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第4話

それから数日が経ち、私とお姉ちゃんはさとるさんの葬儀に参列した。

人間って、本当に不思議だよね。

あんな恐ろしいことをやったのに、あんなにも涙や吐き気が止まらなかったのに。

それが何日もすれば、何事もなかったかのように平然としていられるんだから。


お姉ちゃんはその後も、休むことなく仕事を続けた。ただ、それまでよりも帰りが遅くなり、晩ごはんも一人で食べることが多くなった。

きっと、さとるさんが死んでしまった辛さを忘れようと、仕事に打ち込んでいるのだと思う。

でも、このままじゃお姉ちゃんの体が持たない。

これからは、私がお姉ちゃんを支える番なんだ。

私が、お姉ちゃんの悲しみを癒してあげるんだ。

邪魔な存在だったさとるさんはもう、いなくなったから。



詩織「ただいまー」

美雪「おかえりなさい、お姉ちゃん」

詩織「あら美雪、もう遅いから先に寝ててよかったのに」

美雪「お姉ちゃんが帰ってくるのを待ってたの。お姉ちゃんに見せたいものがあって」

詩織「あら、何かしら?」

ガサッ

美雪「見て!白百合の花、たくさん買ってきたの!お姉ちゃん、白百合好きだったよね?」

詩織「まぁ、私の一番好きな花…覚えててくれたのね。ありがとう、美雪」

美雪「えへへ…」

詩織「それじゃ、私の分はこれくらいにして…あとはさとるさんのお墓に持っていってあげようかしら」

美雪「……………っ」

さとるさんの名前が出て、私の頭に後ろから強く殴られたような衝撃が走った。


私がしばらく呆然としていると、お姉ちゃんが突然倒れてしまった。

美雪「!お姉ちゃんっ!」

詩織「……………」

美雪「お姉ちゃん、大丈夫!?」

詩織「……ごめんなさい美雪。ちょっとめまいがしちゃって…」

美雪「…お姉ちゃん。最近遅くまで仕事してるけど、それってさとるさんが死んじゃった辛さを忘れたくて無理してるんじゃないの?」

詩織「…それは……」

美雪「そりゃあ、大事な人が死んじゃったことはとても悲しいことだけど…。でもお姉ちゃんはどうなるの?さとるさんが死んじゃって辛い思いをしてるのはわかるけど、たまには仕事ばかりじゃなくてゆっくり休んでよ。私がずっとお姉ちゃんのそばにいてあげるから。でなきゃお姉ちゃんが…」

詩織「美雪。…悪いけど、しばらく一人にしてくれないかしら」

美雪「…お姉ちゃん……」

詩織「私の事なら心配しないで。…今日はもう遅いわ。あなたも早く寝た方がいいわよ」

美雪「う、うん…。お休みなさい、お姉ちゃん」

詩織「お休みなさい、美雪」

そう言ってお姉ちゃんは部屋に戻っていった。

美雪「………」

美雪(私は…お姉ちゃんがいてくれるだけで元気になれるよ。でも、お姉ちゃんは…。どうすれば元気になってくれるかな?…とりあえず、私ももう寝よう)

お姉ちゃんが言ってたように、今日はもうかなり遅い時間になっていたので、とにかく眠ることにした。

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