痛風
関野一男は梶山三郎が免許を取ったのでドライブに行かないかと誘われているが、その返事に窮している。
「山梨に西沢渓谷ってあるんだけど、そこに行こうよ。恵林寺もいいらしいし」
恵林寺とといえば武田信玄の菩提寺でもあり、歴史好きな関野にとっては興味深いところだった。
それでも関野が即答を控えてるのは、梶山が免許を取ったばかりで事故を起こさないかということが気がかりだったからだ。そのことを彼にそのままいえば気を悪くするので、遠まわしに断ろうとした。
「車より電車で行こうじゃないの。酒好きなあなたが運転じゃ、飲めないじゃないか」
「山梨なんて近いし、そんなの我慢しなきゃ。じゃ、明日九時ね」
「ちょっ、ちょっと待ってよ」
関野は手帳を取り出してスケジュールを見るふりをするが、梶山はもう行くと決め込み、地図でドライブルートを説明し始めた。
梶山の予定では中央高速で終点の勝沼で降り、そこから恵林寺に行き西沢渓谷でハイキングをし、あとは宿で飲み明かそうという。翌日は雲峰寺で風林火山の旗を見ようという。
「あなたは、歴史に興味なかったんじゃなかったっけ?」
「山梨っていえば信玄だし、それぐらいは見ておかないと」
梶山は歴史に興味などないが、神社仏閣など昔から鎌倉などで写真を撮り歩くの好きで、今回のドライブもその延長線上にあった。
「ゴールデンウイーク終わって人も少ないし、いいドライブになるんじゃないかな。あ、勿論ワインの蔵めぐりもするから」
ワインなど飲みたいとは思わないが、恵林寺と雲峰寺はまだ行ったことのない関野だった。
「じゃ、行くけど、運転のほうは大丈夫かい?車だって五万で買った中古だっていうし」
「運転はバッチシ。免許とってからは山の細い道ばっかり走って、側方感覚も身につけてるし」
「だったらいいけど、くれぐれも安全運転で頼むよ」
翌日は初夏を思わせる快晴だった。
勝沼から先は双葉まで寸断されてる高速を降り、恵林寺へ向かった。
関野は梶山の無難な運転にこれなら安心とばかりに車内でときたま居眠りをしていたが、恵林寺に着けば梶山に疲れただろうと労をねぎらいながら寺のガイド役をした。
「あなたも、心頭滅却すれば火も自ずから涼しって知ってるだろうけど、信長が武田憎しでこの寺を焼き討ちしたとき、快川国士がそう詠んだのがこの三門でね」
そういいながら、関野は時の武将や僧侶の心理状態を事細かに話す。
「それにしても、ここで火をつけられて火が涼しいなんていえるっていうのは、相当な人間じゃないといえないことだよ。あなたが快川国士だったとして、そんなこといえる?」
「いえないだろうな。車から降りてちょっと歩いただけで汗かいて、もうビール飲みたいなんて思ってるし。火に囲まれてそんなこといえるなんていうのは、人間を超越してるし」
五月半ばの塩山市内は直射日光がきつく、初夏というより真夏に近い気温だった。
「あなたは運転巧いみたいだし、少しぐらい飲んでも平気だろう」
「仕事帰りに飲んで帰ってるし、別に平気だけど」
「ワイン蔵行くより、どっか食堂で飲むことにしよう」
宿の白龍閣へ向かう途中に小さな食堂があり、二人はそこで遅めの昼食をとることにしたが、中学生達で店内は混んでいた。
「お客さん来たから、皆、席詰めて」
その中の一人の言葉で、散らばっていた中学生達がそれぞれ食べかけや飲みかけの物を持って移動すると、あっという間に半分以上のテーブルが空いた。
「有難う。皆、育ち盛りでお腹空いてるんだな」
関野は礼儀正しい子供達に相好を崩していった。
「今時、都会の子供じゃこうはならないのに、地方っていうのはすれてなくていい」
