キミを待つその日まで...6
ー土曜日の朝ー
今日は、麗奈と一緒に水着を買いに行く日だ。
「___。」
と燐は、まだ眠っていた。
すると...
ドタドタドタ__!!
ガラッ__!!
「稲荷様ー!!朝ですよー!!水着ですよー!!」
と麗奈が元気よく燐の部屋に走ってきてはドアを勢いよく開け燐を起こす。
「んー___。」
と私は寝返りを打った。
それに対し、麗奈はムスッとした顔をして燐を無理やりに起こす。
「いーなーりさぁまー!!起きてくださいよー、今日海に着ていく水着を買いに行く約束したじゃないですかー!!稲荷様ってばー!」
と燐を揺らしながら起こす。
「ぅう....麗奈うるさいよ...。」
と私は不機嫌そうに起き上がる。
「起きればいいんでしょ....はぁ...」
「そうですそうです。しっかりしてくださいよ!」
「ほら顔洗って着替えてきてください!」
と私の背中を押しながら洗面所に連れていく麗奈。
ー数分後ー
「稲荷様ー?準備できましたか?」
と私が玄関に向かうと麗奈が待機していた。
「うん....麗奈その服どうしたの...?」
と私は麗奈の格好を見てびっくりする。
(最近街に人間として出かけているのは知っていたけど、こんなにかわいい服は初めて見た。)
麗奈の格好は、フリルのワンピースに白いカーディガン、ちょっと高めの可愛いヒールといった服装をしていた。
「あ、この服ですか?この間お店で試着したら気に入ったので買っちゃいました♪」
と笑顔で答える麗奈。
「そう...え、でもその服のお金どうしたの...?」
ともっと疑問に思ってしまった。
燐の家では、食事代ぐらいの分しかあまりなかった気がした。
すると....
「えっとですね...自分で貯めたんです。"バイト"というものをやっていました」
「だめ...でしたか...?」
と麗奈は恐る恐る答える。
(バイトね....)
燐の家では、約束みたいなものがある。
それは、燐のそばにいる妖怪たちが燐を裏切らず守ることだ。
あの時、燐を殺そうとした妖怪たちは元々燐との約束でいた者たちだった。
だけど....その妖怪たちが裏切り殺害しようと約束を破ると燐の呪いは悪化する。
今の人間が使う言葉で言えば妖怪が使い魔として人間と"契約"をすると意味にもなるらしい...。
燐と使い魔としている証に妖怪たちは、人間の姿になったときにわかる左手の甲に模様のようなものが刻まれている。
でも裏切りの心を持ってしまうとその契約の模様は消え、燐の呪いの痣も悪化する....。
「別にいいよ...まだちゃんと麗奈には"模様"が残ってるしね...」
「麗奈は、稲荷様を絶対に裏切りません!バイト続けても...いいですか..?」
「うん...いいよ。麗奈の好きなもの買ったりするのに必要になるでしょ?頑張って...」
と私は麗奈の頭をポンポンと撫でる。
「は...はい!麗奈頑張ります!」
「さぁ、稲荷様ー!水着を買いに街へ出かけますよー!!」
と笑顔元気いっぱいになった麗奈は、私の手を引っ張って歩き出した。
ー夕凪デパートにてー
燐の住んでいる街の名称は"夕凪の街"と言われている。
そこにあるデパートは、一店舗しかなくデパートの名前も「夕凪デパート」である。
ここの夕凪デパートは街の中でも一番大きくお店も豊富だ。
「稲荷様ー!ここですよ!」
と麗奈はお店の前に立ち「早く入りましょ!」と私の手を引っ張ってお店の中に入る。
「「いらっしゃいませー」」と店員が挨拶の声掛けをする。
「さぁ、稲荷様!選びますよ!」
とずらっと並んでいる水着コーナーでお互い見始める。
(どれも露出ちょっと多いな...)と私は水着を手にとっては戻したりで考える。
「麗奈...どれも露出多いんだけど...。」
と不安気に言うと麗奈は、
「稲荷様の髪の長さ...色...決まりました!」
「ねぇ...聞いてる...?」
と言葉が通じていなかったのかと思い聞き返す。
「稲荷様!こういうのは意外とコーディネートしやすいものが豊富なんです!」
「私に任せてください♪水にぬれても大丈夫なものがかなりあるので!」
「とりあえず、これ着てみてください!」
と言い、麗奈は私に水着を何着か渡してきた。
「......わかった」
