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なげやり鍛冶士  作者: 巨沼怪
プロローグ
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プロローグ

 

 3月下旬、今年度も残すところ残り6日。大きい案件は先週までで終わって、日々のこまごまとした仕事と棚卸しが残っているのみ。そんな楽勝な日の昼。


 ピロン


 昼飯を食べ終えて休憩の残り時間、午後の集中力を保つためいつものように一眠りしようとしたところで双子の兄、斗也からメッセージが来た。



『とーご、お前VRの機体買えとるよな?』


 おそらくは面白かったゲームをすすめる話が始まるのだろうが、昼寝が出来なくなってしまうので既読無視。昼のうちからそんな話を聞くと期待で仕事が手につかなくなりそうだから、という理由もある。





 自分達、北見斗也・斗梧ブラザーズは二卵性双生児は、異なった属性を持ち顔も似てないの仲良し兄弟である。まぁ、仲良しと言っても地元から出た今では、お盆などで帰省する以外はもっぱらゲームをすすめ合う程度であるが。



 兄・斗也は、無双系やFPS系、レースゲーが得意で好んでいる。そして開拓ゲーをこよなく嫌い、脱出ゲーを苦手とする。


 対して、弟である俺斗梧はRPGやハクスラ系、ハイドゲーが好きだ。レース系は酔うので嫌いだし、FPS系はエイムぢからがクソザコナメクジのため、ゾンビにすらヘッドショットができない。


 タイプとしては、炎・雷と水・精を好んで使うような性格だ。





「お先に失礼しまーす。おつかれさまでしたー」


 一昨日から定時上がりができ、今日も何事もなく終わることが出来たためさっそく昼時のメッセージへの返信をする。


『うい』


 すると待っていたかのように直ぐさま返信が来た。



『遅ーわカス』

『ベータしたゲームのカセット版届いたから送ったでから』


『既に事後なら返信すらいらんやん。2つ買ったん?』


『いや、ベータのデータと交換でダウンロード版貰えたからいらんくなった』


『あーね。どんなやつ?』


『終わらない世界。ってやつCMとかでもやってるだろ?』



 現在世間を賑わしており、サービス開始直前ということもあって話題のつきないVRMMOタイトル。「あなたが居なくてもこのゲームは止まらない」のキャッチコピーでお馴染みの〈終わらない物語 ~エターナル・オンライン〉。

 

 ようやっとフィクションでよくあるVR技術が追い付き、すごいAI技術と、ものすごい加速技術によって実現した今、最高峰のゲームだという。ゲーマーの端くれとしてチェックはしていたが、界隈でもそれ以外でも熱量が凄くなっていて、手に入りにくそうなので第3陣あたりに入れたら良いなと思っていた。



『ま?神かよ!さんきゅ!!!!』


『おう』



 最速プレイ陣・古参の立場というものは、アドバンテージだけでなくそのゲームへの愛情も変わってくるので非常にありがたい。お金を積めば手に入るというものではないので、いずれゲーム内で返すことにしよう。飽き性のあいつがやめる前には。


 小説や漫画アニメなんかで描かれているようなクオリティの長年妄想しかできなかったプレイスタイルが可能かもしれない。調べねば。学ばねば。





 

 ベータ組の情報の漏洩はSNSなどを監視されているらしく、公式の情報や界隈の予想板・考察板などで調べる事しか出来なかったが、期待を高めたまま週末のリリース日を向かえることとなった。



「ふぅー、よし。"ダイブイン"」



 さぁ、たのしむぞ!

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