君が好きです
作者としては珍しい感じのラブコメかも?
深く考えないことをオススメします。
ではどうぞ(  ̄ー ̄)ノ
校舎裏に呼び出されて、イケメンさんに壁ドンで口説かれる・・・なんて、素敵な展開がこの世に存在すると思いますか?
「なぁ・・・俺と付き合えよ」
私、夢路夏蓮は現在、そんな素敵なシチュエーションに遭遇しているわけですが・・・現実に起こると、ドキドキよりも戸惑いが大きかったりします。
目の前で私に壁ドンしているのは3年生のイケメン生徒会長様こと、竜胆翔先輩。
サラサラの金髪が眩しいイケメンさんです。
私みたいな地味な黒髪少女とは住む世界が違う人です。
「あの・・・先輩?誰かと間違えたりは・・・」
「なわけねぇだろ。お前に言ってるんだよ夏蓮」
はわぁー男の子に初めてファーストネーム呼びされました。
いえ、昔は呼ばれたこともあった気はしますが・・・中学に入学してから初めてです。
しかし・・・益々わかりません。
「あの・・・先輩?夏蓮は夏蓮でも別の夏蓮をお求めでは・・・」
「くどいぞ。俺が求めてんのはお前だよ」
そこでくいっと顎を持ち上げられました・・・はわわ!凄いです!現実に顎くいがあったのですね!
そんな私の内心など知ったことかと、先輩は不適にニヤリと笑って言いました。
「覚悟しろよ・・・今日からお前は俺のもんだからな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「それで・・・生徒会長様に告白されたの?」
「なのですー」
私の説明に友達の佳子ちゃんは飽きれ顔です。おや?どうかしたのでしょうか?
「あのさ・・・そんな強引な男にあんた口説かれてまともな生活送れると思ってるの?生徒会長様って凄い人気だから・・・」
はわ!今気づきました。流石佳子ちゃんです。
「そうですね・・・私と付き合って、先輩の株が下がるのは良くないですね」
「いや、そうじゃなくて・・・あんたの気にするとこそこなの?」
そうは言われましても・・・私みたいな地味な黒髪女がイケメン様と肩を並べるなんておこがましいです。みなさんから恨まれてしまいますし、先輩の女を見る目がないとかなり株が下がります。
それは先輩の沽券に関わりますし、やっぱり今からでも先輩を説得しなくては!
そんなことを考えていたら何やら教室の入り口が騒がしくなっていました。はて?
「おい、ここに夏蓮はいるか?」
「あ、先輩」
噂をすれば影とは良く言ったものです。先輩の登場です。
先輩は私のことを見つけると真っ直ぐにこちらに向かって歩いてきました。
「おい夏蓮。昼を一緒に食うぞ」
はわ!この逆らうことを許さない的な態度・・・格好良いです!流石先輩です!
でも、私もガツンと言わないといけません。
「先輩。やっぱり先輩の評判のためには他の人を選んだ方がいいと思います」
「ふん!俺の評判なんてどうでもいい。俺はお前が欲しいんだよ」
「先輩はイケメンさんなのですから体裁は必要だと思います」
「好きな奴を前に飾るかよ。俺は素の俺でお前を貰うことに決めてんだよ」
ニヤリと不適に笑う先輩・・・はわ!格好良いです!
そんな先輩の発言に周りはざわつきます。
聞こえてくる声を聞けば、「そんな・・・!」とか、「あんな地味な子が・・・」とか、そんなのばかりです。
やっぱり先輩は人気者なんですね!
「いいから行くぞ」
「待ちなさいよ」
先輩は私の手を牽いて連れ出そうとしますが・・・そこで待ったをかけたのは友達の佳子ちゃんです。
「お前は?」
「夏蓮の親友の町田佳子よ。単刀直入に聞くけど・・・生徒会長様はなんで夏蓮に告白したの?」
「お前に関係あるのか?」
「親友の心配は必要だと思いますが?」
何やらにらみ会う先輩と佳子ちゃん。いけません!
ここは私がガツンと言って止めなくては!