「そうだね。近頃の餓鬼は言うこと聞かないし」
関野は梶山にビールを注いでやった。
「お疲れさんだったね。明日も慎重に頼むよ」
「お疲れ様。安全第一でね」
飲酒運転を棚に上げ、二人は苦笑しながら乾いた喉にビールを流し込んだ。オデンとヤキソバを肴に二本のビールを飲むと、梶山はこれ以上はやばいと思い、宿へ行こうと関野を促した。
浴衣に着替え川沿いに面した風呂へ入れば身も心も軽くなり、湯上りには再びビールを飲み始める二人だった。
「それにしても、あなたの行動力はたいしたものだね。北海道行って、大自然に惹かれたといっては車の免許を取ったし。その北海道だってあもすもなく、さっと行ったし」
「あれだって、関野さんが勘違いして、こっちは冷や汗かいたんだから」
「悪い悪い。もう昔のことだから、はっきりしてなくてね」
「昔ったって、二年前だっていうじゃない」
「三十過ぎて、記憶力が鈍ったのかな」
梶山が関野のせいで冷や汗をかいたというのは、人違いによることだった。
梶山が関野の自宅に行き、女性の写真を見せられたことがあった。梶山の好きな夏目雅子に似た女性と、もう一人は彼にとってはどうでもいい女性だった。だが、それを見た途端、彼は夏目雅子に似た女性に恋心を覚えてしまった。それをいえば、関野は手紙があるから住所なら分かるという。そこで彼は早速手紙を書き札幌空港に飛んだが、出迎えてくれたのは夏目雅子と似た方ではなかったのだ。
「やっぱり黒沢さんの方だったのね。手紙をもらって黒に梶山さんのこと話したんだけど、これは絶対私じゃなくて、黒の方だって」
そういわれても、梶山はどう応えていいのか分からなかった。それでも、彼女は梶山に黒沢恵を引き合わせたのだ。
そんなことを思い出しながらいう梶山に、関野は苦笑した。
「でも、よかったじゃないの。いい思い出もできたし、北海道に永住したいっていう夢もできたんだから」
梶山は北海道の住宅情報誌を手に入れ家賃を調べていた。
それによれば円山公園近くの一軒家で、八畳二間と十二畳に駐車場つきで五万もしないことが分かり、仕事さえ見つかれば永住は可能だった。
「今こっちで一万五千円もらってるけど、むこうじゃ手間はかなり安いと思うし。それを調べないと」
自分より五歳年下だが、物事を即実行に移す行動力のある梶山に、関野は一目も二目も置いていた。
「あなたはたいしたもんだよ。爪の垢でも煎じて飲ませて欲しい」
「そんなことないって」
「あなたと仕事で知り合ってから五年ぐらい経つけど、どんどん進化してるじゃないか」
「どうかな・・・」
関野は宮崎に行った帰り、梶山が仕事の都合で兵庫県の相生にいた彼を訪ねたことがある。
造船所で働らく彼は荒くれ男達に囲まれていたが、なんら動ずる気配もなかった。そして東京に戻れば再び元いたペンキ屋で仕事をし、溌剌としている。そんな梶山に、自分にはないものを感じる関野だった。
「あの原野商法には参ったけどね」
「でも、あなたはかなり売り上げたじゃない」
「それも、聾唖者からなけなしの金を叩かせたんだから、なんか後味悪くて」
「知っててやった訳じゃないし、それはしょうがないって思うしかないじゃないか」
その二人が仕事帰りに品川埠頭の屋台で飲んだとき、岸壁に係留してあるはしけに飛び乗った。そして、関野が満月を見ながら大利根月夜を歌いだすと、梶山は岸壁の母を歌った。
梶山の家は貧乏でテレビを購入したのがかなり遅く、ラジオをよく聞いていた。そういうことで、子供ながらに聞くとはなしに自然と耳に入ってきた歌が心に残っていた。田端義男のかえり舟や藤山一郎の東京ラプソディーなど、二十二歳当時の彼がどうして自分と同世代の歌を知ってるのかと、関野は不思議に思ったものだ。
