第1話 最強魔導士と華林
ある日の朝。俺は学園長に呼ばれて学園室にいる。
俺の前に座っている小学生ぐらいの少女こそが青蘭学園の学園長、エリナ・バースト。
見た目は小学生だが俺と同い年なんだがな。
「マスター......転入そうそう決闘して負けるとは王として情けないですね」
「いや、面目ない」
「それに決闘の相手が学園トップを誇る福本華林だとは......」
エリナは呆れているな。いやー悪いことをしたなぁ。これは。
エリナとは世界の王とそれを守る10人の守護者としての関係にある。それは会社で言うと上司と部下だ。
この場合、立場が逆で俺が部下でエリナが上司となるだろう。
俺はエリナに暫く説教を受けた。完全に怒られましたね。
君たちだけではない。俺も怒られる事もある。怒られ落ち込んでの日々の繰り返しだよな?
だから、君たちに言おう。悔しい想いを糧に今を生きよう!!!
屋上にて俺は何くそとふて腐れて寝転がっていると俺の目の前に白いパンツがすっと現れた。
「何してんの? パパ」
「リリカか......見えてるぞ、パンツ」
「見せているんだよ」
と言いながらリリカはふらふらと体を揺らす。こいつのパンツは見慣れていて、今さら興奮はしない。
「んで何か用か?」
「かっちゃんからの再決闘だよ。えっと、日時は今度の日曜の19時で場所はここみたい」
「あぁ分かった。ありがとよ」
違和感がすごくある。こんな早くに再決闘はできないはず。
そんな疑問を抱きながら俺はその日を普通に過ごした。
そして夜19時の昼間に俺がいた屋上。俺とリリカが華林を待っている。
時間になっても華林は来ない。何やっているだろうか?
すると、華林が空から舞い降りてきた。着地した華林を見てみると瞳に光が無さそうに見える。
「どうしたんだ? 遅れてよ?」
「......」
黙ったまま華林は刀を鞘から抜く。
「リリカ......何か変だぞ。決闘じゃねぇ」
「そうだね。とりあえずあの偽物をぶっ飛ばそうよ!」
なんとなくだが匂いで偽物だと分かる。俺もリリカも動物並みに鼻が効く。そのため、華林の匂いは覚えているからそこにいる華林が偽物だという事は分かった。
「リリカは華林を探しに行ってくれ。俺はあの偽物野郎をぶっ飛ばすから」
「分かった」
リリカは体の向きを変えて走り出す。
さてと、偽物野郎をぶっ飛ばすため、俺は鞘から抜かれた刀を出現させ、右手に持つ。
偽物華林は地面を蹴って飛び出す。そして刀を俺に向かって振るう。俺は刀で防ぐ。
「よく分かったわね。私が華林ではない事」
「まぁーな。最強の魔導士だからな」
俺は左手の指パッチンする。すると2人の足下が崩れて、2人は下の階にある教室へ着地する。
距離を取る2人。偽物華林は姿を変えて正体を現す。
「福本華林を殺すように依頼されていてね。邪魔しないでくれるかな?」
桃髪の女子生徒がにやけている。制服は青蘭学園ではあるが見た事はない顔だ。
「依頼主は誰だ?」
「言うわけないでしょ......邪魔するなら貴方も殺す!」
桃髪の女子生徒は飛び出してくる。そう来ると思ったよ。
俺は左腕を横に振るう。俺の前に氷の壁が出現する。
女子生徒は立ち止まる。
「これは.....氷魔法か」
「どこ見ているんだ?」
女子生徒が気付くと俺が後ろにいた。女子生徒は直ぐ様に振り返り刀を構える。
「依頼主に伝えるだな。俺が相手してやるから待ってろ! って」
俺は刀を振り下ろす。女子生徒は刀で防ぐが刃ごと斬れる。
その場で倒れる。血が流れて俺の足下まで床を染める。
すると近くの壁が爆発して、リリカが飛ばされてきた。俺はリリカを抱き止める。
「大丈夫か? リリカ」
「油断した。ごめん、パパ」
俺はリリカを立たせる。
煙の中から華林が現れる。刀を右肩に担ぎながらゆっくり歩いている。
その雰囲気が決闘の時とは違い殺気に満ち溢れている。
「お前......誰だ?」
「けははは! 誰だって......俺は福本華林だが?」
「そうか......もう1人の華林って事か」
「よくお分かりで」
今までの事柄を整理しよう。決闘の時の華林とは違い、華林の精神の中に存在していたもう1人の華林が俺たちの前にいる。
そいつが桃髪の女子生徒に依頼して自分を殺すように指示した。それは恐らく、もう1人の華林が華林自身を乗っとるため。
まさか、人格が2つあるとはな。俺がその事を何故知っているかはいずれ話すとしよう。
今は華林を救うとする。俺が今やるべき事だろう。
桃髪の女子生徒は力を振り絞り、刀を床に突き刺し支え台にして座り込む。
「すまない。君にこんな事をお願いするのはどうか思う......君しかいないんだ。私は華林様に仕える者、もう1つの人格に言いなりになってしまい不甲斐ない。許してもらうなんて思っていない。だがこれだけは言わせてくれ......華林様を助けてやってくれ!!!」
「任せろ!」
お前に言われなくてもそのつもりだ。何故なら華林は俺の......だからな!