と私は答えて更衣室に入った。
ー数分後ー
シャッ__
「麗奈....」
と私は着替え終わりカーテンを開け麗奈に確認してもらう。
「ん...?おぉ!稲荷様とてもお似合いです♪」
麗奈に渡された水着の中で一番良いと思ったものを試着したがやはり露出が少々あるかなと思った。
ビキニでも下は、スカーフのような布を飾り、上は水に濡れてもいい可愛いパーカーを組み合わせた水着ファッションだ。
ビキニの色は、白に金の金具がついた水着にスカーフの色は赤色。
パーカーはスカーフの赤と少し被ってしまうが、上も赤色だがちょっと薄めの赤。
「これ...大丈夫...?」
と私は、不安気に聞くと「大丈夫です!」と麗奈は笑顔でGOODポーズしてきた。
「そう...」
「はい!じゃぁ、これ買ってきますので着替えてください!」
「え、麗奈が買ってくれるの...?私の事なのに...」
「いいんですよ!稲荷様にはどんどんかわいい服着てもらいたいので♪」
と言い着替え終わった後、麗奈は水着を買ってくれた。
「麗奈ありがとうね....せっかく麗奈が好きなものに買えることに使わせちゃって...」
「いえいえ♪私は大丈夫ですので、稲荷様は来週の海楽しんできてください!」
と帰り道で二人は会話して帰宅した。
ー海の日当日ー
「稲荷様、お忘れものないですか...?」
と今日は、カイが見送りの当番をしてくれた。
「うん...大丈夫...」
と言いながら靴を履き荷物を持った。
今日は、制服ではなく私服だった。
燐の格好は、ワンピースにカーディガンの姿だった。
麗奈がお揃いにと買っていたものを今日着ていくことにした。
「あとで麗奈に感想言ってあげてくださいね」
とカイは微笑みながら伝える。
「うん....それじゃ行ってくるから留守番よろしくね...」
「はい。いってらっしゃいませ、稲荷様」
と玄関を出ると同時にカイが見送りの言葉をかけて手を振って見送ってくれた。
「......。」
と私は、学校に向かってゆっくり歩いていた。
すると.....
「りーん!!おはよ!」
と後ろから奈岐が声をかけてきた。
「奈岐君....おはよ...」
といつも通りの無表情で答える燐。
「燐....その服可愛いな...」
と奈岐は、燐の服装を見て照れる。
「ありがと...」
と私は普通にお礼を言う。
「.....一緒に行きましょ...」
と私は奈岐の手を引っ張り歩く。
「え...!?う、うん...」
と奈岐は少し照れながらも燐がつないだ手を強く握り返した。
ー学校校門前にてー
「おーお二人さん、おはよう。」
「奈岐君、稲荷さんおはよー♪」
と睦月と希来里が気付き挨拶してくる。
「お?なんだ手なんか繋いじゃって...」
と睦月は燐と奈岐が手を繋いでいるのに対しニヤニヤしながら問いかけてくる。
「別に...奈岐君遅かったから引っ張ってきただけ...」
と私は手の力を緩めてほどいた。
「そ、そうなんだよ!俺寝坊しちゃってさ!」
と奈岐は、慌てて手を放し頭に手を当て苦笑いした。
「「ふーん...」」と睦月と希来里までニヤニヤしながら二人を見つめた。
「まぁ、とりあえず海だな!」
「そうだね!今回新しい水着買ったんだー♪稲荷さんの水着どんなの?」
「お、燐の水着気になる!」
「着いてからのお楽しみにしてて...期待はあんまりしないで....」
と会話をしていると先生が声をかけ始めた。
「おーい、みんないるかー?今からバスに乗ってもらうぞー」
「なるべくグループでまとまるように席に座れー」
と言い各自バスに乗り始めた。
「じゃ、行きますか」
「はーい♪」
「おう」
と3人に付いて行きバスに乗った。
「今回は、男子は男子で座りましょうかー。ナーギ」
「さんせーい♪稲荷さん、一緒に座ろ!」
「な、ちょっ!?睦月!?」
「はいはい、俺と座ろーな?」
「.....。」
と今回は席を変えて座った。
私と希来里、睦月と奈岐で男女別れた。
そして全員バスに乗った後、先生が声をかけた。
「よーし、じゃぁ出発するぞー」
と先生の合図と同時にバスが出発した。
「......」
「「「スー___。」」」
何故かわからないが、いきなり出発した途端3人は眠ってしまった。
(楽しみにしてて眠れなかったとかあるのかな...)