陽が落ち夕食になるが、二人の話は現在と昔を往き来しながら尽きることがない。
関野は苦手な生き作りの刺身を梶山に勧められ、目を瞑りながら口に入れた。
「美味いね」
「関野さんは、食わず嫌いが多い気するな」
「そうかも知れないね。あなたみたいに猪突猛進形になりたいけど」
「これでも石橋叩いて、渡らないときもあるんだけど」
「そんなあなたは、これから何をしようと考えてるのか?是非、お聞かせ願いたいものだね」
「芝居がかったいいかたしないでよ」
梶山はやりたいように生きたいと思っているが、その一割も実現できてなかっただろうと思っている。今はとにかく北海道で住んでみたいという目的はあるが、仕事を現地で探すためにまた行かなければならない。だが、このところ浪費が多く、その飛行機代と休暇の為に稼がなくてはと思っている。
それをいう梶山に、関野が飛行機代ぐらい勘違いしたこともあるし出そうかという。
「黒沢さんのことは、済んだことだし」
「それにしても、内地の人間だから付き合うなっていうのは、あまりだね」
「北海道の人間てあけっぴろげで社交的だっていうけど、そうでもないみたい」
「でも、そこに住みたいんでしょ?」
そう聞かれた梶山は漠然とした憧れであって、仮にペンキ屋に就職できたとしても、雪で仕事ができないことなど色々と障害があることを知っていた。それを考えると、仕事が見つかったとしても簡単に永住できるものではないと思っている。やはり、心のどこかで黒沢恵という女性とのやりきれない恋が吹っ切れてないようだった。
「黒沢さんに逢いたいっていうのが、本音かもね・・・」
「彼女。本当に純情でいい子だったし・・・」
これまで梶山から何人となく女性のことを関野は聞いていたが、何れも面白おかしくいうばかりだったのが、こと黒沢恵に関してはしみじみとしている彼だった。
「あの写真は、見せないほうがよかったのかも知れないね」
「そんなことないけど」
「でも、あなたは彼女を追って何度も苫小牧まで行って、その挙句彼女の親の反対で付き合うこともできない訳だし。それでもその北海道で住みたいっていう。これは、あなたの今後の人生において、かなり大きな転換期になるかも知れない。そう思うと、罪なことしたなって、責任感じてね」
関野は夕食も終え、ビールからワインに替えている。
「関野さんが責任感じることなんてないって。こっちは紹介してもらっただけだし」
五年という歳月は二人を固い絆で結び付けているようだった。
年長とはいえ、関野は趣味や考え方も違う梶山から学ぶことが多かった。
梶山にしてみれば関野は五歳も年上だが、それを振りかざすことなく対等の立場で接してくれる彼は与し易かった。風采の上がらない男でいっぷう変わったところもあるが、それがペーソスに溢れてるように思え、興味の尽きない人間だった。
山梨のドライブから帰ってしばらくすると、梅雨を迎えた梶山の仕事は暇だった。土方殺すには刃物は要らぬ。雨の三日もあれば。それと同様でペンキ屋も雨では仕事ができず、朝早く起きて悩ましげな空を見上げては、布団に潜り込んでいる。
そんな或る日、関野から朝早く電話があった。銀座に出てこないかということだった。会えば、関野は韓国へ行ってきたばかりだという。開店したばかりの有楽町のチボリで久しぶりに会った二人は、朝っぱらからビールで乾杯した。
「韓国の女性は気が強くて、参ったよ。やることやったら、そっぽ向いてさ」
「女遊びに韓国まで行くなんて、凄いな」
「あなたも行けばいいのに」
海外は一度も行ったことのない梶山だった。