「お二人とも折角の美形なのに、そんな顔をしかめてはいけませんよ?」
皺は歳を重ねるごとに増えていくんです!今から増やしては折角の美形なのに勿体ないです!あ、でも先輩はそれでも格好良いでしょうからそれはそれで見てみたいです。
佳子ちゃんもかなりの美少女さんなので、老後でも若さを保てそうで羨ましいです。
私の発言に二人はポカンとしていましたが・・・やがて苦笑気味に答えました。
「俺は・・・こういう奴だから夏蓮を好きなったんだよ」
「そうですか・・・夏蓮を守れるなら文句は言いませんよ」
「それはこちらの台詞だ。俺がいないときの虫除けと・・・害虫の駆除を任せてもいいか?」
「元よりそれが私の仕事です」
何やら二人は話し合ってから握手をしました。
仲良しになって良かったです。何の話なのかさっぱりわかりませんが。
◆◆◆◆◆◆◆◆
佳子ちゃんと先輩が仲良くなってから私は生徒会室に連れていかれました。
先輩はやっぱり歩いていてもイケメンさんなので周りからの視線が凄いです。流石先輩です!
あ、ちなみに、私達の中学校は給食がないので、お弁当が必要なのです。私は毎日自前で作ってきてます。親に頼るのは申し訳ないのです。
「夏蓮は弁当か?」
私の手元を覗きこんで先輩は聞いてきました。
「先輩は・・・惣菜パンですか?」
「ああ、自分で作れなくてな」
「そうなのですか?」
意外です。先輩はイケメンさんなので、料理とか他のスペックも高いと思っていたのですが・・・あ、でも、イケメンさんだから逆に欠点があった方が萌えますかね?
「あぁ・・・そうだ今度俺に弁当作ってこいよ。食ってやるから」
「本当ですか?」
はわー人にお弁当作るなんて初めてでドキドキですー。
あ、でも・・・
「先輩苦手なものとかは・・・」
「ん?トマトなければ大丈夫だ」
「はわ?トマト苦手なのですか?」
「・・・悪いかよ?」
少しふてくされたような表情の先輩・・・きゅんとします!
「そんなことないです。トマト嫌いな人も結構いますよ。ケチャップとかは?」
「加工してあれば問題ない。生の酸味と食感が苦手なだけだ」
ふむふむ・・・では、ケチャップは使えますね。
ミニトマトが使えないのは痛いですが・・・まあ、この時期は少し高いので大丈夫です。
先輩に作るなら夕食の使い回しは出来ませんね。
豪華な料理・・・は作れませんけど、ある程度気合いをいれてやる必要がありますね。
「金は払うから心配するな」
「はわ?別にお金はいいですよ?一人ぶんなら変わりませんし」
「そうか?いや・・・やっぱり受け取ってくれ」
先輩は「ヒモみたいなのはごめんだからな・・・」と呟きましたが・・・ヒモ?ロープでしょうか?なんでいきなりロープのお話になったのでしょうか?はわー先輩はやっぱり私なんかとは思考形態が根本から違うのですねー。流石です!
この日から私は毎日先輩にお弁当を作るようになりました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ちょっと!夢路夏蓮ってあんたのこと?」
帰り道・・・私は何やら上級生に呼び止められました。
はわーやっぱり上級生は大人な感じです!スタイルも同じ中学生なのに私より出るとこ出てて、腰とか凄く細いです。おまけに可愛いです!