と思いながらじっとして外の景色を見ていた。
ー数時間後ー
「おーい、お前ら海に着いたぞー。」
「降りた人から、先に水着に着替えてグループで集まったらそのまま海で遊んでくれー。」
「バスに戻る時間は、この間のHRで言った時間までにまたここに来てくれー。以上。」
と先生が報告した後、各自バスから降り始めた。
「....奈岐君、希来里、睦月君起きて...」
と私は、3人に声をかけ起こす。
「うーん...」
「「んー!」」
と3人とも起きたと同時に立ち上がり
「早く行こう!稲荷さん早く!」
「奈岐行くぞー」
「おう!」
と全員バスから降り、それぞれ更衣室に入った。
「るんるん♪」
「.....。」
と私と希来里も水着に着替え始める。
「あ!稲荷さんやっぱりスリムな体形でうらやましいぃ!」
と私も希来里も水着に着替え終わると希来里は私をじっと見てそう言ってきた。
「希来里の水着も可愛いよ....」
「そんなことないよぉ~....稲荷さん美人だからこういう水着似合うようになりたいぃ!」
と話しながら待ち合わせ場所に歩く。
「奈岐ー」
「なんだー睦月よ」
2人は、着替え終わって待ち合わせ場所で待機して会話していた。
「稲荷さんの水着と希来里ちゃんの水着どんなのだろうなー」
「んー俺は、燐が一番気になるかも。希来里はかわいい系になるかもだけど」
「なるほどね、確かに稲荷さんの水着のジャンルあんま予想付かないもんなー」
と会話していると燐と希来里が待ち合わせ場所に着く。
「睦月君、奈岐君、遅れてごめーん!」
「遅れました...」
と私と希来里は声をかけると睦月と奈岐が気付き反応する。
「「!?///」」
「「?」」
と睦月と奈岐は振り向いた瞬間顔を赤めて口を抑えた。
それに対して私と希来里は首を傾げた。
すると....
「稲荷さん...」
「燐...」
「...?何...?」
と睦月と奈岐に名前を呼ばれ応答すると...
「「最高ですわ...」」
と睦月と奈岐はGOODポーズでそういう。
「ありがと...」
「稲荷さんばっかりずるーい!私は!?」
と希来里はぷんぷんと頬を膨らまらせ奈岐と睦月に問うと
「「希来里は普通にかわいい女子だ。うん」」
と答える2人。
「むー!!」
とぽかぽかと希来里は2人に軽く叩きつける。
「みんな....海楽しも..」
と私は声をかけると3人はさっきと変わり
「うん!」
「「おう!!」」
と元気な笑顔に戻った。
そして海に向かって走って飛び込む。
「ひゃー冷たくて気持ちー!」
「うお!?つめてー!」
とわいわいと海に入ってはしゃぐ。
「......。」
私は、ぽちゃんと水につかりじっとする。
「稲荷さん、どーしたの?」
と睦月が気になったのか私に声を掛けてきた。
「睦月君.....ううん、何でもないよ。」
「ただ...ちょっと懐かしなって思っただけ...」
と呟きながら海の水を手ですくいあげ見つめる。
「そっか、今日は、楽しもうね」
と睦月は微笑みながらそう言ってくれた。
ー数時間後ー
「ふぃー....」
「ちょっと疲れたね...」
「お前らはしゃぎすぎw」
と一旦海から出て、休憩する。
「何か、飲み物買ってくる...?」
と私が声を掛けるとそれに反応し睦月が
「あ、そしたら俺も行くよ。」
「「お願いしまーす...」」
と希来里と睦月はだらんと横になったまま買い出しを頼む。
「それじゃ、行こうっか。稲荷さん。」
「うん...」
「じゃぁ、2人ともここからいなくなるなよー」
「「はーいぃ...」」
と最後に声を掛け燐と睦月は買い出しに向かった。
ザッザッ___
「あ、今なら空いてるな。稲荷さんちょっと待ってて」
「うん...」
と睦月は私をお店の近くに残し飲み物を買いに行った。
「......。」
じっと立って待っていると....
