【コラム】裸の王様もどき:『余の読者にかような間違いを犯すものなどいない』翻訳魔法さん:『敬語はなしでいきましょう』
筆者は人より『小説家になろう』さんの短編を読む比率が多いらしい。
いや、単純に読んでいる数で云えば筆者などより多い方は確実にいらっしゃるはずだ。
筆者が『高い』のは読む数というより感想やレビューを書く確率及びポイントを入れる確率。そして『多い』のは感想やレビューをなるべく書く方針によるその多さ、そして気づいた誤字脱字を指摘する数の多さである。多分ほぼ間違いなくこの三つのうちどれかは最後まで読んだ作品に入れている。
そして多いか少ないかは判断の別れるところだが、平均して年間340回くらい感想を書いているらしい(※連載を行っている同一作品含む)。
当然、誤字報告は感想やレビューと違って匿名で為されるので筆者のこちらの活動は表に出ないし出すつもりもない。誤字報告者が判明するシステムだったら筆者は恥ずかしさで悶死する。
しかしいちいち誰が行ったか等わかりはしないので場合によっては嫌がらせに使う愚か者もいるようで誤字報告機能を受け付けない設定にしていらっしゃる作者さんもかなり多い。人気作になると別の意味で苦労するらしい。
逆に古いユーザーさんで誤字報告機能を受け付ける設定にしていない作品があったり、まだ『小説家になろう』を始めたばかりで『ここを治せば今後は同じ間違いを起こさないのに』という勘所もあるので自戒を込めて順次まとめていきたい。(※つまり、本稿には改稿や追記があるということ)
【番外。各作品にいちいち『作者名』を設定する方】
これは本文と関係ないのだがむちゃくちゃ多い。
よっぽど自作品を読まれたくないのだろう。
それならば日記帳にでも書いて机の中に入れて鍵でもかけておけばいい(※炎上発言)。
丁寧に活動報告をタグツールで装飾し、読んで読んでアピールしても残念なことに活動報告を見て作品を読む方はいても作品から作者をお気に入り登録して活動報告に至り他作品を読む導線を自ら潰す『愚行』だと筆者は勝手に『愚考』している。
そんなものいちいち設定しなくてもデフォルトネームは表示されます。
設定すると作者さんの名前を検索でもしない限り作者マイページに飛ぶ方法はないのでよっぽどのマニアでない限りそういった導線は生まれない。
作者読みしてほしい人はやらないほうが良い無駄機能ではないだろうか。
【本編】文章以前のミス
【タイプミス。予測変換ミス】
パソコンで入力している人ならば隣のキーを押したり、間違った選択肢を選んだまま、あるいはタイプし損ねたり長押しで起きるミス。r母音等を押しっぱなしにして『っ』等を表示したりする。あるいはカナ入力者ならば隣のキーを押してしまう。または数字変換を押していた等多岐にわたる。
濁音をつけるときや小さな『つ』の変換でも間違える。(『は』なら『ぱ』『ば』。『つ』を小さくする際に『っ』『づ』)
対策:文章を読み直す。
ただ、ネットミームには簡略化を図るべく子音五段活用をわざと間違えるものがある。
(あるいは文章を今まで書かなかった層も参戦してきたからかもしれない。実際Twitterは『文章は書けないが短文ならなんとかできる』層の言葉を可視化させた)
登場人物の生まれ育ちを表す演出もしくは教養が高い故の言葉遊びとして筆者は基本スルーしている。
【子音の活用を間違えたりミスタイプする】
『話さ(→ない)』『話し(→ます)』『話す』『話せ』『話そ(→う)』
この子音をミスタイプしたりすると『話すます』になったり、演出でわざと変えると『話さう』と独特もしくは似非古文調になる。
また、方言の中には一部の母音や子音を統一して簡略化を図るものもある。
【母音や子音の押し間違え】
スマートフォンならば母音アイウエオに各アカサタナハマヤラワは対応している。アカサタナハマヤラワは母音なので中央。子音アイウエオに準じて上下左右が配列されている。
この子音を意識せず手慣れで別の子音を指定するとミスタイプになる。
母音子音の間違いは九割方日本人(※日本語話者)は意識しないが、ローマ字入力やスマートフォンを扱う場合意外なところで頻出する。逆に昨今の若い方はスマートフォン向けに同じ子音活用を使うこともある。
【スマートフォンを使う場合】
長音『ー』はダッシュ=『―』などと混合しやすい。『わ』の左横は長音=『ー』やハイフン)=『‐』等と変換できる。ややこしいことにカタカナには長音があるが、ひらがなの長音は日本語に本来存在しない。長音は例えば『あー』を『ああ』と書くのが本来の用法。しかしここまで筆者は指摘しない。自分もあえてやる行為だし。長音やダッシュを延々と繋げたりもだ。
【同音異義語】
『愚考』と『愚行』は同音異義語である。つまり読みは同じでも漢字も意味も異なる。
実は『橋』『箸』等読みは同じでもアクセントなどが違う言葉も存在するが、とりあえず文章を書く上で間違えやすい。
もし間違えているのに自分で気づいた場合、iPhoneならばブラウザ下の四角形から上矢印が出ているマークをタップして虫眼鏡マークをおし、全文検索してほしい。
パソコンならコントロールキー(Ctrl)とFを同時押しだ。『小説家になろう』側の機能でも単語を検索する機能があるので有効活用してほしい。
【漢語。語源の間違い】
拙作『お父さんは『勇者』さま』に登場するフィリアスの伯父はピートである。
