表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

1. overture

 私は宇津森うずもり彩雪さゆき

 この星花女子学園で、4年前から司書教諭として働いている。

 私自身も星花女子学園の卒業生。一言で言えばOGである。

 星花女子学園は創立から70年以上の歴史を誇る女子校で、教職員にはOGも多数いる。

 なので、かつて生徒として同じ時間を同じ学び舎で過ごした少女達が、次の少女達を教え導く教師達となって再会することもある。

 1年前に赴任してきた、みゆき まりあ先生もその一人。

 しかし、私は、この時は知るよしもなかった。

 図書室という本の森で、一人で生きていた私に「好き」というものを教えてくれた、聖母のように優しくて、大好きなひと。

 それが、みゆき 先生だということを。


ー1年前 立成19年度 春ー


「このたび、星花女子学園で働くこととなりました、みゆき まりあ、と申します。どうぞよろしくお願いいたします。音楽科と合唱部顧問を担当いたします。趣味はピアノを弾くこと、コンサートに行くこと、美術館を巡ること等です。昨年度までは公立の学校に勤めておりました。これまで積んできた経験を少しでも早く生かして皆様の、また私の母校でもある星花女子学園のお役に立ちたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。」

 穏やかで優しそうな女性。これほどまでに聖母の名前が似合う人は初めてである。そして彼女もOGなのね。もしかしたら、私と在籍期間が被ってるかもしれない。

 ん……? 私、彼女のこと知ってるかも……? 幸先生の声、絶対に聞いたことがあるような気がする。

 それに、彼女の声が、不思議に心地よい。もっと彼女の声を聴いていたい。

 私は、人と距離を詰めるのは苦手だけれど、幸先生となら親しくなれるかもしれない。あんなに優しそうな人なんだから。

 きっと、私のような、本の森に引きこもってしまう人間にも、きっと優しくしてくれそうだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on 小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