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はしがき
私は、けたたましい怒鳴り声と、大きな鈍い打撃音で目を覚ました。
とても不愉快なイライラとした気持ちと、とてつもない絶望感に襲われ、涙を滲ませながら思わず頭を掻きむしる。感情のままに顔を歪めて、思いきり舌打ちをすれば、このやるせない気持ちをぶつけるかのように、一回ガン、とシーツを蹴りあげた。
気怠く重たい身体を、無理矢理起き上がらせながら、手探りで目覚まし時計を探した。容易く直ぐに見つかったそれの、上にある小さなスイッチを押せば、狭い範囲を淡いライトが明るく照らした。時計のデジタル文字が示す時間は、夜中の3時とちょっと。
こんな時間に、一体何をしているのだろう。
「この家には産まれたくなかった」
そう、強く思いながら、私はただひたすらに、早く朝が来る事だけを願った。