第6話 闇属性魔法
お久しぶりです。新キャラ登場しますよ!
お楽しみいただければ幸いです
「では、講義を始める。」
入学2日目。俺は闇属性の講義を受けていた。
「まず手始めに闇属性の魔法について話そう。君たちが選択したこの講義で学び闇属性の魔法の特徴を一言で表すと『搦め手』というのがいいかもしれない。
それはなぜかと言うと、他の属性と違い直接的攻撃魔法が少ないからである。所謂、間接的な攻撃魔法が多い。例えば、状態異常にする、動きを封じる、使い魔の召喚など魔法の種類は多岐に渡って興味深いものが多くあり
飽きないだろう。まあ、それがこの属性のいいところだ。
では、分類に移ろう。
知っているものも多いだろうが、闇属性には下位魔法に分類される闇魔法と上位魔法に分類される呪魔法、召喚魔法、暗黒魔法がある。下位と上位は基本魔法学に講義でもあった通り、適正の有無で使えるかで分かれている。
つまり、上位魔法は属性全体の適性値が、前提条件として40はないと使えない。
その反面、下位には適性の必要値がないため極論1でも一応は使えると言われている。
まあ復習だが、適性値というのは簡単に言うとその魔法がどれだけ扱える能力を秘めているかを示している。決して、適性が高いからといって努力を怠らないように。適性が高いイコールその魔法に長けている訳ではないにを念頭に入れておくように。
現に昔、私の生徒に適正は高いが努力をしなかった子がいて、その子は魔法の実技試験で適性がその子より低い子より負けていた。ちなみにその適性の低い子は結果的に卒業のときには学院のトップレベルになっていて今では国を回す1人になっている。まあ、そういうことだ。」
おおっ。適性が低くても実技は上手くいくのか!! 希望が見えてきたぞ!!
「この講座では、最初の一年は闇魔法を中心に一通り習っていく。上位魔法は学年が上がってからになる。ああ、早く上位魔法をやりたいというやる気に満ち溢れた生徒は放課後私のところに来てくれ。簡単に教えよう。授業内容は実技と座学両方行う予定だ。座学が1に対して、実技2の割合で行う。試験も実技がメインだ。魔法の展開速度、威力、正確さなどが基準となる。まあ、やっていくうちに慣れるからそんなに怖がらなくていい。例年みんなできているから安心してくれ。」
楽しみだな。ウキウキが止まらないぜ!
「さて、では座学よりも先にどんな魔法があるかを見せよう。みんな教室を移動するから廊下に出てくれ!」
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俺たちは、実践授業を行う大きなドームのようなところにやってきた。
「では、改めて授業を再開する。」
そう言って先生は杖を取り出した。
「基本魔法学で習ったと思うが、この杖などは魔法を作り出すのを補助する役割がある。ものによっては、剣とか籠手とか、本とかまあいろいろあるがそれら全てを魔法触媒という。まあ、簡単に言うと魔法が楽にだせる装置だ。」
そう言って、マイル先生は俺たちに見えるように杖を掲げた。見た目は木っぽいがなんか変なのが一杯ついてる。宝石?
「まあ、私は杖タイプが好きなのでこれを使っているがまあ、別になんでもいいだろう。大事なのは素材だからな。では、講義に戻る。
今から君たちに見せるのは闇魔法の初歩的魔法『闇の矢』だ。
この魔法は初歩でありながら有用性が高い優秀な魔法だ。理由は二つ。
一つ目は、初歩の魔法のため扱いやすくまた魔力の効率もいい。
二つ目はこの魔法は敵の顔に当てると一定の確率で数秒間相手の視界を奪うことがある。まあ、成功すると相手の目の周りに黒い靄が出るのですぐわかるだろう。
では実際にやってみよう。
今回はあの用意した実践魔法用ゴーレムを的に使う。」
そう言って先生の指の先を辿ると人と同じぐらいの大きさをした木の塊があった。あれがゴーレムなのだろう。
「では、始める。詠唱もよく聞いていてくれ。慣れれば短くできるが始めは正式な詠唱を用いるので長く面倒だ。しかしこれも勉強の一環だと思って頑張ってくれ。」
そういうと先生は、杖をゴーレムに向けて詠唱を始めた。
「闇の精霊よ!我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え! 闇の矢!!」
ヒュン!
先生の杖の先の空間に幾何学的模様が一瞬現れると、黒いモヤモヤした矢が唐突に現れ、いきなりゴーレムに飛んでいく。
そして、ゴーレムの顔に当たると矢が飛び散り顔に黒い靄がかかった。
「「「おおっ!!」」」
「成功だ。今、ゴーレムの顔の部分に黒い靄がかかっているのが見えるだろうか?これがさっき言った視界隠しの状態だ。試験に出るから覚えておくように。詳しくは次回の講義で説明する。
では、他の魔法についても紹介しよう。今度はちょっと難しい魔法だ。その魔法名は『神隠し』だ。
ではやろう。
混沌と闇に住まわりし漆黒の精霊よ! 我が身を世から物から人から数多の視線から隠し消し去り給え! 神隠し!!!」
そう言った瞬間、先生が突如目の前から消えた。
「えっ!?どこ!?」
「先生!」
周りのクラスメイトが軽いパニックになって先生を探す。
「諸君、落ち着きたまえ。私は君たちの目の前にいる。今、魔法を解除しよう。解除!!」
そう言った瞬間、先生が先ほどと全く同じ場所に立っていた。
「「「スゲぇ!」」」
「さて、これが神隠しだ。相手の認識を阻害する魔法である。別に消えたわけではない。この魔法は上級魔法の暗黒魔法に分類される。まあ、いつか使えるようになるだろう。」
先生ちょっと嬉しそう。やはり、驚かれるのが嬉しかったらしい。
「では、魔法の実演はここまでにしてこれから君たちに『闇の矢』を
実際に使ってもらう。詠唱はさっきのだ。
コツは実際に魔法の結果をイメージして、今から渡す魔法触媒に魔力を流しつつ精霊に魔力を捧げる感じだ。
まあ、実際にやってみるといいだろう。
じゃあ、魔法触媒に限りがあるから二人組みになって交互に使ってあそこにあるゴーレムに向かって魔法を使ってくれ。
では、始め!」
「えっと……」
そう言われてゾロゾロと周りが動き出し次々とペアを作っていく。
周りを見渡し組めそうな子を探す。うーん。誰か知り合いとかいるかな?