「そうですが・・・」
「こんなのが竜胆くんの趣味なの?地味でダサいこと・・・」
はわ!言われてしまいました・・・確かに先輩が選んだにしては地味でダサいですね私。反省しなくては。
「まあ、いいわ用件は一つ・・・竜胆くんと別れなさい」
「あんたみたいなのが竜胆くんと付き合うなんておこがましいのよ!」
「調子に乗るんじゃないわよ!」
はわわーやっぱり先輩は人気者なのですね。
口々に出てくる私への文句です。やっぱり私なんかでは釣り合いませんよね。
あれ?そういえば、皆さん多分・・・
「先輩のこと好きなのですか?」
私のその言葉にピシャリと止まる先輩方。はわ?違うのでしょうか?何やら皆で意味深な視線をしています。大人ですね。
「だったら何よ?」
「え?やっぱりあんた竜胆くんのこと・・・」
「ちょっ!あんたも!?」
「はわー?皆さん先輩のこと好きなのですか?」
これは凄いことになりました。先輩ハーレム好きならいいですが・・・残念ながら現代日本は一夫一妻制度なので誰か一人しか選ばれません。現代日本は男の子と女の子は互いに一人としか結婚できないのです。愛人など大人な関係もあるそうですが・・・先輩はそんな不誠実なことはしないと思うのでやっぱり一人しか選ばれません。困りました。
「あ、あんたに関係あるの!」
「いえ・・・皆さん先輩が好きだから私に文句を言いたいのですよね?私みたいな地味な子が先輩にはふさわしくなくて・・・皆さんみたいな大人な女性が相応しいと言いに来たんですよね?」
「だ、だったら何よ!」
困りました・・・先輩はイケメンさんだからやっぱり色んな人にモテるのですね。やっぱり私みたいな地味な子が側にいるのは先輩の迷惑に・・・
「おいおい、それはこっちの台詞だ。俺のもんになにしてんだよ?」
唐突に降ってきたその言葉は・・・私の体をその逞しい腕にかこうと不適に笑って言いました。
「それで・・・俺の彼女にいちゃもんつけるのはどこの誰だ?」
先輩がいつのまにかそこにいました。
◆◆◆◆◆◆◆◆
俺、竜胆翔は昔からわりとなんでも出来た。
運動も勉強も・・・まあ、文字通りやればなんでも出来た。
スポーツなら一度やれば完全にマスターできるし、勉強なら、教科書を丸々暗記することも造作ないレベル。
容姿もいいからそこそこ女にもモテる・・・まあ、恵まれてはいたのだろう。
普通はそれが羨ましく思えるかもしれないが・・・俺にはまったく嬉しくなかった。
才能?なんでもやれば出きるってことは何も楽しくないのと同じだろ?
容姿がいい?外見に騙されて寄ってくる人間だらけで大変なだけだろ?
贅沢な悩みだろうが・・・俺は俺を見てくれる人間に会いたかった。
竜胆翔個人をしっかりと見てる奴に・・・
しかし、いくら願おうがそれが果たされることはなく、あっという間に中学3生生になり・・・そして、夢路夏蓮に出会った。
最初は校舎裏でのことだ・・・鬱陶しい連中を撒いて落ち着ける場所を探していると何やら校舎裏の花壇の前で一人花を植える女子生徒がいた。
日当たりもあまり良くないそこは、テキトーに植えても誰にも文句は言われないであろうに、一生懸命一人で植える女子生徒に興味を抱き見守っていると、何やら何人かの女子生徒がきて、その花壇の前でさらに苗を増やすと嘲笑うかのように去っていた。
・・・多分だけど、押し付けたのだろう。仕事を。
明らかにそうとしか思えなかったが、女子生徒は一人で一生懸命苗を植える姿を見て、我慢出来なくなり俺は袖をまくると近くまで行って言った。
「手伝うか?」
すると女子生徒はこちらを振り返り・・・驚いた表情を浮かべた。
・・・・こいつもやっぱり俺の外見で判断するのか?
俺が少し勝手に失望していると女子生徒は・・・しかし、予想外の言葉を口にした。
「だ、ダメです!そんな綺麗な腕を泥まみれにする訳にはいきません!」
・・・・意味がわからなかった。
綺麗な腕を泥まみれにする訳にはいきません?それって、俺のことを気遣ってのことか?こんな大量の苗が残ってる上に手伝いを申し出てきた見知らぬ相手への一言がまずそれか?
いや・・・俺は生徒会長として結構有名だから、見知らぬ相手ではないな。でも、普通の女子なら照れながらお願いするとかしそうなのにこいつは・・・
「それにこれは私の仕事です!他の人の手を煩わせるわけには行きません!」
表情を見れば真剣なのはわかる。
何気に、これまでの人生で嘘を言ってる人間を見分けることには自信のある俺の勘が・・・こいつはマジで言ってると告げていた。
実際、そう言うと女子生徒はこちらに背を向けて作業を再開した。
・・・・真面目すぎるだろ。いや、俺が言うのもなんだが・・・最近の女子中学生でこんなに真面目な奴いるか?