「日本でさえ、まだ行ったことのないところたくさんあるし」
「国内の自然破壊はどんどん進むし、そういう意味では海外に行くより、見たいところ行ったほうがいいかな」
飲んでしばらくすると、ようやく韓国女性のそっけない態度に対する怒りも修まる関野だった。
「あなたもこのところ女性には縁がないみたいだし、どう?福富町でも行ってみない?」
「やぁ、そんなお金ないし」
「それはいいけど、いやなら無理にとはいわないし。でも、その気があるならこっちが全部面倒見させてもらうから。こないだのドライブだって、高速代とガソリン代だって受け取らなかったし」
「そんなの安いもんだし、トルコ代とは比べもんにならないって」
「たまには、こっちにもいい格好させてよ」
仕事をしたくてもできずに悶々とした思いは、肉体的にも欲求不満になっている梶山だった。
「なんか、消化不良みたいな感じで、すっきりしなくてね」
実際関野にそういう思いはあるが、梶山に黒沢ではなく違う女性を紹介してしまったことを済まなく感じていた。その罪滅ぼしを兼ねて、そういった。
「じゃ、行きますか!」
「いつだったかあなたが入れ込んでた、操とかっていう女性のいる店でもいいし」
梶山が彼女はもういないというと、それなら自分の行きつけのところに行こうと関野が彼を案内したのは高級店で、梶山はその豪華さとコンパニオンの礼儀のよさに圧倒されてしまった。
シャンリーベという店で身も心も軽くなった二人は、程近い野毛の屋台で飲み始めた。日雇い労務者が隣でクダを巻いているが、そんな輩に関野は酒を注いでやってる。
「あなたのいいたいことは分かる。あなたが仕事をしたくてもできないのは、一国一城の主である中曽根康弘の責任以外、何物でもない」
「そうだろ。田中角栄みたいに列島改造論でもぶち上げてだ。景気浮揚対策をしない中曽根内閣の責任だ」
関野はその隣人としばらく酒を酌み交わしていたが、夏だというのに長袖のシャツを着ていた労務者は間もなく屋台から離れて行った。
「今の彼はああでも、昔はきちんとしてた人間だったかも知れない。何かの歯車が狂って、今はああなってるだけだと思うし」
そういう関野を、梶山は不思議な面持ちで見た。
韓国で女遊びをしたがいい思いをさせてくれなかった。それでトルコでその思いを果たしたかと思えば、今は労務者の立場になって思いやっている。そんな関野という男をどう理解すればいいのか、二十七歳の梶山には少しばかり難解のようだった。
「今日は付き合ってくれて有難う。すっきりできた。これ少ないけど、北海道の旅費の足しにしてよ」
関野は韓国のカジノで稼いだこともあったし、女遊びをするつもりだった金が残ったのを梶山のポケットに押し込んだ。
「やめてよ。今日は散々驕ってもらったし、これ以上こんなことしてもらうと、借り返せなくなるから」
「いいからいいから」
関野とて金が有り余ってる訳ではない。定時制高校を卒業したものの仕事には恵まれてない。しがない広告代理店の営業マンに甘んじていた。それでもコミッションがあるし、普段は質素な生活をしているのでそれなりの蓄えもあった。まだ三十二歳だし、このさき人生どう転ぶか分からないという、楽天的な考えもある。
「今度は柳橋あたりの芸者あげて、どんちゃん騒ぎしようじゃないの」
関野はそういいながら、夕暮れの町に消えて行った。
梅雨が明け暑い夏だが、梶山は汗とペンキまみれになりながら働いた。一週間ほどセメントタンクの塗り替えの出張もあり、危険手当など含めた給料と鰻代を合わせると四十万ほどあった。半月ほどでそれだけ稼ぐ梶山だった。芸者遊びをしたいという関野の願いを叶える為の金額に見合うかどうか知る由もない梶山だが、その金を手に彼は関野と両国界隈を歩いた。
