「高学歴の俺たちは左」「右の人たちは低能」みたいな風潮が広まっていったんですね。
質問者:
批判をするにしても政策面での話し合いをした方がよっぽど有益のような気がしますよね……。
筆者:
本来あるべき議論の形はそうですよね。頭ごなしに相手の全てを否定することはよろしくありません。
スパイの方々以外は「日本を良くしたい」と言う気持ちで共通しているはずなので、
どうすれば国が良くなるのか? なぜその政策がダメなのか? どの政策が良いのか? を議論していく必要があると思います。
どちらかと言うと、選挙においては「相手陣営に投票する人をこちらに入れさせる」か「投票していない人を投票させるか」のどちらかが大事だと思うのですが、
前者の方が相手陣営から奪うために当たり前ですが、2倍の効果があります。
そうなると「こっちの考え方の方が楽しいし、良い世界になるからおいでよ」みたいな発信をしていった方が良いと思います。
イソップ物語にある「北風と太陽」の「太陽」としての戦術を野党側の言論人は取るべきだと僕は考えます。
質問者:
中々、「政治で良くならない」と思っている方々を説得するのも大変ですからね。
筆者:
そうなんですよ。
投票率を上げる戦略は勿論大事ですが、野党の政策が頼りないことも事実としてありますし、良い未来が描ける野党も少ないので、これの一本足打法ではどうしても厳しいです。
現状において選挙に行っている人たちを自民党以外に入れさせる戦略も必ず並行して行う必要があり、その道を「下に見る」ような発言をして自ら閉ざしてしまうのは非常に危険だという事です。
質問者:
今のままだと自民党の“刷新感”というフワフワとした根拠のないものに対する期待だけで解散総選挙勝ちそうですよね……。
筆者:
野党の政策面にも課題はあると思いますが、
「野党を支持している人たち」にも課題があるという事です。
「あんな奴らと一緒になりたくねぇ」
と思わせないような、上手く自民党支持者を引き込む作戦を考えることが「真の言論人」としての姿勢ではないかと僕は思いますね。
という事で今回は最後までご覧いただきありがとうございました。
立憲民主党が評価されなかったのは「消費減税への信頼度の低さ」と「財源論からの脱却が出来なかった」ということ。
野党を支持する言論人は「太陽」としての役割を果たして自民党支持層を崩していく必要があるという事をお伝えしました。
今後もこのような政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。