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憧れの娘 レヒストロ伯爵目線

ゆっくり更新です。

すみません。

 我がレヒストロ伯爵家には息子が三人いる。

 その中でも長男のロキシスは魔法に長けていた。

 自慢の息子だったため、隣の領地を治めるアミュレット侯爵の長女でロキシスの幼馴染みでもあるグリシーヌ嬢との婚約を取り付けたいと思ったのは最近のことだった。

 爵位はむこうの方が上だがアミュレット侯爵家には跡取り息子がちゃんといるし、グリシーヌ嬢と息子は仲が良いと聞いていたからだ。

 まさか、タベアラ伯爵家も同じ考えで長男のドライアズ君の婚約者にグリシーヌ嬢をおしているとは思わなかった。

 ドライアズ君と息子は仲が良い方なので友情にヒビが入らないか心配だったが、息子はそんなことで友情は壊れたりしないと言い切った。

 素晴らしい友情だと思った。


「それに、この僕があの脳筋に負けるとでも?」


 息子の嫌なところを垣間見た瞬間だった。

 まあ、息子もああ言っていることだし、私は安心してアミュレット侯爵家に出向いた訳である。



 

 アミュレット侯爵に手紙を書き会う約束を取り付ければ、タベアラ伯爵も同じ日時に呼ばれていて、何かしらを感じ取っているのだろうと推測できた。


「二人ともようこそ」


 笑顔のアミュレット侯爵になんだか緊張してしまったのは横にいるタベアラ伯爵もおなじようだった。


「話とは?」

「グリシーヌ嬢は本当に美しくなりましたな」


 私はゆっくりと口を開きそう言った。

 侯爵も父親の顔で柔らかく笑って頷いた。


「グリシーヌ嬢と我々の息子は後、数ヵ月で学園に通い始めるではありませんか」

「そうだな」

「そこで心配なのはグリシーヌ嬢に変な虫がつくことでは?」


 私の言葉に侯爵の眉間に深いシワが刻まれた。


「そんなことにならないように、婚約者を立てるのはいかがですかな?我が息子ロキシスなどおすすめですよ」

「おすすめで言えば家のドライアズもおすすめだ」


 タベアラ伯爵と思わず睨みあう。

 そんな中、アミュレット侯爵は遠くを見つめ言った。


「変なやつに捕まるぐらいなら……それも良いかも知れない」

「「では、我が息子を!」」


 タベアラ伯爵と声を合わせてしまったが、期待から我々は叫んでいた。


「そうは言っても……そうだ、グリシーヌに決めさせよう!」


 それが、あんな大惨事を呼ぶなんて私は想像もしていなかった。

 グリシーヌ嬢は顔を真っ青にさせポロポロと涙を流しながら叫んだのだ。


「あの二人のどちらかと結婚しなくてはいけないのであれば、私は修道女になります~~!」


 我が息子ロキシスとタベアラ伯爵の息子のドライアズ君は物凄く嫌われている。

 私とタベアラ伯爵の絶望は言葉には表せないものであった。




 家に帰り、息子になんと説明したものか悩んでしまったのは仕方がないことだと思う。

 いざ家につくと、玄関ロビーに息子が待ち構えていた。


「どうでしたか父上?」


 気になるのであれば自分も行けばよかっただろうと少しイラッとした。

 

「グリシーヌ嬢は……選べないそうだ」


 私なりのオブラートに包んで伝えたのは親の愛だと思う。

 

「……それはどういう意味ですか?」

「学園に通う三年間で……決めるそうだ」


 私は嘘は言っていない。


「はぁ~男二人にちやほやしてほしいと?」


 違う。

 お前達がグリシーヌ嬢に泣くほど嫌われているから無理矢理三年猶予をもらったんだろうが。

 

「僕の気を引きたいからと……そうですか」


 息子はそう呟きながら自室の方に歩いて行ってしまった。

 息子はもうダメだと、その時本気で思った。

 本当は、グリシーヌ嬢を娘に欲しかった。

 美しく可憐、誰にでも気さくで誰からも好かれ最高の娘が出きるのだと信じて疑わなかった自分を殴り付けてやりたいとその時、私は本気で思ったのだった。

読んでくださりありがとうございます!

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