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21.冒険者ギルド(前)

いつもお読みいただき

ありがとうございます。


今日は冒険者ギルドに来ている。


 リリーはいつも通りに生活ギルド【エンカ】にきて依頼を探していた。キルアも最近は少しだが安心したようで近場のお出掛けには何も言わなくなった。依頼も受付にしかしっかり確認してから受けるようにしているので大きなトラブルもない。


 《冒険者ギルドより臨時テイマー募集のお知らせ》

◆野鳥の巣作りシーズン到来。

 巣作り阻止の作戦に参加してくれる方を募集中。

(お手伝い程度できる方でOK)


 珍しい依頼にリリーは興味を持ったので取りあえず内容を聞くために、久しぶりに冒険者が集まるギルドへと足を運んだのだった。



 「こんにちは、【エンカ】からきましたリリーですが?」


 ギルドのカウンターで受付の人物に挨拶をするとすぐに担当者が現れた。


 「初めまして弓職とテイマーをやってますオランと言います。ダメもとでそちらのギルドにも依頼したんですが、来てもらえて助かります。」


 仕事内容は野鳥の嫌う大型の鳥や獣を使って彼らが巣作りをしそうな場所に匂いをつけていくというものだった。既に巣があった場合は取り除いたり、野鳥に遭遇すれば追い払うために戦うらしいがそれについてはオランと今回募集した仲間の剣士がやってくれるらしい。


 リリーの仕事は主にオランの補助となる。動物の会話が一方的にわかることを伝えると、今回のように生き物の位置を知りたいときには重宝すると喜ばれた。


「じゃあ、明日一日よろしくお願いします。」

「ああ、明日。」


 オランに見送られて冒険者ギルドを出たリリーは冒険者だった頃の自分を思い出して少し懐かしい気分になりながら帰路についた。



 「さっきここを出て行って女性、リリー・マイヤーだろ?一緒に仕事するのか?」

 リリーを見送ってギルドに戻ってきたオランに一人の剣士が声を掛けてきた。

 

 「ええ、明日の野鳥の一斉取り締まりを補助してもらうんです。お知り合いですか?」

 「ああ、少しな。野鳥の件か、それなら確か剣士も探していたな?俺でもいいか?」

 「『勇者パーティの剣士カイ』さんがこんな小さい依頼を受けるんですか?」


 彼なら今回の魔王討伐の功績で一生暮らせるほどの保証を受けているはずだ。何故か最近になってこのギルドに顔を出すようになっていた有名人の突然の立候補にオランは驚きを隠せない。


 「たまには身体を動かさないとな。それとも俺では役者不足か?」

 「そんな、とんでもない。でも報酬は、多分依頼書の通り御礼程度ですよ?」

 「そんなことは構わない。じゃあ、明日よろしく。」


 カイはまだ納得がいかない顔をしているオランを残しギルドのドアから出ていった。


 「久しぶりに会うリリーはどんな顔をするのかなあ。それだけで十分な報酬だよ。」


 剣士はニヤリと笑った。





 「リリー明日は私の洋服の仕立てに付き合ってください。」


 夕食の時にキルアが思い出したように口を開いた。最近のキルアの『依頼』はギルドを通さずにこのように直接言ってくることが多い。実はキルアからのデートの誘いだったりするのだがリリーにはそれがうまく伝わらないのが彼の最近の悩みだ。


 「すいません。明日は冒険者ギルドでお仕事がありまして、一日出かけます。」

 「今日も確かギルドに行っていたと思いますが、連日とは珍しいですね。」


 キルアも逐一リリーの行動を監視しているわけではない。リリーはいつも出かける際に行き先と要件を執事に告げてから外出してくれるのでそれを把握しているのみだ。今日は生活ギルド『エンカ』に依頼された冒険者ギルドの手伝いに行っていたはずだ。


 「一日で終わるかと思ったんですが今日は打ち合わせのみで明日一日かけて野鳥の対応をすることになりました。」

「野鳥、ああ……それはお疲れ様ですね頑張ってください。」


 毎年このシーズンになると人手を割いて野鳥対策にあったている事を知っているキルアは今回は流石に諦めるしかなかった。それに冒険者に依頼を出しているの国であり、つい先日その提案のアドバイスをしたのはキルアなのだ。まさか巡りめぐってリリーに依頼が行くとはつゆにも思わなかった。


 「大丈夫ですよ?一日で戻りますからキルア様にご迷惑はかけません。それに今回は一人じゃなくて大弓も使えるテイマーさんと本職の剣士の方もいますから安心してください。」


 心底悲しそうな目で自分を見つめるキルアに(実は自分が出した案が下でリリーとお出掛けできないのが悔しいだけ)また過剰な心配をかけたと思ったリリーは慌てて説明をする。


 「森の奥まで入るので魔物対策もありチームを組むことになりまして、一緒に行動するテイマーの方とは今日お話ししましたが物腰の柔らかい素敵な方でしたよ。剣士の方は明日合流することになりますがギルドに登録している冒険者なのでそこそこ強い方のはずです。」

 「わかりました。洋服を仕立てるのは来週にします。その代わり明後日は一緒に温泉のある別宅へに行きましょう。約束ですよ。」

 「それは、楽しみです」


 キルアの提案に嬉しそうに微笑んだリリーを見てキルアの機嫌が少し良くなった。

長くなりましたのでまた前後編です

後編は29日です。

準備できてます!


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