リリー
ユリの花が嫌いだった。
あのツンとくるような強い芳香が、たまらなく気分を悪くさせる。
それは、甘えた声で鳴きながら猫のように男性器をしゃぶる女のようだ。
だから僕は彼女との情事の時はユリを思い出す。
その花弁を、雄しべを、雌しべを、ゆっくりと、何度も何度も、思ってしまうのだ。
果てた後に出てくるそれが、ユリの花と同じように、僕と彼女の間をなぜる。
この恍惚感を表すとしたら、きっと始めて水を吸い上げたあの時だ。
僕はきっと逃れられない。
背徳感と憎悪と純潔に侵されて、狂ったように求め会う。
僕はユリの花が嫌いだ。