笑うバーツラフ
その年の冬至は、朔旦冬至《さくたんとうじ》の日だった。朔旦冬至とは、新月と冬至が重なる年の冬至のことで、19年に1度しか訪れない日だ。古来、冬至は極限まで弱まった太陽が復活する日。すなわち「復活の日」とされていた。その日こそ、バーツラフが復活できる日だった。バーツラフは息を殺して二人が近づくのを待った。
「頭の悪そうな父親と、ウサギのように臆病そうな子供よ! そなたらの知性や人格などどうでもよい! 余を、ここから解放するためだけに動け! 余を千八十年の惰眠から蘇らせよ!」
バーツラフは暗闇の中で叫んだ。聖ヴィート大聖堂の正午の鐘が鳴りだす。観光で訪れていた桃井千早と紡≪つむぐ≫親子は、発光する宝物庫の扉の中に吸い込まれていった。
「頭の悪そうな父親と、ウサギのように臆病そうな子供よ! そなたらの知性や人格などどうでもよい! 余を、ここから解放するためだけに動け! 余を千八十年の惰眠から蘇らせよ!」
バーツラフは暗闇の中で叫んだ。聖ヴィート大聖堂の正午の鐘が鳴りだす。観光で訪れていた桃井千早と紡≪つむぐ≫親子は、発光する宝物庫の扉の中に吸い込まれていった。
あの鐘が鳴り止まぬうちに
2016/06/01 12:00
(改)
怒りんぼの王様
2016/06/02 12:00
(改)
歩いた距離と心の距離
2016/06/03 12:00
(改)
ぼくたちは闖入者
2016/06/04 12:00
パパ。よけいなことはしないでよね
2016/06/05 12:00
(改)
ディジュと黄金の果実
2016/06/06 12:00
あ、おにいさんたち、どこ行くの
2016/06/07 12:00
(改)
キャワキャワちゃんは、お父ちゃんが大好きです
2016/06/08 12:00
(改)
砂の大地の終わりは突然に
2016/06/09 12:00
パパの一番はぼくだよね
2016/06/10 12:00
どうやって戦ったらいいんだろう
2016/06/11 12:00
(改)
子供にだって、きっとできることがある
2016/06/12 12:00
(改)
教会の鐘が聞こえる
2016/06/13 12:00
(改)
ぼくの世界へ
2016/06/14 12:00