まずは鍛冶士づくりから
目を開けた先は真っ白な空間に真っ白な地面。着地している感触と影がなければ浮いていると錯覚してしまいそうなほど白い場所。
『ようこそ、新たな世代の子』
『今からあなたのこの世界での姿と才能を決めていきましょう』
目の高さ1、2メートルほど離れた空中に文章のが浮かび上がる。
残念ながら、物語などで良くある人間味のあるAIサポートキャラクターでは無かったらしい。文字だけだ。音声もない。文字だけだ。サポートキャラに気に入られたり、変な対応をして変な称号を貰えたりすることも出来ない。文字だけだ。残念。
『まずはあなたの姿を決めてください』
前の文章が消え、新しい文と共に自分の現実の姿がオンラインゲーム風にデフォルメされた立体像が立ち上がる。
まぁ、こんなものに時間をかけてはいられないので、元々考えていた長身ドワーフのような体にして、顔を少し老けさせて丸坊主にし、髭は無しで完了。選ぶ予定の職業的にドワーフ感は出したいけど、チビは嫌だ。小汚なくない渋みがほしい現実でも切実に。
『では職業を決めてください』
『アンケートにより適正職業の候補を表示することも可能です』
初期から選択できる職業の羅列と『アンケート開始』の文字がでてくるが、アンケートを無視して職業欄から狙っていたものを選択する。
『鍛冶士。でよろしいですか?』
もちろんYES。
職業〈鍛冶士〉
職業スキル"鍛冶"を使用可能。鉱石素材、特定のモンスター素材を用いて武器・防具を製作出来る。キャラクターレベルアップ時に"器用"と"HP"に補正。鉱石、特定のモンスター由来の武器・防具を装備可能。製作内容により職業進化時に分岐発生。
<鍛冶士>は鉱石・モンスター素材を使用出来る職の中でも汎用型の職だ。武器・防具・アクセサリーと粗方製作が可能だが、それぞれの特化職には勝てないらしい。
<武器職人><防具職人><アクセサリー職人>などは、製作物のベースの素材や形状と相性の良い材料を追加して、性能を上げたり特性を付与出来るようである。
『次に職業スキル以外の初期スキルを3つ決めてください』
『鍛冶士おすすめスキルを上位表示し、選択不可スキルを除外します』
考えていたスキルとオススメスキルを選択。職業スキルではないスキルは、ゲーム内での行動や選択、ワールドシナリオやクエスト、イベント報酬などでも取得可能になるようなので、初期スキルは3つだけしか選択できないようになっている。
いや、てか、多っ。いつくあるんだこれ。除外されてるスキルもあってこの数ってことは、どんだけ自由度が高いんだこのゲーム。最高かよ。
『"投擲""腕力強化""野外鍛冶"の3つでよろしいですか?』
後2時間は悩みたいのが本音だが、早くゲームしたいし、その時その時で習得したり勝手に生えたり選んだりするのが楽しいと思うからと言い聞かせながらYES。
"投擲"
片手及び両手で持ったものを投げつける行為を行う際、命中率・威力及び投擲物の飛翔速度に補正。
"腕力強化"
上半身限定の強化。
"野外鍛冶"
工房内で無くても簡易的な鍛冶作業を行うことが出来る。職業スキル"鍛冶"と比べて製作ランク、完成度、製作速度が落ちる。使用素材が微小減少。
"投擲""腕力強化"はやりたいスタイル的に元々考えていたけど3つ目を決めてなかったのでオススメを選択することにした。他のオススメ"重武器"や"魔武器作成""装備解体"なども面白そうだったけど、基本的にソロで行動する予定だし何かびびっと来なかったのでやめておいた。直感はダイジ!ただし経験者にカギル!
近距離の弱点を埋めるために"格闘"や、回復目当ての"食治"などは次に選べる機会があれば取ろうと思う。
『次にステーキタスポイントを各種ステータスに振って下さい』
『鍛冶士オススメステータスを表示します』
全項目0でステータスポイント60の窓と"製作特化型""耐久パワー型""苦手克服型"など、いくつかの見本用の窓が表示される。
まぁ、自分としては"無魔投擲中距離鍛冶士"を目指しているけど、0のままなのは嫌ので全てに1だけ入れて"筋力""器用""幸運"にそれぞれ振り分けて良い感じにする。
『最後に、あなたのプレイヤーネームを決めてください』
プレイヤーネームは今までプレイしてきたゲームでも使用してきたものを同じく入力する。これなら斗也も、他のオンラインゲームでフレンドだった奴らにも気づいて貰えるはず。
その後いくつかの項目を設定して、規約に同意した。