「ねぇ、キミー?キミ1人ー?」
「俺らと遊ばね?」
「キミちょー美人さんだねー」
(な、なに...人間が近づいてくる..)
「....なんなんですか、あなたたち...」
「おー?なぁ、見てみろよ!この子胸デケーぜ!?」
「ほんとだ!あれ?あと瞳が赤色だ、珍しいなー」
「肌も白くてほんと人形さんみたいだな!」
「.....あの、他の人の迷惑ですので消えてください...」
と私は、いつもの無表情で答えているように見えるが怒りモードに入っていた。
あの時、羅衣と麗奈が私を怒らせたときにカイやルイには見えていた黒い霧と眼の光方は、普通の人間には見えない。
いつもの無表情の顔しか人間にはわからない。
なので怒っているかもわかんない。
すると....
「稲荷さーん、おまたせー。悪いね、この子俺のだから」
と睦月が帰ってきたと思ったら変なことを言ってきた。
「なんだよ、男連れかよ...」
「かえろーぜ」
「「おう....」」
と男たちは帰っていった。
「....睦月君、さっきの言葉何...?」
「あー、ごめんごめん。稲荷さんナンパされてたみたいだったからわざとああいう風に言ったの。」
「気分悪くさせちゃったかな..?」
「別に....でも、助けてくれてありがとう..」
「戻ろ...」
と睦月が持っていたドリンクを私は半分持って希来里と奈岐のところに戻ったのであった。
「ただいま、お二人さん」
「....買ってきたよ」
「「おかえりぃ...ありがとぅ..」」
と奈岐と希来里はゆっくり起き上がり、ドリンクを受け取る。
ー数分後ー
休憩し終わった後にまた海に入って遊び始めた。
すると.....
リーン......リーン......____
「.....!?」
と私は音に気付き振り返る。
そう、この音は裏切者が現れるとき青い蝶が飛ぶときの音だ。
「稲荷さーん?どうしたのー?」
「稲荷さん、どったの?」
「燐....?」
と3人は私の様子に気が付き問いかける。
(まさか.....)
と恐る恐る3人のいる方向に顔を向けると....
リーン.....リーン......___
青い蝶が飛んでいた。
すると海の波が怪しくなってきた。
「!?みんな!逃げて!!」
と異変に気付き3人にいや...海に入っていた人間たちに大きな声で叫ぶ。
「ちょっ、稲荷さん!?」
「なんだなんだ!?」
「うわっ!?」
と段々波が激しく打ち始める。
「みんなを巻き込まないで!出てきなさい!」
と私は大きな声で裏切者を呼び出す。
__稲荷様ってのはあんたかー?
と人間の姿で現れる妖怪。
「初めましてだな?あんたかなり面白い奴じゃねぇか」
と笑いながら問いかける妖怪。
「稲荷さん...誰この人...」
「稲荷さん....?」
「燐...?」
3人はまだ留まったまま燐を見つめる。
(みんなに姿がバレてしまってもいい...もう誰も...)
("傷つけたくない!!!!")
ガキーン____!!
「おうおう?稲荷様の腕は確かなようだなぁ?」とにやりと笑いながら刀で防御する妖怪。
「「「!!??」」」
睦月、希来里、奈岐は私がどこから出したかもわからない紅い刀を見て固まってしまった。
「みんな.....逃げて!!!」
と私は大きな声で同じ言葉を言った。
「よそ見はだめですぜ?」
シャッ__!!
「ぐぁっ!?」
「「稲荷さん!!?」」
「燐!!??」
私はよそ見をしたせいで傷がついてしまった....。
でも.....
スー____。
傷口は、すぐに塞がっていく...。
「おぉ?やっぱり面白い奴だなぁ?」
「.....ふざけないで...!!」
ガキーン____!!!
「やるねぇ?」
「油断禁物よ....」
グサッ__!!
「ぐぁっ!?いつ...のま、に後ろに...!!?」
「あなたも知っているでしょ....この刀の痛みは普通じゃないわよ...」
「ぐぅ...く、そ....ガハッ!?」
「「「____。」」」
「抜いてまた刺されて死ぬのと....このまま真っ二つどっちがいい...?」
と私はみんながいる前でそのまま戦いを続ける...。
いつもの私じゃないのも全部知ってる....でもこれからは逃れられない...。
「はっ....ど、っちも..いや、だ..ね」
「そう....じゃぁ...」
「さようなら__。」
ザキッ___!!
