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レインの音楽会  作者: 倉井 陽流
さあ、音楽会!
3/8

2 「カメレオンとレッサーパンダのカラフルポップス」

そのアヒル達はくちばしを「クワクワ」言って、足を使い、ドンドンと音を鳴らしていました。


大きなアヒルはお母さんのペリー。そして、小さな二匹のアヒルは、双子のダブとルスでした。お客さんはレインが音楽会をやる、と言われて最初はポカンとしていましたが、

だんだんアヒルの家族の歌とダンスに手拍子をして、もうその最後にはいつもの「逆さの虹の森音楽会」の笑顔ができていました。


「それでは次は、レザーとシャンのカラフルポップスです!」


レインは持っていた紙をアンダーに渡しました。いつもここで、紹介をするのはアンダーですから。

すると、緑色のカメレオン、レザーと、レッサーパンダのシャンが出てきました。

二人はいつも親友です。


「あれ?シンは出ないの?レッサーパンダでしょ?」


「俺はアライグマ!クマだよ、クマ!」


イーの言葉にシンはしっかりと直しました。

レッサーパンダのシャンはアライグマのシンとよく似ています。赤い毛を持っているし、名前も似ています。


しかし、イーはアライグマとレッサーパンダがどう違うのかよく分かっていません。


そして、レザーはピカピカと光る黄色のチューブみたいなものを出しました。

しかし、吹くところからはチュ-ブのように細くなっていますが、そこからはなして見ていくと、だんだん太くなり、花が咲いたような形をしています。ニンゲン界では「トランペット」というものです。


ただし、動物たちはそんなニンゲンの道具なんか全く知らないわけですから、「おお~」とザワザワさせました。

そのころ、レインはアンダーに訊きました。


「アンダー、なんで今年は逆さの虹の森音楽会、やらなかったのかしら?なにか逆さの虹の森音楽会について知ってる?」


「いいえ、なにも・・・いつも誰がやってるのか分からないんだよね・・・でも・・・!」


「でも?」


「もしかしたら、他のドングリ池の妖精なら知っているかも!」


アンダーはドングリ池へともぐりこみました。


「あっ、ちょっと!」


(ドングリ池の妖精?アンダーだけじゃないの?・・・・ドングリ池の妖精ってどんなものなのかしら?

アンダーみたいに全身青とか、赤とかいるのかな?)


レインは自分があまり水の中で息ができないことを忘れて、水の中に顔を突っ込みました。

細いあしで水の中に入らないようにするのはレインにとって難しいものでした。

そんなことは知らずに、逆さの虹の森音楽会の二番、「レザーとシャンのカラフルポップス」が始まっています。切り株の動物たちはじっくりと聞き始めました。


「♪これはこれは 逆さの虹の森のお話だ

 逆さの虹の森には 逆さの虹 いっつもいっつもかかっているよ♪」


レザーはシャンが歌っているリズムに合わせて色を赤、青、緑、黄色と変えていきました。


そして、「トランペット」を吹くのです・・・。


「♪その中の一つ 怖さ森は とってもとっても怖い森

 いっつもいっつも暗くて 夜だ

 だけどだけど 楽しいことを考えりゃ とってもとっても楽しいよ

 夜が夜が 昼色になるよ

 愉快な愉快な 仲間達 さあさおいでよ 怖さの森

 怖い怖い森を 楽しくして♪」



レインはそんな歌を聞けませんでした。急に水で息をするのが苦しいことを思い出したのです。


(・・・・あれ?)


ドングリ池は実はとても深い池でした。そしてその下にはその水の色に隠れているかのようになにか妖精がいます。


「みんな、きいて」


アンダーの声は水の中に入るととても聞きにくい声でした。


(く、苦しい!!)


レインはもっと聞きたいと思いましたが、すこし水から顔を出して、口の中の水をとることにしました。


「ぷっー!」


そして、また水に顔をつけました。


(あれ?)


いつの間にか水の色に隠れている妖精がいなくなり、かわりにアンダーのように黄色にピカリと輝く妖精たちがいました。これはどういうことなのでしょう?


その妖精たちはなにか「ほにゃほにゃ」としゃべり、アンダーはそれを訊くと、「ああ、・・・・ありがと」と言って、ドングリ池から上がってきました。


レインも水から顔を上げます。


「どうだった?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・分からないって・・・・」


「え?」


(なにか知ってるはず!だって、逆さの虹の森音楽会はこの隣の丸太広場で開かれるんだから・・)


レインはそれだけではあきらめられませんでした。


「だれがやってるとかは?」


「知らない」


「なんで逆さの虹の森音楽会はできたのかとか」


「知らない」


「いつから逆さの虹の森音楽会はできたとか」


「知らない」


「・・・・・・・なんで今年はやらなかった・・・とか」


「・・・・知らない」


アンダーはレインの質問に「知らない」と答えていきます。レインは「・・・え?」とがっかりしました。


(じゃあ、これからはあたしが逆さの虹の森音楽会を開かなきゃいけないってこと?)


「どうすればいいの・・・・?まだなにか手がかりはないのかな・・・?」


すると、アンダーが言いました・・・。


「でもこの逆さの虹の森の妖精はドングリ池だけじゃないからね、根っこ広場、虹の妖精って・・・・」


(えっ?!そうなの?)


てっきりレインは妖精はドングリ池だけだと思っていたのです。逆さの虹の森の動物にも分からないことは

この森にはあったのです。


「じゃあ、その妖精たちにも、訊いてくれない?アンダー」


しかし、アンダーは「う~ん・・・」とすぐには答えませんでした。


「私は、司会者だから、この音楽会の紹介をしないと。・・・・じゃあ、ドングリ池の妖精たちに訊くように言ってみるよ」


「あ、ありがとう・・・・!」


(もしかしたら、なにか手がかりが見つかるかも!・・・逆さの虹の森音楽会のなぞも解けるわ・・!)


レインは丸太広場に座る動物たちの拍手をきいて、ワクワクしていました・・・。

 

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