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3/9

キミを待つその日まで...3

ー合宿当日ー

「行ってきます...」

「気をつけて行ってらしゃいませ、稲荷様」

と私が玄関を出るときにルイが見送ってくれた。

今日は、燐の学校の合宿だ。

燐の今の状態だと、普通の人間には知られたら誤解を生むことがある。

一つ目は、背中の呪いの痣。

二つ目は、眠る際に息をしないこと...。

息をしないで、寝ているところを見られたら普通の人間は誤解をしてしまう...。

普通の人間は、息をする。

けど、燐の場合...

ルイ達が様子を見に来たりすると燐は本当に息をしないで寝ている...。

燐は、いつも通りの学校に向かって歩いていた。

トコトコ...

「はぁ....」

と私はため息をして歩いていた。

すると...

「おーい、燐さーん」

と後ろから声をかけてきた方に振り向く。

「......。おはよ、菊池君...」

と私はいつも通りの無表情で挨拶をした。

「相変わらずだなぁ....燐さんは。今日よろしくな!」

と呆れた顔をした後、満面の笑顔で挨拶してきた。

(まぶし....)

と私は、その顔を見てまぶしいと考えた。

「お先に失礼します....」

と言って私は背を向け、学校の方に向かって歩いた。

「あ!おい!置いてくなよー!」

と奈岐は燐を追いかけるように同じく学校に向かって歩いて行った。

ガラっ___

「.......。」

と私は教室に入り、机に向かって歩く。

そして私は、いつも通り鞄を置き、席に座る。

「みんなーおはよー」

と奈岐は、燐の後に教室に入ってきた。

「奈岐君をおはよー♪」

「菊池おはよー」

とクラス全員が奈岐に反応する。

「おう、希来里に睦月おはよ」

と奈岐は、二人に声を掛け合う。

(睦月...って男子も私のグループだっけ...)

と私は考えながら、外を見た。

睦月むつき まもる

燐と同じクラスメイト男子。

見た目は、少し茶髪でイケメン男子1位と言われているようだ。

燐には、興味がないことだった。

希来里も上の苗字は、咲奈さな 希来里きらり

見た目は、おっとりした女子ではあるが、いつも男子と話していることが多い。

でも希来里は、大者の会社の娘。

簡単に言えば、お金持ちのお嬢様と言ったところだ。

「.......。」

私は、どっちにも興味がない。

でも少し気になっている人物がこのクラスで1人だけいた。

「稲荷さーん♪おはよ!」

「稲荷さんおはよう。」

と睦月と希来里が私に声をかけてくる。

けど、私の目線は自然と奈岐の方向に行っていた。

「......。」

そう、燐が気になっている人物は....

菊池 奈岐だった...。

理由も欠点も、燐にはまだわからない...。

「稲荷さん?どうしたの?」

「稲荷さん、どしたん?」

と二人が、燐がぼーっとしていると声をかけてきた。

「....!」

と私は声にやっと反応し顔色一つ変えずに

「な...なんでもない...。」

と無表情に答えた。

キーンコーンカーンコーン...


学校の予冷が鳴り、先生が教室に入ってきた。

「おーい、みんな席に着けー。」

「えー....じゃぁ、今日から合宿だ。皆各自、荷物を持って校庭に出てくれ。」

「バスがあるので、各自のメンバーとまとまるように座ってくれ。」

と言って、先生は教室を出て行った。

「奈岐くーん」

「なーぎっ」

と希来里と睦月が奈岐に声をかけ集まる。

「おー」

と返事をして私のところにも来た。

「稲荷さん♪」

「稲荷さん、いこ」

「燐さーん、行くよー」

と三人が私に近づき声をかけてきた。

「.....うん。」

と私は小さく頷き、荷物を持って3人と一緒に教室を出た。

「......。」

大型バスが、4台。

1台で燐のクラス全員は入るバスだった。

「稲荷さん、席どこがいい??」

と希来里が聞いてきた。

「....どこでも...」

と私は、誰とでもという風に言うと...

