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第9話 絡み

お久しぶりです。

入学して2週間が過ぎ、新しい生活にも慣れた頃それは起きた。


「お前が今年入ってきたレガルド家の坊ちゃんか。」


「なにか?」


教室で友達達と駄弁っていると突然見たことのない奴が俺に話しかけてきた。


「君は調子に乗っているようだね。」


「はあ?」


俺に話しかけてきたのは明るい金髪にちょっと翡翠色のメッシュが入った短髪の奴だった。身長は俺ぐらい。身体つきは細っこいという印象だ。

いかにも肉弾戦は苦手な魔法使いタイプに見える。整った顔立ちは中性的で女性のようにも男性のようにも見えるが俺の勘が言っている。こいつは・・だと。

というか、こんな変な絡みをする奴が女性なわけがない。


「『はあ』とはなんだ。『はあ』とは。これだから、レガルド家の奴は困る。上品さというのに欠けているからね。」


「あのさ、そっちは俺のこと知ってるみたいだけど、俺は知らないから。用がないならどっか行ってくれないかな?」


すると、かっ!と擬音が聞こえるほど顔が赤くなる。


「こ、この僕を知らないだって!」


いや、知らないよ。普通知ってるかな、知らない人のこと。無理難題ですね。


「きぃい、こいつ!このヴァーテル家の次期当主を知らないなんて!みんなから何かとチヤホヤされて前から気に食わなかったんだ。」


すると、自称ヴァーテル家の次期当主は先週学院から個別に支給されたカードを懐から取り出しこう叫んだ。


「ハイン・レガルド!僕と決闘だ!」


すると奴のカードが光りだし、ポケットに入れていた俺のカードも光りだした。


よく分からなかったが、カードを取り出してみると、突然カードから画面見たいのが空中に投影され『イラ・ヴァーテルから決闘デュエルの申請を受けました。決闘を承諾しますか?

YES NO 』というのが表示された。


「これはなんだ?」


「決闘システムさ。レガルドの坊ちゃんはそんなことも知らないのかい?」


ムカつくなこいつ。


「なあ、アレク。決闘システムって何?」


「そうだね。まあ、手っ取り早く言うと学院が認める合法の喧嘩見たいのだよ。」


「へぇ〜。じゃあ…」


俺は迷わずNOを押した。


『決闘は拒否しました』


「へっ?」


「ん?」


すると、ヴァーテル家の次期当主(仮)は一瞬フリーズしたかと思うといきなりまた喚き散らした。


「この雰囲気はYESだろ!」


どうやら、彼は俺がYESを押すのが当たり前だと考えているらしい。ムカつくし言い返してやるか。


「君がその流れを当然と思っているなら、君と僕は同じ常識を共有していないようだな。うん、気が合わないというか全くの違う世界の人間らしいね。そういう事だから残念だけど君と関わるのは互いにとって不幸な争いと時間の無駄しか生まない。だから、もうこの会話は終わりにさせてもらうよ。じゃあ。」


「……。」


決まったぁ!はい論破。適当な事言って話を切ってやったぜ!


「……な、ななんなんだ君は! それでも貴族なのか! 貴族は決闘を申し込まれたら受けるのが習わしだろう!」


どうもこいつは短気でプライドが高いらしい。とりあえず面倒くさいから無視しようかな。でも、それだと怒りそうだな。とりあえず無言で睨んでみるか。


「……」


「なっなんだ!」


「……」


「うぅ」


「……」


「……うわあああああああ」


無言の圧力に負け、いじけて走り去る次期当主。それを見送る俺。


こうして俺は争いに勝ったのだった。





「ハインの奴、物凄いドヤ顔だな。(呆れ」


「確かに。なかなか鬼畜なんだね。(怖」


「まあ、昔からそういうところあったわね。頭が切れるから大抵喧嘩売ってきた子を口でボコボコにしてたし。(呆れ」


「……ハイン君凄い。(カッコイイ)」



俺の行動に対して様々な批評が行われているが俺は気にしない。ジャスト・ドゥー・イッツ!


ただレノ、その怯えた目はやめてくれないだろうか。ちょっと傷つくのだが。


「ところでさ。あの人誰?」


「「「「はあ!?」」」」


「本当に知らないんのか!?」


「うん。」


「あの人はイラ・ヴァーテル。風雷の通り名を持つヴァーテル家の次期当主だよ。」


本当に次期当主だったのか。嘘だと思ってた。


「というか、ヴァーテル家とレガルド家ってアルメシア王国の二大魔法一族って呼ばれてるんだけど、知らない?」


「ん?そういえば聞いた事あるような。」


どっかで確か言ってたな。うーん。思い出せない。


「レガルド家の人間がヴァーテル家を意識していないって本当だったんだな。」


「それに対してヴァーテル家はレガルド家をライバル視してるとはよく聞くわね。」


ふーん。そうなのか。


◇◆


アルメシア王国の二大魔法一族といえば? この問いを問いかけられれば、王国に住むすべての人が、レガルドとヴァーテルというだろう。

ヴァーテル家とはおよそ200年前に現れた貴族である。その初代は戦時に英雄と言われたバギル・ヴァーテル。強力な雷撃を扱う魔法使いでもあり、また前線に出ても文句のない斧使いだったとされる。そして彼は戦争での活躍により貴族となり、現在も続くヴァーテル家の礎を作った。


ここで、よくヴァーテル家とレガルド家は仲が悪いと聞く。これはいつ、なぜ始まったのか?

それは、バギル・ヴァーテルと同時期に英雄と言われたフェイ・レガルドが大きく関係している。

その当時、ある貴族の娘がとても麗しいという噂があった。銀のように輝く髪、宝石のように青く美しい目、そして聴くものを魅了する歌声。さらには性格まで良いという。

その時代にいた2人の英雄は同時期に同じようなことを思った。その娘と結婚したい、と。

あとは言わずもがな、フェイがその娘を射止め、バギルは失敗した。

そうして初代ヴァーテル家当主はこう思ったという。レガルド家許すべし!

こうして、ヴァーテル家が一歩的にレガルド家を敵視するという対立構造が出来上がった。


ちなみにヴァーテル家の人間は初代と同じように代々レガルド家と何かで争い、負け、苦汁を嘗めさせられているためこの対立構造をより強固なものにしたとされる。


〜アルメシア王国の歴史〜より


◇◆


新キャラの当て馬キャラが登場。

くだらない因縁を持つという裏設定を持つ子です。

これからどうなるんでしょうかね〜


そういえば改稿の件ですが第1話だけちょっと弄っただけになりました。特に大きな変更はなしで、このまま突き進んで行く予定です。

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