「___っ」
ボトッ___
「........。」
私は、その妖怪を真っ二つに切り裂き血まみれになる...。
そして空を見上げる..。
「.....っ」
「稲荷...さ...」
「り、ん...」
3人は、私をずっと見ていて驚く以上の顔をしていた...。
希来里は今にも泣きだしそうで青ざめた顔。
睦月も青ざめた顔だった。
奈岐は青ざめた顔でも「なんで...」と言いたそうな顔で私を見つめる。
「睦月君、希来里、奈岐君....」
と私は、血が付いた手を伸ばす。
「ひっ...」
と希来里は、怯えてしまっていた。
「......。」
私は、周りを見た。
「何あれ...」
「やだ...殺人...?」
「お母さんこわーいよぉ」
みんな、海にいた人たちは私を見て怯えてしまっていた。
(わかっていたことだけど...やっぱつらいや...)
私は手に持っていた妖刀、紅の刀を自分に向け
そして.....
「みんな...さようなら__。」
グサッ___!!
「っ___。」
バシャン___
と私はそのまま首に突き刺し刀を手放すと同時に桜のように刀は消えていった....。
「っ!?キャーーー!!」
「稲荷さん!!!」
「燐!!おい!しっかりしろよ!おい!!」
私は海の上でそのまま意識がなくなっていった...。
「誰か!救急車を!!」
「__し、か__!!」
(あぁ....意識、とぎ...れ...)
と私はみんなの声さえも聞こえなくなっていき意識が途絶えた...。
ー夕凪病院にてー
___ピッピッ....
「_____。」
「稲荷さんが目覚めたら病院の先生を呼びなさい。」
「3人とも、大丈夫だ。稲荷さんは悪い生徒じゃないのは知っているから...事情が複雑で話していないだけだよ。じゃぁ、また学校でな」
「「「はい....」」」
と先生は睦月、奈岐、希来里を病院まで一緒に来て燐が目覚めるのを待っていた。
先生は他の生徒がいるため学校に戻ってしまった...。
「「「......。」」」
3人は、燐の方を振り返り見つめる。
「_____。」
燐が息をしないで眠りについていること燐の姿を見て分かった...。
「稲荷さん....息をしてない...」
「稲荷さんには話せない事情....俺らにも言えないことなのかな...」
「燐は....あの噂の殺人事件と関係してたとしても...言えない事情が俺らにあったのか...」
「稲荷さん...っ」
(誰かの声がする....)
「_____。」
私はゆっくりと目を開ける。
「.....こ、こは...」
と私は天井を見たまま呟く。
「「稲荷さん...!!」」
「燐..!!」
と3人は私が目覚めたのに気づき駆け寄ってくる。
「稲荷さ、んっ...ごめんねっ...ごめんね....っ」
「稲荷さん...大変だったね...」
「燐...」
と希来里は泣きながら私の手を握り謝ってくる...。
奈岐や睦月も私を見ては申し訳ないような顔で見つめる。
「...み、んな...」
私は、ゆっくり起き上がりみんなを見つめる。
「まだ起き上がっちゃだめだよ..!!」
と希来里は起き上がるのを止めようとするが私はもうバレている状態で隠す必要ないと思った。
「希来里....もうね、傷口は塞がっているの...」
と首に包帯が巻いてあったのを外し傷を見せると刺した部分は綺麗に塞がっていた...。
「「___。」」
「私は...みんなと違うの...」
「おかしいよね...同じ人の形をしているのに....」
「燐....」
と私はゆっくり立ち上がり病室の窓まで歩く...。
「みんな...またね...」
タっ___
「「稲荷さん!?」」
「燐!!??」
と言い私は病室の窓から飛び降り屋根をうまく使って自分の家の方向に向かって消えていく...。
ー燐の家ー
タっ__タっ___
「......。」
と私は神社の鳥居の上に着地し、もう一度飛び降りて床に着いた...。
「稲荷様おかえりなさ...って稲荷様‼?どうしたんですか!?」
と玄関の近くにいたルイが駆け寄った。
「.....休憩させて...そっとさせて...」
と言い私はフラフラの状態で自室に向かって歩いて行った。
「稲荷様.....」
ガラッ___
「.......。」
私は部屋に入りドアを閉めそのまま崩れ落ちてしまった...。
「もう....だめだ....」
と小さく呟いて夜が過ぎて行った....。