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その二人は大嫌いです

 あの日とは、右隣の領地を治めるレヒストロ伯爵家の当主様と左隣の領地を治めるタベアラ伯爵家の当主様がそろって我が家にお越しになったあの日のことです。

 二人の当主様は父の親しい友人で国王様よりも頻繁に家に来るのですが、二人が同時に来るのは珍しいとその時は思いました。


「グリシーヌ、今日はこの二人がお前に話があると言うのだ。聞いてやってくれるか?」

「勿論ですわ。お父様」


 私が二人に笑顔を向けるとレヒストロ伯爵様が口を開きました。


「話と言うのは、我が息子ロキシスとタベアラ伯爵家の息子のドライアズのどちらかをグリシーヌ嬢の婚約者にしたいと考えたのだ! どちらでも好きな方を選んでくれて構わない。どうだろうか?」


 レヒストロ伯爵様の言葉に私は胸が張り裂けるかと思いました。

 末端から血の気が引き、眩暈さえしてきた気がします。


「グリシーヌ、どうした? 顔色が悪いぞ?」


 父の言葉を聞くのと同時に私は膝から崩れ落ちました。


「グリシーヌ!」


 駆け寄ってきたお父様に私は絞り出すように言いました。


「あの二人のどちらかと結婚しなくてはいけないのであれば、私は修道女になります~~!」


 しまいには涙まで流してしまったのは仕方がないことでした。

 何せ私は、レヒストロ伯爵家の長男で170㎝ほどの身長に水色の長い髪を後ろで一つに結わえた髪型で人を馬鹿にしたようなブルーの一重の目も、魔法が得意なことを鼻にかけ私を召し使いかなにかと勘違いしているドS系イケメンのロキシス様も、タベアラ伯爵家の長男でこれまた170㎝ぐらいだと思う身長にピンク色の髪の毛を短く逆立てたような髪型で自信家だと直ぐに解るような赤いパッチリ二重の目をもつ、剣の腕が立ち騎士団からすでに入団を約束されてはいるが脳筋で俺様イケメンのドライアズ様も、大嫌いなのだから!元の表現ではおかしいのと、くどいと思いました。

 顔が良いからと言って好きになれるわけではありません。

 こんなこと口が裂けても二人の前では言えないが、生理的に受け付けない人種の代表のような二人のどちらかとなんて、死んだ。

 私の人生は終わりを告げた!!


「グリシーヌ嬢落ち着いて!」


 レヒストロ伯爵様が慌てたように私の肩を優しく掴みます。

 

「どうか、どうか私が修道女になることをお許し下さい」


 私がすがり付くようにレヒストロ伯爵様に言った言葉は部屋にいた全ての人の言葉を奪い、私のすすり泣く声だけが嫌にハッキリと聞こえたと後々お父様から聞かされました。

 

「グリシーヌ、二人の何処がそんなに嫌なんだ?」


 お父様が私を落ち着かせるような口調でした。


「全てですわ」


 私はハッキリと即答です。


「当主様方はお二人とも大好きですわ! ですが、ご子息は……」

「グリシーヌ嬢! 時間をくれないだろうか?」


 そう言ったのはタベアラ伯爵様でした。


「我らの息子とグリシーヌ嬢は三年間学園に通う予定だろ?ならば、その三年間の間に息子達のどちらかでも、違う誰かであっても良いから婚約者を決めると言うのはどうだろうか?」

 タベアラ伯爵の言葉に、時間などあってもこの気持ちは変わらないと思いましたが、目の前のタベアラ伯爵様は必死に妥協案を考えてくださったのだと私は温かな気持ちになりながら言いました。


「三年間で私の気持ちが変わらなければ修道女になっても構わないのであれば」


 お父様と伯爵様方は顔色がすぐれない様子でしたが納得したのか頷いてくださったのでした。

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