与えられた仕事すらまともに出来んやつが増えてるのにこいつは・・・仕事を押し付けられても文句も言わずに一人で一生懸命に作業を続けて、あまつさえ、手伝いを断る理由ですら他人のことを考えている・・・どこまでも素直で真っ直ぐに見えるその姿は魅力的だった。
だから・・・
俺はゆっくりと隣に並ぶとなにかを言おうとする前の女子生徒に無理矢理気味に告げた。
「俺はここの生徒会長だ。生徒の手伝いをするのに問題はないだろ?」
「で、でも手が汚れますよ?」
「気にするな。ほれ、いいから作業を続けろ」
無理矢理気味にそう言うと女子生徒はなにかを考えてから・・・控えめに微笑んで言った。
「よろしくお願いします先輩」
・・・・・・多分、その笑顔に俺は・・・一目惚れしたのだろう。
その一生懸命な姿に、その純粋な姿に、その控えめだが・・・・大輪の花が咲いたような微笑みに俺は・・・恋をしたのだろう。
だから俺は決めた・・・・こいつを絶対に俺のものにしようと。
絶対にこいつを俺の手で守ろうとーーー。
◆◆◆◆◆◆◆
「それで・・・俺の女を苛めるのはどいつだ?」
先輩のその台詞に皆さんは硬直してしまいます。
い、いけません。誤解を解かなければ!
「せ、先輩!違うんです!皆さんは先輩が好きだから・・・」
「ちょっ!あんた何を言って・・・」
「夏蓮・・・とりあえず落ち着け」
何やら止められましたが・・・ダメです!
「誤解をしないでください先輩!皆さんは先輩が好きだから私に注意をしに来たんだけで・・・」
「夏蓮・・・黙らないと俺の口でお前の口を塞ぐぞ?」
「・・・・・・」
すみません皆さん・・・いくら私でも、人前でちゅーすると言われて黙らないわけにはいきません。
ちゅ、ちゅーなんて生まれてからお母さん以外にされたことありませんので、こんな人前でされるのは無理なのです!
「で?お前らなんなの?俺の女を苛める理由は?」
「わ、私たちは竜胆くんのためを思って・・・」
「あのさ・・・俺のためならわかるでしょ?いくら夏蓮が邪魔だろうとこんな多人数で囲って責めるような真似はいじめと変わんないよ?そんな性根の腐ったやつ誰が好きになるの?俺を好きだって言うなら正々堂々正面から口説きに来いよ」
「・・・・・・・」
先輩のその言葉に皆さんは黙りこんでしまいました。
でも私は・・・
「先輩。先輩を好きな人に対してそんな言葉はダメです」
「夏蓮?」
「これは女同士の話です・・・先輩が好きな人同士の大切なお話なんです。だから、先輩はそこで見ていてください」
「・・・・なあ、もう一度言ってくれよ」
「はわ?ですから先輩はそこで見ていてと・・・」
「いや、その前の・・・最初から言ってくれよ」
意味がわかりませんが・・・先輩のご要望なら答えなければなりません。
「えっと・・・『これは女同士の話です。先輩を好きな人同士の大切なお話なので先輩はそこで見ていてください』・・・・これでいいですか?」
「あぁ・・・お前俺のこと好きなのか?」
今更な質問をされてしまいました。
「当然ですよ」
「いつから?」
いつ・・・と聞かれると困りますが、多分最初は・・・
「花壇の苗を植えるのを手伝ってくれた時でしょうか?」
先輩と一番始めにお話したのは入学してすぐのこと・・・何やら皆さん花壇の苗を植えるのに都合が悪いと言って去ってしまい一人で作業をしていると、先輩が手伝ってくれました。
最初は断ったのですが・・・優しい先輩は気にするなと手伝ってくれました。綺麗な腕が汚れることもいとわずに作業をしてくれるその姿に・・・その優しさに私は釣り合わないと分かっていても片想いをしてしまいました。
その後で何回も先輩に会うと募っていく思いを、なんとか我慢してここまで来ましたが・・・そんな中で先輩から告白されたので本当は困惑どころか凄く嬉しかったです。
でも、私みたいな地味なのが先輩の側にいて本当にいいのかわからないで、黙ってはいましたが・・・
「そうか・・・そうなのか」
何やら嬉しそうに微笑んだ先輩。何故でしょう?