日本語ではオジだが、中国語ではオジを指す言葉が複数あり、当然別のものであったが現在読みはそのまま漢字は異なる。
言語学的な話になるが、ワインはwineであり水つまりwaterともとは同じ言葉だ。
日本人ならば『アルコール入っている酒と水は全然違うよ!』だが民族や言語や文化によって『同じ』と定義するものは異なる。
オジを指す日本語は『小父』(他人の年長者)『伯父』(父母の兄)。『叔父』(父母の弟)。
もちろん誤字やタイプミス以前に作者に知識が無くて混同することもある。対策はこまめに辞書を引いたりネットで『叔父』『伯父』『小父』『違い』と検索すると良い。
【てにをは=助詞を間違える】
日本語の構造的な問題なのだが、日本語には主語が無く主格のみの言語といわれる。
とりあえずわかんなければ単語と単語を繋げるとき『の』でもつけておけというのは中国人キャラクターに『ある』を語尾につけさせるような暴挙と言えよう。
とりあえず『が』ついているのが主語に近いなどさまざまな間違えがあるのだが、これは筆者も頻繁に間違えるので大きなことは言えない。
とにかく一番最後が日本語には重要で後付けの言語といえる。英語だといきなり主語が来て主語に応じて他の単語の活用が変わるし動詞で何が起きたかすぐわかるのだが仕方ない。
対策。
助詞、すなわち『てにをは』をたくさん使わずに済むよう、文章を一度切って整理する。
日本語には『隠れた主格』があるのでそれを意識し文章を変える。
例えば『冷蔵庫は分解してはいけません』という言葉を聞いて『冷蔵庫が何かを分解する』とは思わないだろう。この場合主格は本文を読む読者、つまり人間である。
助詞を間違えると主語が変わっていなくても内容は変わる。
『太郎は花子を好きだ』→『太郎を花子は好きだ』
前者は太郎さんが花子さんのことが好きになり、後者は花子さんが太郎さんのことが好きになる。
例。
『とにかく一番最後が日本語には重要で後付けの言語といえる。英語だといきなり主語が来て主語に応じて他の単語の活用が変わるし動詞で何が起きたかすぐわかるのだが仕方ない」
↓
『日本語の構造について。
単語を助詞で次々と接着することでどんどん長くできるけど後付けペタペタしすぎるとわかんないよ!』
そもそも文章そのものが変わったので例としては悪文である。まぁよろしい。
【難読語。難解語】
難しい言葉を覚えたら使いたいのが厨弐病。
ややこしい言葉を作りたいのがノムリッシュ。
筆者的には『(他人にはわかっていなくても)本人にはわかっている』という演出だとして読み飛ばしている。
主人公は必ずしも感情移入する読者と同一である必要はない。
単純に『なんだかわかんないけどカッコいい!』があっても良いのだ。
可能なら解説も書いてほしいが、まぁ、漫才のどこが面白いのか解説するようなものなので各自読み飛ばして気になったら辞書を引いてほしい。
『貴様も尊き血筋ならば、幽し星の光(※民の想い)白刃に宿し、絶望の闇を駆けよ!』
とりあえずなんかカッコいい文章を作ろうと頑張ってみた。
かそ‐け・し【▽幽し】 の解説(※出典:goo辞書)
[形ク]光・色や音などがかすかで、今にも消えそうなさま。
「わがやどのいささ群竹吹く風の音の―・きこの夕かも」(出典:万葉集)
かそけしなんて変換できないし、そもそも辞書に載っているかもわからない。
しかし古語を少し混ぜると抜群にカッコいい。
庶民である我々にはなんのことか半分くらいわからない。それでもいいのだ。
【敬語『七表現』】
面倒くさいのは敬語である。
ぶっちゃけ筆者も使いこなせていない。
なんせ一般的に三種、さらに厳密には五表現と現在文部省は認定しているが、さらに細かい定義をすれば七種類にもなるらしい。こんなもの気にしていて毎日更新できるはずがない。筆者は敬語を多少間違えることは口語なら大いにあり得ると考え、スルーするようにしている。
敬語はもう、異世界ということで許してもらうしかない。
毎日更新する方が大変なのだ。
伊達になろう主人公は王様にすら『敬語はなしで行きましょう』と不敬極まりない発言をしているわけではない。何様だ。
主人公の首が不敬罪で飛ぶより読者としての筆者は毎日更新と『あ、不敬だ』と楽しむ方を選ぶことにする。
そこで感想欄の指摘から気づいた。
『王様や。オラ敬語とか話せねえ。タメ口しか話せねえだ』
はるばる田舎からやってきた悪気のない農夫は陳情を聞き入れてもらうより先に首が飛ぶ。
まあ、世の中には世界唯一の皇帝相手にモーニング拒否して技術者としての正装はツナギだと言い張った豪傑や、魚の帽子被ったままあったひともいるのだが。
このような実例を考えていくと、最近まで無駄なシステムだなぁと筆者も考えていた『王様と話すのは畏れ多いので臣下を通して会話を成立させる』システムについて、王様は御簾越しにボソボソ言うようにして第三者を介することで、たとえ庶民が無礼を働いてもあんまりにも酷い無礼でない限り聞いていないフリでスルーしてくれているという解釈の方が作者的にやりやすいというか、そのやり方の方が面倒ではあるが極めて合理的な気がしてきた。
加えて戦乱の時代であり、王様も最近(ここ数代の間で)簒奪して今の地位にあるので敬語表現は未発達なんだ! で押し通すことができる。ブラボー!
ええんかそれ。ええんや。俺には世界観までアレコレいう権利は本来ない。