「じゃぁ...俺、燐さんの隣がいいな」

と奈岐が言ってきた。

「いいよー♪」

「じゃぁ、俺は希来里ちゃんとか。」

「.....。」

と私は、無言のまま話を進めさせる。

「おーい、全員乗れー」

と先生がバスの前に立って燐のクラスに声をかける。

「よし、乗るか。」

「うん♪」

「燐さん行こっか。」

と3人が声をかけられ、

私は、小さくうなずきバスに乗った。

「燐さん、窓側と廊下側どっちがいい?」

と奈岐が席の前に来て言ってきた。

「じゃぁ...窓側で...」

と言い私は、席に座った。

「よっと...」

と隣に奈岐が座った。

「....。」

私は、外の景色を眺めていた。

「よーし、出発するぞー。」

と先生が声掛けした後、バスが発車した。

「......。」

「......。」

と二人の席では無言の空気だった。

「燐さ...」

「....燐でいいよ」

と奈岐が私の名を口にしようとしたところに、呼び捨てでいいと答えた。

「え...いいの?」

と奈岐は驚いたような顔で口にすると私は小さく頷いた。

「じゃぁ、燐。あのさ、よかったら一緒に音楽聞かない?」

と言い、奈岐は音楽プレイヤーを見せてきた。

「....音楽?」

と私は、音楽プレイヤーを見つめ首を傾げた。

「そ!なんか希望の曲とかある?俺、結構曲持ってんだ」

と自慢げな顔で言ってきたので考えた。

「....じゃぁ、smile聴きたい。アニメの映画の曲」

と答えた。

「お?燐って一応アニメソンとかも知ってるんだ。いいよ」

と言い、イヤホンを片方渡してきた。

「....ありがとう」

とお礼を言いイヤホンを受け取り、耳にはめた。

♪____

「......。」

と私は、曲に合わせ頷く。

(やっぱり、この人の曲好きだな...。)

と考えているとウトウトしてきた。

(ここで寝ちゃったら...ダメ..だ...)

必死に起きていようとするが、眠気には負けてしまう。

ウトウト....

「.......。」

と自然に体が奈岐の肩に寄りかかり眠りに入ってしまう。

「燐...?」

と奈岐は、燐が肩に寄りかかってきたのに気づき声をかけるが寝てしまっている。

(寝顔可愛いー....///)

と奈岐は口を押さえ、顔をそらす。

「____」

と燐の息をしていないのに気づいていないのかそのまま奈岐も眠りに入った。

ー数時間後


「おーい。なーぎー」

「稲荷さーん、起きてー」

と睦月と希来里の声が、聞こえてきた。

「んぁ...んー!俺寝ちゃってたのか...。」

と起き上がる奈岐。

「____。」

燐は、まだ眠りについたままに気づく奈岐は

「おーい。りーん。起きろー」

と言いながら燐の体を揺らす。

「....ん」

と私は、目が覚めゆっくり目を開ける。

「あ、起きた。稲荷さん、着いたよ」

と睦月が私に声をかける。

「寝ちゃってた....」

「ね...」

「......」

と私は、段々青ざめてきてしまった。

そう、寝ていたということは息をしていなかったことになる。

(ど...どうしよう)