三味の音が聞こえてきた。
「いいねぇ。昔は土だったけど、今はアスファルト。それでも打ち水がしてある。軒先には朝顔が竹竿に蔓を絡ましてる。窓格子には風鈴。それにこの三味線だ。日本の夏って感じじゃないか」
関野は三味の音がする方向に目をやりながら立ち止っている。そして、やにわに歌いだしたものだ。
浮いた浮いたと浜町河岸に浮かれ柳のはずかしや、と調子外れの声に、二階から女が顔を出した。
「やーね。歌うなら、もっと巧く歌いなさいな」
「お姉さんの三味線聞いてたら、歌いたくなってさ。御当地ソングの明治一代女。もっと聞かせて下さいよ」
四十ぐらいの年増女が窓際に腰掛け、三味線を弾き始めた。
関野は鼻紙に五千円札と、重石代わりに五円玉をを包んだ物を二階に投げ入れた。
「有難う。貧乏人だから、それで勘弁してよ」
女は薄笑いするだけだった。
梶山は汗で濡れた身体が気持ち悪くてしょうがなく、銭湯に行こうといった。関野に異論はなく、高い煙突を捜せばすぐ近くだった。風呂上りに飲み屋に行けば、蒲焼きの煙が充満していて、その匂いにたちまち腹の虫が鳴る二人だった。
「今日はよく歩いたもんだね」
二人は昼前に上野から浅草に出てうろちょろと路地を徘徊しながら、隅田川を渡った今は本所近くまで歩いていた。
関野は風呂屋で買ったタオルを首に巻きつけながらビールを飲み干した。
「三味線は聞けたし、日本情緒を楽しめたよ」
「芸者遊びはできなかったけどね」
「一見じゃ無理だし、しょうがないこと。この鰻で我慢するさ」
「関野さんの夢って、何かな?」
「俺はだね、万里の長城に立って、人類が何故諍いをしてきたかを考えてみたい」
「途方もないこと考える人だね」
「そう?歴史を知ると、面白いよ」
鼠顔の関野が首をすくめながらいった。
「あなたは北海道へ。俺は中国だ」
関野はビールグラスを片手に、もう片方の手は硬い拳をにぎって振りながら、行け万国の労働者と声高らかに歌い始めた。
梶山はそんな関野を不思議な顔で見ていた。
三十年近い月日が流れ、今ではそんな二人の関係も音信不通になっている。
梶山は塗装業という仕事に限界を感じていたし、その体力も失っていた。また、北海道に永住したいという願いは叶わず、生まれ育った多摩川べりの町で何とか生きている。
その彼が拠所ない事情で両国に行ったのは梅雨明けの暑い盛りだった。蝉が鳴くにもその止まり木はなく、夏らしい風情をまったく感じられない駅から十分ほど歩いたところで用を済ませた。
あとは帰るだけだが、両国といえば関野と三味線を聞いた町が近いことを思い出し、あっちこっち歩きまわるが、通風の発作が出てるのでそれ以上歩けなくなったところが掘割の上の橋だった。周りはビルやマンションに囲われ、上は高速道路が走ってるが、川風が気持ちいい。
橋の欄干に寄りかかりながら川面を見ると、自分の顔が映っていた。流れで揺れる顔は定かではないが、三十年前とは明らかに違う。顔つきだけでなく、気持ちが違っているのが確かだった。
過ぎ去った昔のことより、これからのことを考えなければいけないはずだが、関野がどうしてるのか気がかりだった。電話さえ通じないのだから、探す手がかりなどまったくなかった。
痛風の発作よりそんな関野を失ったことのが、梶山にとっては痛手と感じていた。
風が吹いただけでも痛むという痛風。
その風で痛風の痛みは感じない。
橋の上で爽やかな風に感じるのは、三十年前にここらを一緒に歩いた関野が、手に届かないところに行ってしまったという現実だった。
完




