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レインの音楽会  作者: 倉井 陽流
さあ、音楽会!
6/8

5 「アライグマとクマのクマクマコンビで大合奏」

「次はシンとナイトの大合奏です!では、どうぞ~」


アンダーの声でがっかりしていた、クリとイーがびっくりしました。


(シンとナイト?そんな危ないよ・・なんでそんなコンビ?)


「・・・・どうしたの?」


急におろおろし始めたクリとイーを見て、レインが言いました。


「だって・・・・シンとナイトだよ?」とイー。


「シンが暴れたら、どうなるの?この音楽会」とクリ。


(そうだった!!)


シンはドングリ池の近くに住んでいる暴れん坊なアライグマです。前、喜んでこの逆さの虹の森に迷い込んできたニンゲンのアオイにけがをさせました。


そして、そのコンビのもう一人、ナイトは、怖がりなクマです。イーがいたずらを仕掛けただけでもすごく

怖がるほどなのです。


ただ、やっぱりレインはそれでも、あの二匹を見る気が出ませんでした。


「・・・・イーと、クリであの二匹見てて。あっ、あとキュウも丸太広場にいさせて。だって」


「キュウはけがをなおす力があるからねえ」


レインが言おうとしたことをイーが先に言ってしまいました。レインは「そう、そう言いたかったの」と付け加えました。


キュウは食いしん坊なヘビですが、なぜだかキュウがかみついたものはすっかり直ってしまう・・・・という不思議な力を持っていました。なんでキュウにはそんな力があるのか、妖精でも、キュウでも分かりませんが。


「でも、大丈夫かい?今日、なんかキュウイライラしてるみたいだけど」と心配そうにクリがイーに言いました。


「そおんなの、きっとお腹すいてるからだよ。だって逆さの虹の森音楽会では毎年のように食べ物があったんだもん」とイー。



毎年、逆さの虹の森音楽会では「出てくれてありがとう!」とたくさん、木の実が用意されています。それは音楽会に参加したみんなのためのものです。


しかし、その木の実はぜ~~~んぶキュウに食べられてしまいます。それでも誰も「ダメ」と言われませんでした。


ただ、今年は逆さの虹の森音楽会は、レインが開いたので急にはたくさん木の実を取ってくることはできませんでした。というよりも、木の実のことを忘れていました。


                    ♪♬♪♬♪♬♪


「♪プルルう・・プルプルプルルルルう・・・トゥルルプルル♪」


丸太広場では、大合奏が始まったようです。


「あっ、もう始まったんだ・・・・・う~ん・・・キュウにドングリあげようかなあ」とイー。


そう言いながら、ドングリ池になぜだか手を入れました。


「な、何してるんだいっ!!イー!」


なんだか嫌な予感がしてクリがイーに心配しました。


「なんだいって・・・・キュウにドングリあげるんだよ、ここたくさんドングリあるから」とイー。


「なんだって?!ダメじゃないか!みんなの願いを取る気なのかい?!」とクリ。


「ちょっとぐらいいいじゃない、それに『願い』だなんて大げさだよお」とイー。


イーに怒っているクリと、「大丈夫」と言っているイー。なんだか、少しドングリ池でもめ始めました。

レインはというと、まったくそれを聞いていなくて、ぼんやりとドングリ池を見ていました。


「♪パララララァプルルル・・・・・トゥルルルプルルゥルゥルゥ・・・・♪」


ドングリでできた、「ハーモニカ」の優しい音色が丸太広場では聞こえます。

どうやら、二匹は上手くできたようです。

               

                   ☆★☆★


「あっ!!?」


「「え?」」


レインの声で、二匹の声はまた重なりました。


「これ、アオイよ!」


「「えっ?!」」


またまた二匹の声が重なりました。

レインはドングリ池の水を指さしています。


(まさか、ドングリ池にアオイが見えるってこと?)


(そんな、ウソでしょ?!)


クリとイーは、レインの指さしている方に見ました。


「本当だ!!」「なんで?」


本当に池にはあの、つい一ヵ月前ぐらいにこの逆さの虹の森に迷い込んできたニンゲンのアオイが移っています!!顔しか見えませんが、やっぱりそれはアオイでした。


「「「アオイ!!」」」


三匹はアオイの名前を呼びました。でも、アオイはなんにも返事しませんでした。


(な、なんで?これは、アオイなのに!)


すると、なぜだかアオイの顔が揺れました。


(えっ?)


どんどん丸いものがアオイの顔を揺れさせます。それはドングリよりももっと丸くて、かたそうなものでした。そしてそれは「ポチャン」と音を立てて、沈んでいきます。


(誰が投げているの?)


レインが気になって、空を飛んだときはもう、アオイの顔は池に移っていませんでした。


「♪トゥルル、パラパララララ・・・・プルルルラララ、トゥ・・・♪」



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