「何かあったらすぐ助ける・・・しばらく黙っててやるから話をつけてこいよ」
「わかりました。ありがとうございます先輩」
私の面倒な我儘に付き合ってくれる優しい先輩を背にして私は唖然としている皆さんに頭を下げます。
「私みたいなのが先輩の側にいるのは不快かもしれませんが・・・私も先輩が好きなのです。だから・・・せめて先輩が飽きるまでは側にいさせてください」
「・・・・何なのよあんた!意味わからない!」
「はい」
「あんたみたいなのが側にいたら竜胆くんの株が下がるってわからないの!」
「それでも・・・先輩が側にいろと言えばいます」
しばらく何かを言いたげにしていた皆さんですが・・・ふんと鼻を鳴らしてから背を向けて言った。
「あんたなんてさっさと振られればいいんだ!せいぜい今のうちに楽しんでおきなさいよ!」
その言葉と共に消えていく皆さん・・・すみません。ですが、私は先輩のことが好きなのです。
図々しいかもしれませんが・・・お側にいてもいいと言うなら先輩がいらないと言うまでは側にいたいのです。
遠ざかる背中に頭を下げてから私は先輩に視線を向けます。
大切なことを・・・私から言わなくてはいけないので。
「先輩・・・好きです」
◆◆◆◆◆◆◆
「先輩・・・好きです」
連中が去ってから・・・夏蓮に告白された。
さっき、話した時に夏蓮も・・・俺と同じ時に好きになったと聞いて舞い上がっていた心はその告白でさらに上がる。
夏蓮の表情は・・・どこか悲しげだが。
「私・・・・先輩が好きなのです。大好きなんです。釣り合わないと分かっていても、片想いだと分かっていても、それでも・・・先輩が側にいろと言えばいます。そんな私を許してくれますか?」
いつもの朗らかさとは違うどこか憂いを帯びたその表情に・・・俺はなんと返せばいいか迷ってから・・・夏蓮を抱き締めた。
「せ、先輩!?」
「・・・許さねえよ」
驚いたような夏蓮に構わず俺は思いの丈を告げる。
「俺は絶対にお前を逃がさねぇ・・・お前が嫌だと言っても、勘違いしようとも、俺はお前を側から離す気はない」
片想い?ふざけんな。俺らは・・・
「好きな奴に勘違いされるのは嫌だからハッキリと言うぞ。俺はお前が大好きだ!愛してる!お前以外を好きになることは絶対にない!」
「・・・・本当ですか?」
「本当だ!」
「・・・信じていいんですか?私は結構重い女ですよ」
「俺の思いを受け止められるかむしろ心配だな。それに・・・信じろ。言っとくが、俺のものになったらお前は絶対に浮気なんてさせないし、別れることも許さねえよ。孫の代まで側にいて、一緒に墓に入るまで側にいさせるぞ?」
「・・・面倒な女かもしれませんよ?」
「それこそ上等だ。俺はお前を大好きだからな・・・何があってもそれは変わらない」
「・・・本当の本当に信じていいんですか?」
「本当の本当に信じろ。むしろ俺以外の男を見るな」
「・・・独占欲強いですね」
「お前もそれぐらいのことは言っていいんだぞ?なんなら『私以外の女の子と話すな』くらいは言えよ」
「ダメですよ・・・本気になっちゃいます・・・」
「本気にしろ。今一度言うぞ、夢路夏蓮。俺はお前が好きだ。大好きだ俺と付き合って・・・・一生俺のものになれ!」
俺のその自分勝手な台詞に・・・夏蓮は俯いてから涙を目の端にうっすらと浮かべながら・・・・笑顔を浮かべた。
「はい・・・・こんな私でよければ」
「お前がいいんだよ・・・いや、お前以外は認めねーよ」
「先輩・・・」
「夏蓮・・・」
互いにもはや言葉はいらなかった。
夕日が二人を祝福するように輝いていて・・・互いの呼吸と、近くの体温だけが何よりも尊いと思える今日、この日・・・俺と夏蓮は本当の意味で恋人同士になった。
片想いだと思っていた思いは両思いへと変化して・・・形を代えてより良い方向へと加速していく。
運命・・・なんて、ありきたりな言葉を使うとチープに聞こえるかもしれないが・・・多分、あの花壇の日に出会った時からこうなることは運命だったのだろうと思える。
必然か偶然かなんてどうでもよくて・・・ただ、お互いにそこにいることだけで充分だった。
これから先、大変なことは色々あるだろう。
それでも俺は・・・いや、俺たちは互いに寄り添って前へと歩んで行けるだろう。
そして互いにこう言うだろう。
ーーー君が好きですーーーと。