もう1つの人格の事を闇華林と華林とは区別するためにそう呼ぶ事にする。
闇華林は刀を振り下ろし炎を纏う。そして、構えだし戦闘体勢にはいる。俺に向かって飛び出す。
俺は刀を消して両手に炎を纏う。俺も闇華林に向かって飛び出す。
俺は右手、闇華林は刀を振るう。2人の攻撃は相殺し合い、衝撃波が辺りを震わせる。
互いに離れて、俺は左手を床に触れる。
「アイスフロア!」
床が全て凍りつく。
闇華林はそのせいで着地した時に滑って頭を強く打つ。
「いてっ!」
闇華林は上半身を起こして頭をさする。
「いててて。氷に滑るとかたぜぇな俺」
「爆拳!」
俺は右手に炎を纏い、闇華林にすぐ近づき右拳を振るう。
闇華林の腹に俺の右拳が当たり床を崩す。闇華林だけ落ちる。
瞬間移動して俺は元の位置へ戻る。崩れた床から闇華林が飛び出す。
「炎閥斬撃!」
空中に浮きながら闇華林は刀を振り回し炎の斬撃を複数飛ばす。
斬撃が俺に当たるが無傷で全てかわす。
闇華林は空中を蹴って俺に向かう。炎を纏った刀を突き刺そうと構える。
俺は右手でその刀の刃を握りしめて闇華林の動きを止める。右手から微かに血が流れる。
「なぁー。俺の家族に手を出すとどうなるか知っているか?」
俺は右手をくいっと後ろに引いて、闇華林を近づけさせる。左手で闇華林の顔を握り床に叩きつける。
あまり俺を怒らせるなよ......お前。
すると爆発が起きる。俺は左手で爆発を起こしたのだ。
闇華林は気絶して、どうやら元の華林に戻っている。
「ちょっと! パパ! やりすぎ!」
「大丈夫だって。このぐらいで死なねぇよ。華林は」
気絶していた華林が目を覚ます。倒れている事に気付き上半身だけ起こす。
「あたしは一体......何を?」
その華林に桃髪の女子生徒は泣きながら抱きつく。
「ちょっ! 秋奈!?」
「華林様が無事で良かったです......」
「秋奈。ごめんね。心配かけて」
華林は秋奈を抱き返し頭を撫でる。
何とかなって良かったぜ。
改めて華林を見ると制服がボロボロで裸に近い状態となっていた。俺は急いで目をそらしたがそれに気付いた華林。
「って!!! 何であたし裸なの!?」
華林は大事な所を急いで隠す。そして俺を睨む。
完全に怒っているな。
「パパ......変態」
リリカにジト目され心が痛まれる。つぅーか、変態のお前に言われたくねぇな!
リリカの方が変態じゃねぇか!!!
こうして事が終わり、念のためエリナに報告するために学園長室に来た。
「そう。そんな事があったのですね」
俺はエリナに華林の事全てを話した。もう1つの人格がいた事、その人格が己、華林自身を殺すように指示した事、その全てを......。
「分かりました。なら、福本華林の監視を貴方にお願いします。マスター」
「やれやれ......何で俺なんだよ」
「だって貴方の......」
「分かったよ。分かりましたよ。やるよ」
たく、やってやるしかないか。
まぁー世界の王としての役目を受け継がそうと後継者を探していた所だ。彼女に後継者として育てても良かろう。
調度良かった話で、大きな事件にならなくて良かった。
こうして無事に事件が解決して、平和な日常に戻るのであった。