と考えていると

「あ、ほら先生呼んでるからいこー」

「燐、行くよ」

と言い、私の手を引っ張る奈岐。

ー旅館内ー

「えー、みんな揃ってるな?じゃぁ、メンバーごとの部屋の鍵をリーダーに渡していくから。」

「今日は、外での活動はしないのでー、夕食後のメンバーごとの風呂だけだ。」

と先生が言った後、順番にメンバーのリーダーに鍵を渡していく。

「受け取ってきたよー」

と睦月が鍵をもらってきた。

「んじゃ、部屋行きますかー」

「そだね♪」

「...うん」

と奈岐、希来里が返事した後に小さく頷き、荷物を持って部屋へ向かった。

ガラ___

「おー結構広いねー」

「わー!広ーい♪」

「確かに広いな、」

と部屋に入ると結構広かった。

「夕食の時間まで、10分くらいあるね...」

「あ、お茶置いてあるからお茶飲むー?」

と希来里がテーブルの上に置いてあるお茶のセットを見つけ提案する。

「お、いいね」

「...うん」

と私と奈岐はOKという合図を出した。

「じゃぁ...私入れる...」

と私は、お茶の容器を使って入れ始めた。

「はい...」

と入れ終わったお茶を3人に渡す。

「ありがと、稲荷さん。」

「ありがとー稲荷さん♪」

「おーさんきゅ、燐」

「どいたしまして...」

という会話をした後にお茶を飲み始めた。

ー10分後

「お腹すいたー」

「なんだろー」

とみんな部屋からぞろぞろ出てきた。

そして各自席に座り、先生の合図で食べ始めた。

「.....。」

と私はもくもくと無言で食べていた。

そして、みんなが食べ終わり、部屋に戻ってお風呂の準備になった。

「稲荷さん、細いから実際に見れるの楽しみだなー♪」

「あ、そいえば、ここのって男女混浴だったから俺らも一緒か。だよな、睦月」

とリーダーの睦月に確認をする奈岐。

「うん、そだよー。中々ないよなー、男女で混浴って。」

「へー!じゃぁ、みんな一緒に入るんだね♪楽しみー♪」

と喜ぶ希来里。

「.....。」

私は、あまり嬉しくもない。

そして、風呂場に行く。

トコトコ....

ー更衣室ー

「おふろっおふろっ♪」

「.....。」

「あー...今日も暑かったなー」

「そうだなー」

と全員服を脱ぎ始めていた。

(誤魔化せばいい...誤魔化せばいい....)

と焦りながら上着をゆっくり脱ぐ...。

すると...

「稲荷さん...それ..」

「稲荷さん、どしたのこれ?」

と希来里と睦月が痣に気づいた。

「燐...それ...」

と奈岐も気づいた。

「....。」

私は最初無言のまま、振り返った。

「これ...ちょっと昔やけどした痕なの...気にしないで..」

と噓をついた。

「やけどかー...こんなに痣ひどくなっちゃうんだ...」

「やけどはしょうがないな...残る体質の人いるみたいだし」

「そうなのか...」

と納得してくれたように信じてくれた。

「よし!風呂入るぞ!」

「「おー!」」

と睦月が言った後にそれに続いて奈岐と希来里が浴場に向かっていった。

「稲荷さん、やっぱりほっそーい!」

ガシ___

と希来里が後ろからくびれをつかんできた。

「....そう」

と私は無表情で答えた。

「細いよ!ちゃんとご飯食べてる!?」

「うん...食べてる...」

「女子って...あんな感じなの..?」

と睦月が二人の様子を見て言う。

「んーどうなんだろな。それにしても...」

「あー...奈岐お前も同じことだな?」

「うん」

「稲荷さんって...」

「燐って...」

「「意外と胸デカいな...」」

と息ぴったりに言う睦月と奈岐。

「.....。」

「ちょっとー!?それどういう意味!?」

と希来里が反応して怒る。

「いや、希来里ちゃんも大きいけど...」

「燐の場合、制服着てると小さく見えたから...」

「「予想外だった...」」

とまたもや息ぴったり言う二人。

そしてなんやかんや、髪や体を洗ってお風呂から全員上がる。

「気持ちよかったー♪」

「いい湯加減だったな」

「おう、気持ちよかったな」

とみんな着替えて、髪を乾かした後部屋に戻っている最中だった。

(ここから...本番...)

と考えながら私は歩いていた。

そう、最後は寝る時だ。

さっきのバスの時は気づかれなかったが、ここからが本番だった。

さぁ...怪しまれないか....


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