弟のジャサント
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我が国の貴族は15歳から18まで学園に通うことが義務付けられています。
庶民の方々はお金のある商家の人間か、あらゆる才能のある人間が通うことが出来ると聞きました。
貴族と庶民では制服の色が違います。
貴族は白を基調とした制服。
庶民は焦げ茶の制服です。
私は汚れても目立たない焦げ茶の制服が羨ましいと思っています。
私も今年から学園に通う予定でいます。
それがまさか、幼馴染み二人との婚約を回避するための猶予期間になるなんて思ってもみませんでした。
学園に通う三年間に私がしなければいけないことは、一つ 好きな人を見付け相手にも好きになってもらう。
二つ あり得ないことですが幼馴染みの二人のどちらかを好きになる。
三つ どれも無理な場合、修道女になる。
この三つのどれかを私はしなくてはいけないのです。
ハッキリ言って二つ目はあり得ないと思います。
小さな頃から、領地が隣ということで度々会いに来る二人。
後々、どちらか……または、両方から借金をすることになるかも知れないため二人に愛想を振り撒いた結果がこの婚約話かと絶望しましたが、逃げ道が出来たことを喜びましょう。
ちなみに、まだ何処からもギリギリ借金はしていません。
そんなことを部屋でボーッと考えていると、控えめなノックの音が部屋にひびきました。
私が返事をすると、控えめにドアが開き、弟のジャサントが顔をのぞかせました。
「姉様、父様から変な話を聞いたのですが?」
「ジャサント、そんなところに居ないで入ってらっしゃい」
ジャサントは私の二つ下の弟です。
フワフワの短い金髪にエメラルドグリーンの瞳の弟は本当に可愛らしくて頭の回転が早く運動神経も抜群で自慢の弟で私が最悪、修道女になっても弟が跡取りですので侯爵家は安泰です。
「姉様、修道女になるのですか?」
「そうですわね。愛する方ができなければそうなりますわね」
弟が絶望を顔に張り付けます。
私は弟を抱き締めて言いました。
「修道女になれば、私はずっとこの領地にとどまることになるでしょう。寂しくなんてなりませんわよ」
「姉様」
弟は私を抱き締め返して言いました。
「姉様が一番幸せになれる道を見つければ良いよ! 僕、応援するからね!」
心強い言葉に泣いてしまいそうなほど私は感動しました。
「後、伯爵家のアホ息子達から何か因縁をつけられたら直ぐに言ってね! 僕が息の根を止めてきてあげるからね!」
可愛い弟がとても物騒なことを言った気がしますが気のせいでしょうか?
「ジャサント、あのお二人はきっと私なんかと婚約なんてするつもり無いはずですわ。直ぐに婚約なんて話は無くなりますから、落ち着いて」
「"私なんか"って本当に姉様は解っていない! サラサラの長い金髪も大きなエメラルドの瞳も儚げな雰囲気も全てが美しいって姉様は有名なんだから! もう少し自覚を持って下さい!」
弟の欲目だと思いながらも可愛い弟が、そこまで言ってくれたことが嬉しくて私は笑顔を作りました。
「姉様! 僕も手伝いますから、素敵な伴侶を見付けましょう!」
弟の言葉に私はべつに修道女でかまいませんよ! と思いましたが、言うのは止めることにしました。
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