第7話 保健室
場所は保健室
「んんっ……ふぇ!? ここはどこ? ……私みんなと授業を受けていたはず。」
目を覚ましたミアちゃんは少しパニックを起こしていた。
『知らない天井だ』とか思ったかなww
というか、ミアちゃん普段無口っぽくて声も平坦なのに驚いた時の声可愛いよな。
「えっと、ミアちゃん。ここは保健室だよ。さっき授業中に魔力切れ起こして倒れたから俺が運んできたんだ。」
取り敢えず落ち着いて貰うために事情を説明する。
「……ハインくんが連れてきてくれたの?」
「うん、そうだよ。どう? 具合は大丈夫?」
「……大丈夫。……ありがとうハインくん。」
「いやいや気にしないで。」
魔力切れを起こしたのが恥ずかしかったのか、顔が赤い。
なんとなくミアちゃんの顔を見ていたら、目があってしまった。なんか恥ずかしい。
数秒間の沈黙が二人の間に流れる。
すると、おもむろにミアちゃんがこう言ってきた。
「……あの、私重かった?」
「いや、全然そんなことないよ。 逆に軽かったぐらいだよ。なんでそんなことを? 」
「……私太ってるから。」
太ってる? ミアちゃんの体を見てみる。
確かにちょっとぽっちゃりはしているが、実にいいプロポーションだ。いや発育がいいのだろう。寝ているのにスタイルの良さがわかるなんて相当だぞ。大きくなった時が楽しみである。
「……えっち。」
「いやゴメン。そんなつもりじゃなくてさ。」
ちょっとジロジロ見すぎたか。
「……別にハインくんになら見られてもいいけど」
「ふぇ? なんか言った?」
「……な、なんでもない。」
うーん。さっきなんか言ってたような気がするんだけどな。まあいっか
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<ミア視点>
気がつくとそこは知らない天井だった。
「んんっ……ふぇ!? ここはどこ? ……私みんなと授業を受けていたはず。」
慌ててベットから起き上がり周りを見渡すと、私の寝ていたベットの横に私とさっき授業でペアになってくれたハインくんがいた。
「えっと、ミアちゃん。ここは保健室だよ。さっき授業中に魔力切れ起こして倒れたから俺が運んできたんだ。」
ハインくんはそう言って事情を説明してくれた。そういえば、さっきの授業で私意地になって慣れない魔法を連発したんだった。恥ずかしい。
「……ハインくんが連れてきてくれたの?」
「うん。どう? 具合は大丈夫?」
「……大丈夫。……ありがとうハインくん。」
「いやいや気にしないで。」
ハインくん優しいな。さっきも私に声をかけてくれたし。
私は昔からあんまり喋ることが得意じゃない。別に何にも考えてないって訳ではない。ただ知らない人とかに話しかけるのが苦手なだけだ。それと話し続ける話題があんまりないのだ。なので私は今まであんまり友達が出来た試しがない。
そんな感じのため今まで友達が出来なかった分、新しい環境での生活を楽しみにしていた。学校でなら友達が出来るのではないかと。
しかし実際にとてもウキウキして学校に登校してみると、まず学校にいた人の人数に圧倒されてしまった。
田舎の村の出身である私は初めて一度にあれだけの人間を見た。そのため村からあんまり出たことのない私は軽いカルチャーショックで昨日も誰にも話し掛けられなかった。
初日に出遅れる。私は学校に通ったことは今までなかったが、直感的に村での子供たちとの経験で最初に話しかけないと自分以外でどんどんグループが出来ていき仲間外れになってしまうことを知っていた。
案の上、私は昨日一人ぼっちで生活した。唯一仲良く慣れそうだったのが同じ部屋の子であったが、その子とも必要最低限の会話しかできていないのでもうダメだと思っていた。
そうして、今日もペアを作れと言われてしまって出遅れた。周りがどんどんグループを作っていく。置いていかれる感覚。自分が誰にも気付かれていない虚しさ。周りは楽しそうにしているのに自分一人だけ別の世界にいるようだった。これからの学校での暗い生活が頭の中でぐるぐると回る。
そんな時、ハインくんが話し掛けてくれた。最初は話し掛けられたとわからなかった。しかし、すぐに話し掛けられたと気づき私は慌てて振り向いた。
その時、体にビビビっと電流が走った。心臓がバクバクいって、ハインくんを見た瞬間ただそこにいるだけなのにその笑顔が眩しく神々しい何かを感じた。何か凄まじく神聖で偉大なものを見た気分だった。少し大げさかもしれないが私は彼が救世主に見えた。私をこの状況から抜け出させてくれる救世主。彼に話し掛けられたとことで一気に私は一人ぼっちの世界から現実世界に引き上げられた。
運命だと思った。
それから、ハインくんは魔法もすごかった。滑らかな詠唱。同じ10歳とは思えない速度での魔法陣の展開に、発射された闇の矢の的中率。そして一発で魔法の追加効果を発動させる運の良さ。どれを取っても私より凄かった。
そんな姿を見て純粋にすごいと思った。しかし、それと同時に私は彼と仲良くなれるか心配になった。自分は社交的ではない。魔術も彼のように上手いと思ったこともない。やっぱり私じゃ彼と釣り合わないんじゃないかと。
いや、この機会を逃してはダメだ。仲良くなるにはどうしたらいい? 彼と友達になるには私はどうしたらいい?
私は考えて、魔法の授業なんだから彼のようにはいかなくても魔法で上手くやれば彼と仲良くなれるのでないかと思った。
そのあと私は彼に認めて貰えるように、頑張った。しかし結果は全然ダメだった。
矢は見当はずれな方向に飛んでいった。
ハインくんは優しくしてくれた。しかし、これでは彼の関心が私から移ってしまう。もっと魔法の上手人に彼を取られてしまう。そんな考えが頭をよぎり私はがむしゃらに魔法を発射した。すると、プツッと何かが切れたような気がしして私は気を失ってしまったのだった。
そんなことを思い出していると、ハインくんと目があってしまった。ハインくんのことを考えてたこともあって気まずくなり顔を逸らした。
沈黙が数秒続く。何か言わないと。
「……あの、私重かった?」
何聞いてるのわたしは!?
「全然そんなことないよ。 逆に軽かったぐらいだよ。なんでそんなことを? 」
ハインくんはやっぱり優しい。わたしを気遣ってくれてる。
「……私太ってるから。」
私は昔から遊ぶ友達もいなくて運動をしていなかったため太っている。村ではよくデブって言ってからかわれていた。
そう言うとハインくんは私の体全体を見たあと、視線が胸に集中した。
「……えっち。」
「いやゴメン。そんなつもりじゃなくてさ。」
「……別にハインくんになら見られてもいいけど」
また何言ってるの私は!? 確かにハインくんならそう言う目で見られても気にしないけど。
「ふぇ? なんか言った?」
ふぅ。どうやら聞かれていなかったようだ。
「……な、なんでもない。」
「……そっか。あのさ、もう大丈夫だったらマイル先生も心配してるだろうし一緒に先生のところに行かない?」
確かに突然倒れたし、先生に謝っておかないと。
「……うん。」
「それじゃあ、行こうか!」
「ふぇえ!」
そう言ってハインくんはベットから出た私の手を握って出口に連れていった。
えっと、はい。どうでしょうかミアちゃん。ヒロインっぽくなったでしょうか。
最初はこんなキャラではなかったのです。ですが、なんか可愛いのでそのままにしました。
このあとミアちゃんとハインがどうなるかに注目!
次回の話では、呪魔法を登場させたいなあと思っております。
ではまた。