一通り見るが誰も知らなそうだ。よし近くの子に話しかけてみるか。
「あの〜」
「あっ、ごめんね。もうこの子と組んじゃってるんだ。」
声を掛けるもの撃沈。次の子を探す。しかし、出遅れてしまったのか周りはすでにペアを作り終えていて先生に魔法触媒を貰いに行っている。
もしかして、あぶれたか?誰かいないかな?
前はいなさそうなので後ろを見てみる。すると、そこには俺と同じ境遇なのかペアを組めずにオロオロしている女の子がいた。
おっ!あの子にしよう。
俺は他の子に取られる前にその子に近ずいていく。
「あの〜良ければ俺とペア組みませんか?」
「はうっ! ……こちらこそお願い。」
なんか凄い驚かれたんだけど……
うーん、まあビクビクされちゃったけどOK貰えたしいいか。
「ありがとう。えっと、俺の名前はハイン。よろしくね」
「……こちらこそよろしく。 私ミア。」
ミアちゃんは身長は俺と同じぐらいの黒紫色の烏羽色をした長い髪をした美少女だ。顔は整っていて綺麗だ。まあ、可愛いというより綺麗な美少女の部類だろう。所謂文学少女っていう言葉が似合うかもしれない。
「ミアちゃんか。可愛いくて良い名前だね。俺魔法触媒取ってくるからちょっと待ってて。」
「……可愛い。あっ、お願い。(ペコ)」
魔法触媒を取りにいく。うん、ミアちゃん無口だな。でもそれもポイント高いです。
先生から杖タイプの魔法触媒を受け取りミアちゃんのところに戻る。
「えっと、どっちが先にやる?」
「……じゃあ、私やる。」
「じゃあ、どうぞ。」
そう言って杖を渡した時の手が触れてしまった。
「「あっ」」
「ご、ごめん。」
「い、いや私こそ。」
「「……」」
そのまま気まずい雰囲気のまま数十秒がたった。
「……じゃあ、やっぱり俺が先にやっていいかな?」
「うん。」
俺は杖を握り狙いを定めてゴーレムに杖の先を向けた。
うん。緊張する必要はない。闇魔法は他のと違って適性があったから大丈夫。何にも出ないとかそういうのはないはずだ。魔法矢の時と同じ感じでやればいいんだ。よっし。
「闇の精霊よ!我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え! 闇の矢!!!」
ビュンッ!!
「……ハインくん凄い。」
俺の放った魔法はゴーレムの顔にに吸い込まれるように当たり黒い靄を出していた。
「……ハインくん、魔法展開すごい速かった。」
「魔法矢は得意だからね。」
「……じゃあ、次私がやる。」
ミアちゃんは、杖をゴーレムに向けて詠唱を始めた。
「……闇の精霊よ。我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え。 闇の矢」
すると黒い弓矢が杖の先に出現し、ゴーレムに向かっていった。
「「あっ。」」
しかし、それてしまった。
「まあ、そんなこともあるよ。」
「……もう一回やらせて。」
「いいよ、何回でも。」
「……んっ、ありがとう。じゃあ。
闇の精霊よ。我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え。 闇の矢」
再び黒い弓矢がゴーレムに向かうが、全く見当違いの方向に向かってしまった。
「……ん。闇の精霊よ。我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え。 闇の矢」
悔しかったのか、再び詠唱。しかし再度失敗。
「まあ、そういう時もあるよ。」
「闇の精霊よ。我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え。 闇の矢……闇の精霊よ。我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え。 闇の矢……闇の精霊よ。我が願いを聞き、漆黒の弓矢を飛ばし給え。 闇の矢!闇の矢!闇の矢!闇の矢!闇の矢!闇の矢!」闇の矢!
十数本に及ぶ凄まじい量の闇の矢が杖の先から次々と生成されてゴーレムに向かっていく。
しかし、何がいけないのかその全てがゴーレムには一切当たらなかった。
「はあ……はあ……はあ……はあ……」
「えっと。」
バタっ
「ミアちゃんっ!?」
「マイル先生ぇ〜女の子が倒れてま〜す!」
「なんだと!!」
誰かがマイル先生を呼び先生が慌てて近づいてくる。
先生がミアちゃんが息をしているかを確認すると俺に事情を聞いてきたので、あったことを話すと、
「ああ、ただの魔力切れだな。保健室で寝てれば治る。」
「あっじゃあ、僕連れてきます。一緒にペア組んでたんで。」
「悪いが頼めるか?」
「大丈夫です。じゃあ、保健室行ってきます。」
俺は無属性魔法の身体強化を自分にかけてミアちゃんを背負うと保健室に向かった。
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ついにやっと闇魔法が登場です。
この作品の大きな要素となっている呪魔法はもうちょっと後に登場します
ではまた